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あなたの自宅にも来るかも?電気・ガスの訪問販売における3つの対処法を解説

トピックス 2022.01.27 あなたの自宅にも来るかも?電気・ガスの訪問販売における3つの対処法を解説

2016年に電気、2017年にはガスの自由化が始まり、訪問販売による電気・ガスの営業が増えている昨今。

この影響を受けて、「電力会社・ガス会社を名乗る勧誘員から電話や訪問販売で案内を受け、言われるがままに検針票を見せてしまったら勝手に契約を結ばれていた」といった悪質な勧誘や訪問販売でのトラブルが急増しています。

この記事では、トラブルに巻き込まれないために、勧誘を受けた時の対処方法について解説します。

電気・ガスの悪質な訪問販売は増加傾向にある

電気・ガスの悪質な訪問販売は増加傾向にある

電気・ガスの悪質な訪問販売は、それぞれの自由化によって増加傾向にあります。実際に、消費者庁が集計した国民生活センターおよび消費生活センターへの「電力・ガスの小売りに対する相談件数」を見てみましょう。

電力の自由化が始まる前年の2015年10月から12月では相談件数が64件だったのに対し、2019年7月から9月では相談件数が1539件と20倍以上にも膨れ上がっています。

ガスも同様です。自由化前年の2016年10月から12月では相談件数が14件でしたが、2019年7月から9月では相談件数が237件あり、こちらも16倍以上に増えています。

これほどまでに相談件数が増えてしまった原因の一つに、多くの人が電気やガスについて知識を持ち合わせていないことが挙げられます。

自由化自体は本来、私たちにとってメリットのある施策である

電気やガスが自由化される以前は、地方によって決められた会社としか契約できませんでした。

そのため、一部の情報リテラシーの高い人は自分自身で契約について調べていたかもしれませんが、多くの人は電気・ガス会社のことや提供されるプランについてなんの疑いも持っていませんでした。

そして、この無知の状態が悪用され、多くの人が被害に遭っているのです。

このように聞くと「電気・ガス会社は従来のままのほうがいいのかも……」と不安に感じる人もいますが、自由化自体は本来、私たちにとってメリットのある施策です。

重要なのは電気・ガスの悪質な訪問販売が増えていることを認識し、「明日は我が身」と考え、悪質な訪問販売に騙されない対策をすることです。

最新の詐欺手口とは?実際にあった相談事例を紹介

被害者がお客様番号を勧誘員に伝えてしまった事例

ここでは、国民生活センターや消費生活センターに寄せられた相談事例をご紹介します。実際にあった事例を知って対策を立てることが重要です。

まず1つ目にご紹介するのは、マンション全体で電力会社が変わると説明された被害者がお客様番号を勧誘員に伝えてしまった事例です。

とある若い男性に「住んでいる賃貸マンション全体で電力会社が変更になる」と電力小売事業者から電話で連絡がありました。

さらに「1週間前に回覧している。お客様番号だけでも教えてほしい」と言われてお客様番号を伝えてしまったそうです。その後、マンショ ンの管理会社に確認をしたところ、電力会社を変更する予定はないとわかりました。

これは「多くの人はポストに入っているマンションの回覧情報を隅から隅まで読まない」といった行動を利用した手口です。

契約先のガス会社から委託を受けたと言われ、契約してしまった事例

次にご紹介するのは、契約先のガス会社から委託を受けたと言われ、契約してしまった事例です。

ある相談者の自宅に突然事業者が来訪し、「高齢者の料金負担を少なくするために来た。当社とガスの契約を結ぶと安くなる」と勧誘を受けました。

こちらの相談者は契約している会社を変更する予定はなかったため断ったところ、「現在契約されている事業者から委託されて訪問しています」 と説明を受け、なんの疑いもなく契約書にサインしてしまいました。

しかし、後日わかった事実によると、実際には今まで利用していたガス会社はどこにも委託しておらず、さらには高齢者のための料金プランなども提供していなかったのです。

この事例では、いかにも信じてしまいそうな言葉で契約を誘う手口が使われています。

今回ご紹介した事例以外でも、悪質な訪問販売を行う会社はあの手この手を使って個人情報を取ろうとしたり、高額な契約をさせようとしたりしてきます。

そして、実際に行政処分を受けた業者も存在しているのです。

電気・ガスの訪問販売における3つの対処法

電気・ガスの訪問販売で詐欺被害に遭わないための対処法

次に、電気・ガスの訪問販売で詐欺被害に遭わないための対処法をご紹介します。

1つ目の対策は、むやみやたらに検針票を見せないことです。検針票には氏名や住所などの一般的な個人情報だけではなく、電力会社やガス会社の契約に必要な「顧客番号」や「供給地点特定番号」が記載されています。

これらの番号を教えてしまい勝手に契約されていたという事例もありますので、むやみやたらに検針票を見せないようにしましょう。

そして「検針票を見せてください」と言われた場合も含めて、訪問販売が来たときに必ず相手の素性を身分証明書などで確認することが2つ目の対策です。

健全な会社であれば必ず名刺や身分証明書を携帯し、快く見せてくれるはずです。また、素性を確認すればご自身でその会社の評判などを調べられるため、非常に有効な対策となります。

契約する場合にはプランの詳細や料金をしっかり説明してもらう

3つ目は、契約する場合にはプランの詳細や料金をしっかり説明してもらう対策についてです。

多くの営業担当者は契約をしてもらいたいがために、メリットを前面に押し出した営業トークをしてきます。巧みな言葉から、提案されたプランが魅力的に見えるケースもあるでしょう。

しかし、「安くなる」と言われても実際には条件があり、自分は当てはまらない可能性もあります。後悔しないためにも、プランの詳細や料金の確認を徹底しましょう。

もし勝手に契約されてしまった場合にはどうすればいい?

