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失業したらどうすればいい?健康保険から確定申告まで手続きを徹底解説。

トピックス 2022.01.26 失業したらどうすればいい?健康保険から確定申告まで手続きを徹底解説。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済悪化が、雇用にも深刻な影響を及ぼしています。

総務省統計局の労働力調査によれば、2022年(令和4年)4月の完全失業者数は188万人、失業率は2.5%で2020年から続いた2.8%から多少改善されていますが、今後も予断を許さない状況です。

日本は海外の国々に比べて、さまざまな制度が整っているものの、具体的にどういった制度があるのかをよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、失業した場合に速やかに行うことや、仮に失業しなくても、現在の仕事が続けられなくなった時にどのように生活していけば良いかなどを解説します。

退職前に必ず確認を!会社に返却するもの、受け取るべき書類とは

退職前に必ず確認を!会社に返却するもの、受け取るべき書類とは

退職が決まった場合、在職中であっても必要な書類の受け取りや会社に返却すべきものがあります。

退職した後に何度も会社に足を運ぶ必要がないよう、計画的に準備を進めましょう。

受け取る書類

1. 健康保険証
退職が決まった時点で、保険証は速やかに返却することを求められます。

健康保険は退職日まで利用できますが、退職日を過ぎて誤って使ってしまった場合、医療費は全額自己負担になってしまうので注意しましょう。

退職日前後の健康管理を徹底し、切り替えを速やかに済ませなければいけません。

2.会社から借りているもの
社員証や社員バッチ・名刺など会社から支給されているものは全て返却します。

制服やパソコン、携帯電話、机の鍵、事務用品なども対象になるため、データの整理やクリーニングは計画的に行いましょう。

受け取る書類

1. 雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証とは、簡単に言うと「雇用保険に加入した際に発行される証明書」

「雇用保険被保険者証」は最初に就職した会社が手続きした上で保管しているので、転職経験がない場合には書類自体を知らない方もいるかもしれません。

転職先の入社手続きでは「雇用保険被保険者証」の提出が求められるので、退職する前に必ず受け取りましょう。

2.離職票
離職票は、失業保険を受給するために必要な書類で、離職票の内容は失業給付の基本手当の金額や給付日数によって変わります。

交付を必ずしてもらうと同時に、内容に間違いがないか必ず確認しましょう。

3.健康保険資格喪失証明書
退職などを理由に健康保険を喪失したときに、国民健康保険などに加入するための届出書類として必要になります。

4.源泉徴収票
本来、源泉徴収票は、12月の所得が確定したときに受け取る書類ですが、年度途中の退職でも源泉徴収票が発行されます。

転職後の会社に提出して年末調整をしてもらう時や、年内に転職が決まらず自分で確定申告をする時に必要になるので受け取りましょう。

5.年金手帳
年金手帳には、基礎年金番号などの年金に関する重要な情報が記載されているため、会社に預けている場合は、忘れずに受け取りましょう。

忘れると大きなリスクに。退職したらすぐに健康保険と年金の手続きを!

忘れると大きなリスクに。退職したらすぐに健康保険と年金の手続きを!

退職前には有給を消化する方もいますが、最終日まで引継ぎなどで忙しく過ごす方も多いのではないでしょうか。

退職後はゆっくり過ごしたいと思われるかもしれません。

しかし、健康保険や年金の手続きをしなかった場合、突然の病気やけがに対応できなかったり、将来的に受け取る年金の総支給額が減ってしまう可能性があります。

期限が過ぎる前に、時間に余裕を持って手続きを進めましょう。

健康保険の手続き

日本の健康保険制度は「国民皆保険」ですから、国内に住所があれば年齢や国籍に関係なく必ず健康保険に加入しなければなりません。

退職後の健康保険には「国民健康保険・任意継続制度・家族の扶養に入る」という3つの選択肢があるので、退職前にどの健康保険に加入するか必ず検討しておきましょう。

1.国民健康保険に切り替える
国民健康保険の対象は、個人事業主や年金受給者、扶養に入っていない学生などで、都道府県が市町村とともに運営しています。

保険料は、住んでいる自治体によって異なりますが、基本的には、前年度の世帯年収と世帯加入人数を基に決定されます。

あらかじめ教えてもらうことが可能ですので、退職前に時間があれば確認しておきましょう。

手続きの期限は退職から14日以内で、健康保険資格喪失証明書、本人確認書類、通帳、印鑑、マイナンバーが必要です。

2.任意継続被保険者制度を利用する
「任意継続被保険者制度」とは、退職前に加入していた健康保険に引き続き、最大で2年加入できる制度です。

任意継続にするための要件は、退職する前に2カ月以上健康保険の被保険者であること。

保険料は、在職時の健康保険料は会社と被保険者の折半ですが、退職後の保険料は全額自己負担になります。

「任意継続被保険者制度」のメリットは、国民健康保険より安く抑えられるケースがあること。

任意継続被保険者の標準報酬月額には上限があるため、高所得者ほど任意継続を選んだ方が有利になります。

任意継続の詳しい保険料は、会社が加入している健康保険に確認してみましょう。

ただし、保険料を納期までに支払わなければ、任意継続の資格を喪失してしまうので、納付に漏れのないようにすることが重要です。

手続きには、健康保険任意継続被保険者資格取得申出書、本人確認書類、印鑑が必要となり、期限は20日以内ですので速やかに済ませましょう。

3.家族の扶養に入る
退職後すぐに転職をしないのであれば、既婚であれば配偶者、未婚で、以下の条件を満たしていた場合、配偶者や親が加入している社会保険に入って扶養家族になる方法があります。

