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自己破産のリスクとは?手続きしたらどうなるか徹底解説

トピックス 2022.05.20 自己破産のリスクとは?手続きしたらどうなるか徹底解説

2020年度のGDP(国民総生産)は、新型コロナウイルスの影響で実質の伸び率がマイナス4.6%となり、比較可能な1995年度以降で最大の下落となりました。

持続化給付金など国の補助が進められ、2021年の自己破産件数は60,393件、前年比93%と改善傾向にあります。

しかし、依然として不透明な世界経済に加えて、業績悪化による倒産などから、自己破産をせざるを得ない人たちも増えてくることでしょう。

この記事では、自己破産をするとどうなるのか、自己破産を避けるための方法を詳しく解説します。

借金が返済できない!自己破産のタイミングと3つの種類

借金が返済できない!自己破産のタイミングと3つの種類

複数の業者に借金をしている多重債務者のなかには、返済が困難になり、取り立てにストレスを感じている人もいるでしょう。

自己破産とは「借金の返済ができなくなってしまったときに、裁判所に申し立てをして返済を免除」してもらう手続きです。

もし、以下のような状態であれば自己破産を検討するタイミングかもしれません。

● 借金総額が年収よりも多い
● 利息の支払いだけで精一杯
● 複数の金融機関から借金をしている
● 給与や銀行預金が差し押さえにあっている
● 収入がなく増える見込みもない

自己破産の手続きには「同時廃止」「管財事件」「少額管財」の3つがあり、経済状況や借金額などを考慮して裁判所が判断します。

1. 経済的な余裕がない場合は「同時廃止」

貯金や車、不動産などの財産がない場合に取られる手続きが「同時廃止」。

一般的に自己破産の手続きでは、所有している財産を入札によって売却したり、金銭に換える「換価処分」をして債権者に分配します。

しかし、分配する財産がない場合には「換価処分」する必要がありません。

そのため、同時廃止の場合には、手続き終了までの期間は短く、費用も抑えられます。

2. 処分する財産が多い場合は「管財事件」

一般的な自己破産のイメージに近いのが「管財事件」。

対象になるのは、社会的地位のある企業の経営者、土地や芸術品などの所有者、ギャンブルによる多額の債務者。

「管財事件」として手続きを進める場合は財産の処分などに手間がかかるため、終了するまでに6カ月から1年以上を要します。

3. 予納金を少なく抑えたい場合は「少額管財事件」

中小企業の社長や個人事業主などの破産申告に適しているのが「少額管財事件」。

「少額管財事件」を申請する際の条件は「管財事件」とほぼ同じですが、差し押さえの対象となる財産をそれほど所有していなくても申請できます。

会社や家族にはどのような影響がある?自己破産によるリスクとは。

会社や家族にはどのような影響がある?自己破産によるリスクとは。

自己破産の手続きを済ませると、金融業者による取り立てがなくなるので精神的な負担は大きく軽減されるでしょう。

また、現金は99万円まで「自由財産」として残せますし、自己破産後に得た財産は回収されません。

さらに、一般的な自己破産に対するイメージのなかで、以下の項目は全て誤解です。

● 職場に知られて解雇される
● 選挙権が剥奪される
● 携帯電話の契約ができない
● パスポートが所持できない
● 戸籍に記載される

しかし、自己破産には数多くのリスクが伴います。

1. ブラックリストに載る

自己破産をして「信用情報機関」に「事故情報」が登録されることを「ブラックリストに載る」「ブラックになる」といわれます。

「信用情報」とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報。

信用情報機関に「事故情報」が登録された場合、一般的に7~10年は、ローンなどの借入れが難しくなります。

2. 自宅や車を失う可能性がある

ローンが残っている場合、車や自宅などの不動産はローン会社に引き取られるので手元には残せません。

また、ローンが残っていなくても、高額な財産は破産管財人による処分の対象です。

ただし、価値が20万円以下で、「第三者共済」といって保証人が一括で残債を支払うことが可能であれば手元に残すことは可能です。

3. 手続き中に就いてはいけない職業がある

「制限職種」といって、自己破産の手続き中には就くことができない職業があります。

● 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士など士業
● 質屋、古物商
● 生命保険外交員
● 宅地建物取引主任者
● 警備員

すでに「制限職種」に就いている場合、一時的に辞めるか、資格を使わずに仕事をしなければいけません。

また、会社の役員は、裁判所で手続きが始まると法律上強制的に解任されてしまうので、続ける場合は再任が必要です。

4.官報に掲載される

自己破産の手続きを行うと、内閣府が発行している「官報」に名前や住所などが掲載されます。

行政機関の休日を除いて毎日発行される「官報」は、各都道府県に数カ所設置されている政府刊行物の売り場、大きな図書館で閲覧できますが、内容が膨大なので、周囲に自己破産の事実を知られることはほぼないでしょう。

