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世界中を席巻するプラットフォーム企業

トピックス 2021.01.25 世界中のビジネスを席巻するプラットフォームビジネスとは?

Google、Apple、Facebook、Amazon、Instagram、YouTube、Uber、Airbnb。

ITニュースを見ていて頻繁に登場するこれらの企業やサービス。それぞれ事業内容は全く異なるものの、これら世界的大企業に共通するのがいずれも「プラットフォーム企業」という点です。

プラットフォームとは複数のユーザーやプロデューサーの間での価値交換を円滑にするビジネスモデルのことを指します。

例えば、先日上場したばかりの米民泊仲介Airbnbは、宿を借りたいユーザーと宿を貸したいプロデューサーとを繋げる「場」を提供しているわけですが、2020年2月時点でAirbnbに登録されている物件数は約600万件と世界のホテルチェーントップ5の客室数を足した数よりも多いのです。

Airbnbが客室を一室も所有することなく「世界最大のホテル企業」になったように、現在世界で成功している多くの企業は、ユーザーとプロデューサーを繋げることで独自の経済圏を構築しています。

これは何も前述した大企業に限らず、ユニコーン(企業価値が10億ドルの未上場企業)の6割がプラットフォーム企業であり、かつてAirbnbもその一つに数えられました。

プラットフォーム企業が市場を席巻しているのはアメリカに限らず、中国や日本でも同様にプラットフォーム企業が大きな存在感を誇っています。今回は世界を席巻するプラットフォーム企業について解説します。

プラットフォーム企業とは

プラットフォームが牛耳るウェブの世界

プラットフォームビジネスで大躍進を遂げた企業群を見ていると、新しいビジネスモデルという印象を受けがちですが、プラットフォームビジネス自体は古くから存在しているものです。

例えば、商品を販売したい複数の店舗を1箇所に集め、商品を購入したい人たちが一度に様々な商品を見比べ、自分が欲しいものを購入できる環境を提供するという文脈に当てはめると、「商店街」や「百貨店」などもプラットフォームに含めることができます。

突き詰めて考えていけば、生活やビジネスが展開しやすい環境を整備している国家や自治体でさえもプラットフォームと考えることができるのです。

古くから存在しているプラットフォームという概念が今になって注目されるようになったのは、ITとプラットフォームが交差したことにあります。

商店街や百貨店というリアルの「場」が必要なプラットフォームは、プラットフォームを構築したり増設したりするために物理的なスペースが必要となり、新規参入や拡大が容易ではありません。

しかし、インターネット上であれば、低コストでプラットフォーム構築が可能です。

プラットフォームビジネスが求められるようになった背景

プラットフォームでショッピング

プラットフォームビジネスが注目された理由の一つに挙げられるのが多様化するユーザーのニーズです。

多くの業界にとって、業界構造の変化や多様化するユーザーのニーズを一社で対応することが難しい時代になり、プラットフォームという場を活用することによって互いに足りない部分を保管しあう必要が生まれました。

例えば、何か商品を販売したい場合、Amazonや楽天など人気のプラットフォームには多くのユーザーが集まるため、個々の商店はプロモーション等に投資をする必要がなくなり、商品開発等に力を注ぐことができるでしょう。

ゲームやアプリの開発者に関しても、開発のスキルさえあればマーケティングのスキルがなくとも、多くの顧客に自らのサービスを提供することが可能になり、それはAppleのAppStoreが物語っています。

決済サービスPayPalを創業したピーター・ティールは「資本主義と競争は対極に位置する」と指摘していましたが、まさにプラットフォームという概念は個々の足りない部分を補足し合い、それぞれが得意とするものに力を注ぐことを可能とする仕組みと考えることができるのです。

それに加えてYouTubeなどのプラットフォームの誕生により、これまで視聴者だったユーザーがプロデューサーとして動画を投稿することも可能になり、プラットフォームビジネスはこれまでになかった市場を新たに生み出す力も兼ね備えています。

プラットフォームビジネスのメリット

プラットフォーム化で集約される人、もの、情報

ユーザーのニーズが多様化したことによって、互いの足りない部分を「補い合う場」の重要性が高まったことでプラットフォーム企業が注目され始めました。

そんなプラットフォームビジネスには「ネットワーク効果」と「データ蓄積」というメリットがあり、これによってプラットフォームビジネスを展開する企業は常に市場で優位性を担保することができています。

ネットワーク効果

プラットフォーム上でサービスを提供するプロデューサーが増えれば増えるほどプラットフォームの価値は向上し、それによって多くのユーザーが集まります。

多くのユーザーが集まればプロデューサーの利益は向上し、さらに多くのプロデューサーがプラットフォームに流入することによって、競争が激化して提供されるサービスの質が向上します。

サービスが向上すると、さらにユーザーが集まる、という好循環が発生することによって一度軌道に乗ったプラットフォームは高い競争力を維持することができます。

データ蓄積

前述のネットワーク効果の恩恵として挙げられるのが、ユーザーから得られる情報です。

例えば、Uberの場合、ユーザーの移動データを得ることによって属性ごとの移動傾向を把握することができますし、Amazonに関しても購入データを得ることによってユーザーの暮らしの傾向を把握し、販売施策に応用することができます。

これらの膨大なデータはビッグデータと呼ばれるのですが、データが「21世紀の石油」と呼ばれるようになったこの時代において、活用次第で大きな力を発揮するデータを集めることができるプラットフォームビジネスが注目されるのも無理はありません。

まとめ

次々と誕生するプラットフォーム企業は資金調達能力にも優れ、一般的な企業の2倍以上の資金を調達していると言われています。

Airbnbが客室を一室も持たず世界一のホテル企業になり、Uberがタクシーを一台も持たず世界一のタクシー企業になったように、プラットフォーム企業の登場は既存産業のルールやあり方を根本から覆してしまう力があるのです。

こうした企業の登場によってあなたの業界も変化を問われる時代がすぐ目の前まで来ている。そう考えてみると、普段ニュースで見かけるプラットフォーム企業群の活躍が少し身近に感じるかもしれません。

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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