扶養に入るための要件
1)被保険者により生計を維持されていること
2)年収が130万円未満、かつ同居の場合は被保険者の年収の1/2未満であること。別居の場合は、被保険者からの仕送り額未満であること
3)配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属、同一世帯の3親等内の親族が失業給付を受けていると、要件から外れてしまい、扶養に入れない場合もありますので、家族が加入している健康保険組合に問い合わせておきましょう。

必要書類は異なるので、事前に健康保険組合に確認しましょう。

年金の切り替え

転職先が決まっていない場合は、国民年金保険への切り替え、または家族の扶養に入る手続きのどちらかが必要になります。

1.国民年金保険に切り替える場合
2021年度の国民年金保険料は、昨年から70円値上げして月額16,610円、年間納付額199,320円。

国民年金保険に加入する際に必要な書類は、年金手帳、離職票、本人確認書類、印鑑です。

退職後14日以内に住んでいる自治体の年金窓口で手続きを行いましょう。

2.家族の扶養に入る場合
家族の扶養に入る場合には、国民年金の切り替えの届け出(第3号該当届)が必要になります。

届け出は扶養先となる家族の勤め先を通じて行いますので、不明な点は問い合わせましょう。

退職後10日以内に必ず手続きを。失業保険の給付を受ける場合の注意点!

退職後10日以内に必ず手続きを。失業保険の給付を受ける場合の注意点!

失業保険とは、公的保険制度の一種で正式には「雇用保険」といいます。

失業手当は、失業した人が安定した生活を送りつつ、1日でも早く再就職するための支援として給付され、新しい職に就くまでの経済的支えになる制度。

受給する意志がある場合には、退職日から10日以内をめどに、離職証明書が送られてきますので、速やかに住んでいる自治体のハローワークで手続きを行いましょう。

ハローワークに、離職票、通帳、雇用保険被保険者証、本人確認資料、3カ月以内に撮影した写真2枚、印鑑、マイナンバー確認証明書を届け出て受給資格が決定します。

その後、7日間の待機期間を経て、雇用保険受給説明会に参加し、受給資格決定日から起算して4週間間隔に設定された日にハローワークに来所しなければいけません。

就職活動をしているなどの要件を満たしていて、失業認定日に来所していることが失業給付金受給の要件となるので、忘れずに来所しましょう。

出産、病気などですぐに働けない場合

出産や病気などが理由ですぐに働けない場合でも、所定の手続きを行うことで受給資格を最大3年間延長できます。

手続きの際には、離職票や受給期間延長申請書・印鑑のほかに、母子手帳や診断書など、働くことができない理由の証明となる書類が必要になるので、不明な点は居住地域のハローワークに確認しましょう。

確定申告は必要?所得税や住民税はどうなる?退職後の税金を徹底解説!

「退職したら多額の税金を支払うことになる」そんなイメージを漠然と抱いている方も多いのではないでしょうか。

退職後にかかる所得税と住民税について詳しく解説します。

所得税について

所得税は「1月1日から12月31日までの1年間」の所得に対してかかるので、退職をした後でも、その年の1月1日から12月31日までに所得が発生していれば、税金を支払う必要があります。

退職金も所得として所得税の対象となりますが、全額が所得税の対象になるわけではありません。

退職金は、長年勤務していた社員に対する手当てなので、退職所得控除という優遇があり、勤続年数によって以下のように金額が決定します。

a.勤続年数20年以下の場合:勤続年数×40万円(80万円未満の場合は80万円)

b.勤続年数20年を超える場合:800万円+70万円×(勤続年数―20万円)「(退職金―退職所得控除)×1/2」が課税退職所得金額

住民税について

住民税は、前年の収入に応じて計算される後払い方式の仕組みになっています。

前年の1月1日から12月31日までの給与を元に、市区町村ごとの算式に基づいて金額を決定し、毎年5月頃に住民税決定通知書が発送され、6月から翌年の5月まで支払うことになります。

