Sony
Sony
スマートフォンでの株取引は危険?ネット証券は本当に安全なのか?

トピックス 2021.06.18 スマートフォンでの株取引は危険?ネット証券は本当に安全なのか?

2020年には、ネット証券に新規口座の開設をする人が急増しました。その背景には、一昨年、金融庁が公表した「老後資金2000万円問題」による将来的なお金の不安やコロナ禍で在宅時間が長くなり、投資への関心が高まったことがあります。

特に、ポイントの連携効果が高い楽天証券は、2020年3月には400万口座を突破し、9ヶ月後には500万口座に拡大。1年弱で過去最高の100万口座の新規開設を達成。

その内訳は、30代以下が68%、女性が45%、さらに投資初心者が75%。これまで開拓が難しいとされてきた利用者層の新規開設が拡大を後押しする結果となりました。

ネット証券の手軽さとリスク

「ネット証券」は、スマートフォンで手軽に株式を売買できる一方、その手軽さゆえ、簡単なミスで人生を破綻するようなリスクを負う可能性もあります。

アメリカでは、若者に人気の株取引アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」を使っていた20歳の若者が、一時的な表示エラーでマイナス7780万円と表示されたことで自殺するという痛ましい事故も発生しました。

さらに、スマートフォンの盗難や紛失による不正操作や出金などのセキュリティリスクも気になるところ。この記事では、ネット証券との付き合い方をセキュリティの面から考えます。

ネット証券とは何か?店舗証券と何が違うのか

ネット証券とは何か?店舗証券と何が違うのか

証券会社は「店舗証券」と「ネット証券」に分けられます。店舗証券は実店舗を持った証券会社。規模は大手から地方など様々で、対面型による営業をメインスタイルとしています。

一方「ネット証券」は、基本的にインターネット上のみで取引を行う証券会社。インターネット環境があれば、パソコンだけでなくスマートフォンでも取引が行えるのが特徴。店舗証券とネット証券の違いは大きく3つあります。

実店舗の有無

実店舗の有無

店舗証券を利用するには、来店してやり取りをするか、営業担当者と連絡をして取引を行います。

営業担当者は多くの利用者を抱えているので、自分の好きなタイミングで連絡をとることができない場合も。しかし、ネット証券の場合は、インターネットに接続できるパソコンやスマートフォンがあれば、いつでも好きなタイミングで取引可能。

株取引はタイミングが重要なので、投資タイミングを自分でコントロールできるのはネット証券の大きな魅力です。

担当営業が付くかどうか

担当営業が付くかどうか

店舗証券の場合は顧客に営業担当者がつき、窓口となって電話相談や投資運用の相談といったサービス全般を請け負います。しかし、ネット証券では営業担当者がつくことはありません。

コンサルティングが受けられるかどうか

店舗証券の場合は、運用方法や銘柄選択などを担当者に直接相談しながら決定し、取引も担当者を通して行います。一方、ネット証券は基本的に投資の売買は自己判断。ネット証券の公式サイトに掲載されている様々な銘柄やサービスなどが用意されていて、自ら検索をして取引を行います。

ネット証券のメリット

ネット証券のメリット

売買手数料が安い

ネット証券は、店舗証券よりも取引手数料が安くなる傾向があります。

金額は証券会社によって異なりますが、10万円以下の店舗取引の場合、野村證券が2,860円、大和証券が2,750円に対し、ネット証券の場合は、マネックス証券が110円、楽天証券は10万円まで99円 。

ネット証券では、実店舗で必要な施設維持費や人件費などのコストを全て削減できるので、手数料をかなり安く抑えることができます。

手軽に取引できる

手軽に取引できる

ネット証券は、主にインターネット上で取引するので、メンテナンス時間を除き、自由なタイミングで売買が可能。証券会社は公式アプリなどを設けていることが多いので、スマートフォンやタブレットから手軽に取引ができるのが特徴。移動時間や休憩時間など、隙間時間を見つけて取引ができるのはネット証券の魅力です。

豊富な投資情報

ネット証券の公式サイトやアプリでは、自分で銘柄検索ができるだけでなく、会社四季報や分析チャート・ランキング・スクリーニング情報などが充実しています。

ネット証券のデメリット

ネット証券のデメリット

注文を間違えても自己責任

ネット証券では基本的に、取引は全て自己責任で行います。例えば、100株買い注文をするところを、桁を間違えて1,000株と入力してしまい約定しても、取引をなかったことにはできません。

身近にネット証券に慣れていて教えてくれる人がいないと、初心者の方はパニックに陥るかもしれません。

基本的な投資の知識が必要

大手のネット証券では、国内株式や海外株式、投資信託、債券、FX、先物、コモディティなど様々な金融商品の注文が可能。ネット証券では、何にどれぐらい投資するかを自分で考えなければならないので、基本的な投資の知識がない状態で収益を上げるのは難しいかもしれません。

ネット証券のセキュリティリスクと対策

ネット証券のセキュリティリスクと対策

1.盗難や置き忘れによる情報漏洩

日本人のスマートフォン保有者の5人に1人(23%)が紛失や置き忘れを経験し、11%は端末を取り戻せなかったというデータもあります。盗難にあった場合、端末にロックをかけていても解除される可能性が。