勝手に契約されてしまった場合には、迷わずクーリングオフをする

もしも勝手に契約されてしまった場合には、迷わずクーリングオフをしましょう。

契約書面を受け取った日を含めて8日以内であればクーリングオフが可能です。契約書面を受け取っていない場合であってもクーリングオフできますので落ち着いて対処しましょう。

クーリングオフの詳しいやり方については、独立行政法人国民生活センターのホームページやインターネットで調べられます。

また、一人ではどうしていいのかわからない場合には、専用の窓口に相談することをおすすめします。

詐欺被害に気づいたら専用の相談窓口に連絡する

詐欺被害に気づいたら下記のような相談窓口に連絡し、現在の状況を落ち着いて伝えましょう。親身になって対応してくれます。

・経済産業省電力・ ガス取引監視等委員会の相談窓口
→03-3501-5725

・最寄りの消費生活センター
→188番に電話をかけると最寄りの消費生活センターを紹介してもらえます。

電気・ガスの訪問販売が来たときは、特に営業担当者の甘いトークに注意

電気・ガスの訪問販売が来たときは、特に営業担当者の甘いトークに注意しましょう。ノルマがある営業担当者は、どのような手段を使っても契約を取ろうとしてくるからです。

たとえば、「割引します」なんて甘い言葉は常套手段です。「ここで契約してくれたら割引します」と言われて契約しても、あとで料金を見てみると安くなっていない可能性もあるでしょう。

先にもご説明しましたが、契約前には必ず提案されたプランの詳細や料金を確認してください。

また、一度保留にして情報を整理することも有効です。その場で決めてしまうと冷静な判断がつかず後悔してしまう可能性があるためです。まずはゆっくり考える時間を作り、落ち着いた状態で本当に魅力的なプランなのかを吟味しましょう。

料金以外でも「スマートメーターに切り替えます」と言って、情報を盗取しようとする勧誘員もいます。しかし、基本的にスマートメーターの切り替え業者が営業を行うことはありません。

建物全体で契約会社が変わると説明された場合は、確認を取る

また、スマートメーターによって電気・ガス会社の管理工数が減り、料金が安くなる場合もありますが、そのような場合は契約している会社から正式な案内が来ます。

そして、前述のとおり「マンション・アパート全体の電力会社が変わりますのでご契約お願いします」といった巧みな言葉にも用心しましょう。

もしも建物全体で契約会社が変わると説明された場合は、一度大家さんや管理会社に確認を取ってみてください。

ここでご紹介した方法以外でも、私たちには想像もできないような営業トークをしてくる勧誘員がいます。悪徳業者に引っかからないためにも、販売訪問に対しては常に警戒心を持って対処しましょう。

電気・ガスの訪問販売が来たときはどうやって断る?

居留守を使って無視をすることは最も有効な対処法

最も有効な対処法は、居留守を使って無視をすることです。居留守を使えば営業担当者の巧みなトークを聞かずに済み、しつこい勧誘を受けることもありません。

ただし、居留守や無視をしても、しつこく訪問を繰り返してくる営業担当者もいます。そういった場合はひたすら質問で返してみてください。

たとえば「どちら様ですか?」「営業ですか?」と率直に聞いてみましょう。これらの質問で相手の話の腰を折るだけではなく、身分証明書を見せてもらう流れにできます。

また、こちらは質問しますが、相手の質問には答えないようにしましょう。相手がほしい答えを与えてしまうと、いつの間にか契約の話に持っていかれる可能性があるためです。

営業担当者の質問は、彼らが会話の主導権を取るために展開するはじめの一手。これをかわして主導権を渡さずに進められたら、最終的には「帰ってください」と伝えましょう。

それでもその場に居座るようならば不退去罪に該当しますので、「警察を呼びますよ」などと通報する旨をほのめかしてみてください。

終わりに

訪問販売が来たとしても、落ち着いて対処できれば問題ない

電気・ガスの自由化が進むにつれて、訪問販売も増加の一途を辿っています。その数は、自由化がはじまる前とは比べものになりません。

そして、こうしたデータを見てみると、電気・ガスの訪問販売の手はあなたのすぐ側まで迫ってきていると考えられます。

しかし、実際に訪問販売が来たとしても、落ち着いて対処できれば問題ありませんので、今回ご紹介した対策や注意点をしっかりと覚えておきましょう。

また、大切な人が悪質な訪問販売の被害を受けないために、家族や友人と本記事の情報を共有しておくと安心です。

私たち消費者が一丸となって悪質な訪問販売に対抗し、電気・ガスの自由化におけるメリットを最大限に享受していきましょう。

【参考サイト】

・検針票を見せてしまったときの対処方は?電気・ガスの訪問販売での注意点も解説します(エネチェンジ)
https://enechange.jp/articles/denki-gas-houmonhanbai#5

・訪問販売の上手な断り方とNGな断り方|訪問販売が来にくくなる裏技3選(あなたの弁護士)
https://yourbengo.jp/shohisha/396/

・電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.14(独立行政法人  国民生活センター)
https://www.emsc.meti.go.jp/info/liberalization/pdf/191220.pdf

・新電力で注意したい詐欺の手口とその対策方法まとめ(愛知電力)
https://aichi-denryoku.jp/news/new-powerfraud/

・電力自由化とは?メリット・デメリットから電力会社選びのポイントまでご紹介
https://www.egmkt.co.jp/column/consumer/20210312_EG_049.html

・ガスがスマートメーター化されると何が変わる?
https://public-services.jp/gas/gas-smart-meter

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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