会社に勤めている場合、6月から翌年5月までの住民税を12分割した額が「特別徴収」によって毎月の給料の中から天引きされます。

転職先が決まっていれば、新しい職場でも特別徴収されますが、決まっていなければ、退職前に特別徴収から普通徴収への切り替えの手続きを申請しておきましょう。

● 住民税は免除できる?
特別な事情により、税金を支払うことが困難であると認められた場合には減額・免除されることがあります。

一般的に、自己都合による退職の場合は免除の対象とはならないことが多いので、住んでいる自治体に問い合わせて確認してみましょう。

● 確定申告は必要?
退職後に次の仕事に就いていない場合は確定申告を行います。

会社に勤めている場合は、年末調整をすることで税金の手続きを会社が代行していましたが、退職後は自分で確定申告を行わなければいけません。

年内に転職しなかった場合は、社会保険料など所得控除になるものを支払っていると、税金が還付される可能性があります。

病気やけがですぐに働けないときはどうすればいい?生活保護を申請する条件とは

病気やけがですぐに働けないときはどうすればいい?生活保護を申請する条件とは

病気やけがで働けないなどの理由で生活費が足りなくなり、生活保護を受けたいと考えている人は多いのではないでしょうか。

生活保護は、お金に困っている人を経済的に支援するための国の救済制度であり、日本に永住している人なら誰でも受給する権利があるため、地域の福祉事務所に申請を行うことができます。

ただし、生活保護は国民が納める税金が財源となっていることから、本当に援助が必要な人にのみ支給されるので、誰でも気軽に受給できるわけではありません。

生活保護を受給する条件

生活保護を受給する条件は、世帯年収が最低生活費である13万円、年収に換算して156万円以下の収入であること。

最低生活費が13万円と決まっているのは、東京都内に一人暮らしをしているケースであり、居住している地域と世帯人数によって金額は異なるので必ず確認しましょう。

さらに、収入が最低生活費以下であっても、離れて暮らす家族や親戚などの身内から援助が見込まれる場合は受給できないかもしれません。

なぜなら、生活保護を申請した場合、家族や親族の有無を確認され、3親等以内の直系血族に対して書面で「申込者を援助する意思があるかどうかを確認する扶養調査」が行われるからです。

援助する返事が届いた場合は親族に扶養してもらう流れとなり、援助を断る返事が届いた場合や期限までに返事がなかった場合は、生活保護の対象です。

● 生活保護に年齢制限はある?
生活保護に年齢制限は設けられていませんので、20代の若者であっても、うつ病や持病などで働けない状態にあると医師から診断された場合は生活保護の対象です。

ただし、自己申告では働けない状態にあると認めてもらえない可能性がありますので、病気やケガなどがある場合は、病院で診断書を発行してもらいましょう。

● 仕事をしていても生活保護は受けられる?
働いていて収入がある方でも、その収入及び資産が最低生活費に満たない場合には、生活保護を受給することが可能。

この場合、収入と最低生活費を比較して、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

働いているからといって生活保護を受けられなくなるわけではありませんので、経済的に苦しい場合には申請を検討しましょう。

● 自動車や貴金属は持っていても大丈夫?
生活保護を申請すると、福祉事務所の担当者が暮らしぶりを確認して、申込者が経済的にどの程度まで困窮しているのかを判断します。

自動車や貴金属などの換金して生活費に充てられる品物に関しても、チェックを受けることになるので注意しましょう。

終わりに

生活が困窮した場合には、地方自治体の窓口や福祉事務所へ問い合わせる

コロナ禍による雇用情勢の悪化に伴い、退職を余儀なくされたり、うつ病や持病の悪化により働けなくなる方が増えています。

会社を退職することになった場合、必要な手続きを忘れてしまうと、医療費が全額負担になったり、将来的な年金支給額が減ってしまうなど大きなリスクが伴うので注意しましょう。

在職中は、退職後に何度も会社に足を運ばなくても済むように、返却すべきものや受け取る書類を確認し、漏れのないよう準備を進めなければいけません。

退職後に次の仕事が決まっていない場合、健康保険は「国民健康保険・任意継続制度・家族の扶養に入る」、年金は「国民年金保険への切り替え、または家族の扶養に入る」のいずれかを選択し、すみやかに手続きを済ませましょう。

病気やけがで働けないなどの理由で生活費が足りない場合には生活保護を受給できますし、仕事に就いていたいたとしても、最低生活費に届かなければ不足分を申請することも可能です。

日本には生活保護をはじめとするさまざまな社会保障があるため、失業などにより生活が困窮した場合には、地方自治体の窓口や福祉事務所へのお問い合わせをおすすめします。

【参考サイト】

総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)4月分結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html

厚生労働省 ハローワークインターネットサービス
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html#a3

失業したら早めに年金や保険の手続きを!失業手当の受給手順も解説
https://hataractive.jp/useful/4300/

退職後には何をしたらいい?忘れてはいけない手続きまとめ
https://fp-moneydoctor.com/news/knowledge/after_retirement/

生活保護の条件|申請の方法や金額がいくらもらえるのか初心者向けに解説
https://www.hoken-station.co.jp/media/seikatsuhogo/#13

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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