ただし、金融機関では漏れている債権者がいないかを確認するためにチェックしている可能性があります。

5.連帯保証人に影響が出る

自己破産の手続きをすると、住宅ローンなど主債務者の返済義務は免除されますが、連帯保証人の義務は免除されません。

そのため、金融機関は連帯保証人に対して残額を一括請求します。

連帯保証人になるのは、基本的に、祖父母や配偶者の兄弟など2親等以内の親族。

万が一、連帯保証人に返済能力がない場合、自己破産に追い込まれるので、大きな負担をかける恐れがあります。

6.罰金や税金などは免除されない

自己破産の手続きを終えて免責許可が出ても、あらゆる債務の返済義務がなくなるわけではありません。

刑事罰の罰金、税金や公的年金、国民健康保険料、養育費など扶養義務に関する債務は、今までと同じように納めなければいけないので注意が必要です。

7. 郵送物を管理される

「管財事件」または「少額管財事件」の場合、郵便物は管財人の管理下に置かれ、中身を確認した上で本人に転送されます。

破産者が財産を隠していないか、申告していない債権者がいないかを確認するために行われます。

自己破産の事実を家族に伝えていなかった場合、開封済みの郵便物が管財人から送られてくることを不審に思われるかもしれません。

親族からの信用、車や自宅などを守りたい!自己破産を回避する方法とは

親族からの信用、車や自宅などを守りたい!自己破産を回避する方法とは

自己破産した場合、大切な自宅や車を失うだけでなく、新たなローンを組むことができなくなります。

また、高額のローンがある場合には、連帯保証人である親族などに迷惑をかけ、信用を失うでしょう。

このような自己破産によるリスクを回避するための方法をご紹介します。

1. 「任意整理」

任意整理とは、借入先の金融機関と交渉して借金を無理なく返済できるようにする手続きです。

具体的には、
● 将来利息をカットする
● 返済期間を3~5年で完済できるようにする
● 月々の返済額を見直す
● 借金を正しい金利で計算し、過払い金が発生していれば減額する

以上の手順を踏むことで、月々の返済の負担を軽くしながらも、最終的には自分の力で借金を完済します。

任意整理について

「債務整理」は裁判所を通さないため、自宅や車を処分する必要もありませんし、生活への影響がもっとも少ない手続きといえるでしょう。

また、郵便物の開封や職業の制限もないので、家族に知られることはありません。

ただし、任意整理は返済をすることが前提の手続きなので、資金的な余裕がない場合には、業者が任意整理に応じないため注意が必要です。

2.「個人再生」

個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。

自宅などの不動産やローンを終えた高額の車を維持しながら債務を整理する場合は「個人再生」が適しているでしょう。

ただし、個人再生は利用条件が定められており、再生計画も適切な内容でなければ、裁判所の認可を得ることはできません。

主な条件は以下の通りです。
● 返済が不能の状態にある、またはそのおそれがある
● 借金の総額が5,000万円以下(住宅ローンは除く)
● 継続的に収入を得る見込みがある

弁護士・司法書士に個人再生の手続きを依頼した場合、金額や業者の数によって変動しますが、一般的に基本費用として30~50万円、裁判所費用約3万円が必要です。

さらに、裁判所を通す公的な手続きのため「債務整理」のように周囲に知られずに進めるのは難しいでしょう。

終わりに

「任意整理」と「個人再生」は自己破産によるリスクを回避する代表的な方法

長引く新型コロナウイルスによる社会経済活動の自粛や制限により、今後、減収や失職、廃業を余儀なくされる企業や個人事業主が増加する可能性があります。

金融機関への借金返済が滞り、給与や銀行預金が差し押さえられている場合には「自己破産」の手続きによって、借金の返済を免除してもらうことができます。

「自己破産」をしても、生活を維持するだけの現金は手元に残せますし、選挙権を失ったり、周囲の人に自己破産の事実を知られることもありません。

しかし、信用情報機関に「事故情報」が登録されて新たなローンなどの借入れが困難になったり、大切な自宅や車を失う可能性もあります。

また、自己破産の手続きをしている期間は、弁護士や司法書士など「制限職種」の就業者は一時的に仕事を辞める必要があるので、周囲の信用を失墜してしまうかもしれません。

このような自己破産によるリスクを回避する代表的な方法が「任意整理」と「個人再生」。

手続きに関する条件は違いますが、自力での完済を目指しながら資産を守ることができるので「自己破産」の手続きを考えている方は「任意整理」または「個人再生」の検討をおすすめします。

なかなか他人には相談出来ない事ですが、解決方法はありますので、ひとりで悩まず、まずは相談窓口へ相談してみましょう。

【参考サイト】

金融庁 / 消費者庁 / 厚生労働省(自殺対策推進室) / 法務省 多重債務者対策をめぐる現状及び施策の動向
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai17/siryou1-1.pdf

国民生活センター 多重債務問題の最新の状況
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202104_02.pdf

自己破産するとどうなる?自己破産のデメリットと自己破産後の生活や家族への影響
https://asiro.co.jp/media/saimu/2178/

自己破産をすると家族にどんな影響がでる?回避する方法について解説!
https://www.shinjuku-law.jp/columns-debt/jiko-hasan-kaihi/

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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