トピックス 2021.12.03 あなたの郵便ポストが狙われている!犯罪者や詐欺集団から身を守る方法とは。
どこの家にも必ずある郵便ポスト。現在、郵便ポストを狙った犯罪が増加しています。
不在票が盗まれて、通販などで頼んだ商品が取られてしまったり、公共料金の請求書を郵便ポストから盗んで、身分証明書を偽造してクレジットカードをつくるなど、組織ぐるみでの犯行も増えてきています。
この記事では、郵便ポストのセキュリティリスクについて解説します。
家族構成からローン残高、クレジットカード明細まで。郵便物から搾取される個人情報。

毎日、さまざまなハガキや手紙などが投函される郵便ポスト。たった1枚のハガキからでも数多くの個人情報を得ること可能です。
郵便物の種類
● 住宅や車など借入金の年末残高等証明書
● 年金振込通知書
● 公共料金の領収書
● 市税の納税通知書
● クレジットカードの利用明細書
● 生命保険料控除証明書
● 医療費と給付金支給額のお知らせ
● 児童手当認定通知書
● 入学通知書
郵便物から特定される個人情報
● 氏名(世帯主、家族)
● 生年月日
● 連絡先(電話番号:自宅/携帯)
● 家族構成(子どもの学校名、学年など)
● ローン残高
● クレジットカード明細
日常的に郵便物を盗難される恐怖。その犯罪手口と犯行事例。

個人のポストから、郵便物が盗まれ、悪用される被害が多発。その手口は悪質かつ巧妙化しています。
1. 不在連絡票を盗み、宅配物を受け取る
2021年6月、通販で8万5000円の電子機器を詐取した疑いで40代男性が警視庁に逮捕されました。
犯人は、実在するマンションの住人になりすまして、ネットから不正注文を繰り返していました。その手口は、宅配業者が投函した「不在票」を盗み、掲載されている暗証番号で宅配ボックスを開けて、商品をだまし取るというもの。
犯人は、郵便ポストの状況から住人がいない時間の情報を得て、その時間帯を狙って宅配業者に配送させていました。本人の供述によれば、犯行は3年前から行われており、見つかった不在票は900通。
この犯行は、被害者であるマンションの住人にとって実害は特にありません。しかし、不在時に宅配させていることから、住人が家にいない時間帯は犯人に知られています。この情報をもとに、空き巣につながる可能性などを考慮すると、非常に恐ろしい事件です。
クレジットカードを偽造し、高級品をだまし取る
犯人はダイヤルロックを解除し、マンションの郵便受けから公共料金の請求書などを盗難。さらに、その情報をもとに運転免許証などの身分証明書を偽造し、その人物になりすまして銀行口座を開設し、偽造したクレジットカードで高級品を次々と購入。
クレジットカードは、原則本人に直接渡しますが、犯人は不在票を抜き取り、郵便局で偽造した免許証を提示してクレジットカードを受け取っていました。
犯行は単独ではなく組織ぐるみで行われ、2017年以降、約1,600万円以上の不正利用が発覚。犯行グループのパソコンには500人ほどの住所、家族の名前や勤務先などの個人情報が入力されており、同様の手口による犯行が延々と続いていることが伺えます。
巧妙化する犯行手口。悪質な犯罪集団から郵便物を守る方法とは。

1.郵便ポストを常に空にしておく
郵便ポストは常に空の状態に保つように心がけましょう。
毎日のように投函されるチラシにうんざりして放置しておくと「この郵便受けはこまめにチェックされていない」と犯罪者に思われて、狙われてしまいます。郵便ポストを空の状態に保つことで、郵便受けをチェックする警戒心がある住人であることを犯罪者に伝えることになります。
2.郵便ポストに鍵を入れない
郵便受けに家の鍵を入れるのは絶対にやめましょう。空き巣に入られるリスクはもちろんですが、セキュリティ意識のない住人であると判断され、犯罪者からさまざまな手口で狙われることにつながる危険があります。
3.郵便ポスト周辺を綺麗にしておく
郵便ポスト周辺の見た目が汚い場合は、犯罪者の標的にされる可能性があります。特に、マンションのエントランスに管理人が常駐しておらず、チラシが散乱している場合は注意が必要。
管理の目が行き届かず、住民が郵便ポスト周辺に意識を払っていないところは、犯罪者が容易にエントランスに侵入しやすく、郵便物が狙われます。集合住宅の場合は特に、郵便ポスト周辺は綺麗に保つようにしましょう。
4.隣人とのコミュニケーション
防犯カメラが付いているマンションの場合は個人宅に比較しセキュリティがしっかりしているように思われますが、多くの人が行き交うために、見知らぬ人も容易に侵入できてしまいます。
住人同士が挨拶を交わすなどコミュニケーションが円滑に取れている場合、犯行がしづらいマンションだと判断して、犯罪者を遠ざける効果があります。
5.鍵を取り付ける
郵便ポストに鍵が付いていない場合、後から取り付けることも可能。それほど高価で頑丈な鍵でなくても、充分な犯罪の抑止力になります。
引っ越す際には必ずチェック!防犯性の高い郵便ポストの特徴とは。

引っ越しをする場合、周辺の環境や部屋の間取りなどチェックする項目は数多くありますが、郵便ポストの防犯という観点からチェックする方法をご紹介します。
建物の中に郵便ポストがある
集合住宅では、郵便配達員が配達しやすいように、外に郵便ポストがまとめて配置されている場合があります。しかし、郵便ポストが外にあると、誰でも自由に郵便ポストを触ることができるので危険。ですから、防犯対策を考慮した場合、郵便ポストが建物の中に設置されている物件を選びましょう。
郵便ポストに鍵がついている
マンションの郵便ポストには、予めダイヤル式の鍵がついている物件を選ぶと良いでしょう。鍵は後から自分で取り付けることも可能ですが、面倒だと思う場合には、鍵が付いている物件を選ぶと良いでしょう。
防犯カメラがある
郵便ポストの周辺に防犯カメラがついている場合には、万が一、郵便物を抜き取られたとしても、カメラの映像から犯人を特定できる可能性があります。
終わりに

郵便ポストに投函される郵便物は貴重な個人情報の宝庫。たった1枚のハガキから氏名や家族構成だけでなく、ローンの残高や取引先の金融機関まで分かってしまいます。
公共料金の請求書を郵便ポストから盗んでクレジットカードを偽造したり、不在票が盗まれて、通販などで頼んだ商品が取られてしまうなど組織ぐるみでの犯行も増えてきています。
郵便ポストのセキュリティ対策で最も重要なのは、「この住人は防犯意識が高いからやめておこう」と犯罪者に思わせること。そのためには、こまめに郵便物を回収し空の状態にすることや郵便ポストの周辺を綺麗に保つことをおすすめします。
また、引っ越しの際には、間取りや周辺環境だけでなく、郵便ポストが建物内にあるかどうか、防犯カメラや郵便ポストに鍵があることも条件に加えると良いでしょう。
【参考サイト】
あなたの郵便受けが、詐欺犯らに狙われている!?今すぐ、チェック!情報を盗み、モノを盗む手口が迫る。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tadafumiaki/20210725-00249262
日本経済新聞 狙われる集合ポスト 不在票盗み出し、クレカ不正入手
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46807920R00C19A7CC1000/
泥棒は下見する。行動パターンややり方、手口を理解して対策しよう!
https://www.secom.co.jp/homesecurity/bouhan/c/bouhan010.html
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