スマートフォンで株取引をする場合、ログインIDやパスワードをその都度入力するのが面倒だからと、スマートフォンの端末に記憶させる方もいますが、万が一ロック解除された場合、証券口座にログインされてしまう可能性もあるので注意が必要です。

【リスクを回避する方法】
● ネット証券のID、パスワードを端末に記憶させない
● 端末のメモ帳にID、パスワードを記載しない
● 2段階認証を行う証券会社を利用する
● 万が一紛失した場合は証券会社に連絡し、ログインや取引にロックをかける
● ロックをかけた上でパソコンからIDパスワードを変更する

3.証券会社への不正アクセス

証券会社への不正アクセス

どの証券会社も、不正アクセスによる情報漏洩を避けるために万全の対策を講じています。ですから、決して多くない事例ですが、不正取引を防ぐためにできる自己防衛を心がけましよう。

【リスクを回避する方法】
● 取引パスワードをログインパスワードとは別のものにする
● 取引パスワードが数字のみの場合、生年月日や電話番号など個人情報を避ける
● 複雑なパスワードを設定できる証券会社をメインに使用する
● 定期的に取引パスワードを変更する
● 「PassClip」などのパスワード管理アプリを利用する

3.ウイルスやマルウェアへの感染

ウイルスやマルウェアへの感染

ウイルスやマルウェアに感染すると情報漏洩が起きる可能性があります。その結果、第三者による証券口座の不正ログイン、取引、出金や、アプリの動作に不具合が出るなど操作性が悪化することも。

売買したい時に発注ができなかったり、アプリがフリーズしたり、勝手に終了するなど、株取引自体ができない状態になってしまう可能性もあります。

【ウイルス感染の原因】
● 不正アプリのダウンロード
● リモートアクセスツールによる攻撃
● 宅配便や大手ECサイト、銀行を装ったフィッシング
● Wi-Fi接続時の感染

【リスクを回避する方法】
● セキュリティアプリをインストールする
● 常に最新のOSにする
● 提供元不明のアプリはインストールしない
● URLフィルタリングやWi-Fiの安全性チェックが付いたセキュリティソフトをインストールする

4.不安定な通信回線

不安定な通信回線

株取引で最も避けたいリスクのひとつが売買の機会損失。スマートフォンの場合、通信環境の問題によって売買したいときに出来ない可能性も。損失が拡大したり、得られるはずの利益を逃してしまう場合もあるので、売買のタイミングを逃すことは避けたいものです。

【不安定な通信回線の原因】
● Wi-Fi通信の接続障害
● 接続先のサーバーダウン
● スマートフォン本体の不具合

【リスクを回避する方法】
● 移動時の利用を控える
● フリーWi-Fiスポットの回線は使用しない

終わりに

ネット証券の魅力

2020年は30代以下の若者や女性、投資初心者の方を中心に「ネット証券」の新規口座開設が急増しました。スマートフォンで手軽に株式を売買できる「ネット証券」は、店舗証券に比較して手数料が低く抑えられ、隙間時間などで好機を逃さず自由に取引が出来るので、非常に魅力的です。

その一方で、店舗証券のように相談できる相手もなく、取引は全て自己責任。そのため初心者は思わぬ壁にぶつかることも。冒頭で紹介した「ロビンフッド」アプリで自殺した青年も投資初心者。投資やネット証券に詳しく、いつでも相談できる人がいると安心かもしれません。

さらに、スマートフォンによる取引では、端末の紛失や盗難、ウイルス感染などで情報が漏洩し、不正取引が行われてしまう可能性も。

セキュリティ対策を万全

2段階認証や複雑なパスワードが設定可能なセキュリティに強い「ネット証券」を選択し、端末のOSは常に最新をインストール、定期的なパスワードの変更やウイルス対策ソフトやアプリの導入などセキュリティ対策を万全にしましょう。

また、ネット証券の連絡先を控えたり、パソコンで操作できる環境を整えるなどして、万が一、スマートフォンが盗難や紛失した場合のシュミレーションをしておけば、安心して取引に集中できます。

「ネット証券」のリスクを充分に理解した上で、万全のセキュリティ対策を講じて、上手に付き合いたいものです。

【参考リンク】

スマホの株取引は危険!?5つのリスクと回避策を徹底解説!
https://navinavi-shoken.com/articles/smartphonestock-trading-danger

楽天証券、3月の新規口座開設25万 SBIを猛追、野村を超えたか?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2104/05/news120.html

1年弱で100万人増、口座数急増でトップをうかがう楽天証券の強みと将来戦略──楠社長インタビュー
https://www.coindeskjapan.com/93874/

なぜ20歳の若者に100万ドル近い取引ができたのか…株取引アプリのユーザーが損失を苦に自殺
https://www.businessinsider.jp/post-215037

ネット証券とは?総合証券との違い・メリットとデメリットも解説!
https://realworld.co.jp/finance/net-securities/

ネット証券の5つのデメリット 手数料などは安いが……https://moneytimes.jp/archives/1893

スマホでウイルス感染!?原因と対処法は?
https://repairman.jp/articles/24

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

この記事を気にいったらいいね!しよう

セキュリティ通信の最新の話題をお届けします。

ページトップ