トピックス 2020.09.04 「VPN」ってどんな技術?テレワークにも利用できる?
新型コロナウイルスの感染拡大によって急激にテレワークの必要性が高まっていますが、このテレワークを行う際の選択肢の1つにVPNと呼ばれる仕組みを利用する方法があります。
もしかしたら最近名前を耳にすることのある方も多いのではないかと思いますが、VPNとは一体どのような仕組みになっていて、利用することでどのようなメリットがあるのかご存知ですか?
本記事では、VPNの特徴や利用する上でのメリットデメリット、VPNの利用方法について解説します。
VPNを使うと何ができるの?
VPNとは、Virtual Private Networkの略称で、日本語にすると「仮想専用線」といった意味になります。
私たちがインターネットに接続する時に、フリーWifiなどの公衆ネットワークを利用すると1つのインターネット回線を複数のユーザーで共同利用することになるため、通信内容の盗み見や改ざんといったリスクが存在します。
そういった場面で自分専用の個別回線を用意することは非現実的であるため、利用する回線の中に仮想的な専用回線を作って、その仮想回線の中で通信をすることをできるようにする技術がVPNです。
また、VPNは暗号化や認証などの仕組みを使っているため、VPNを利用することにより、カフェと職場などの異なるネットワークをセキュアにつなぐことができます。
主な利用シーンとしては、企業の異なる拠点同士をつなぐ事業所間ネットワークや無料Wifi利用時のセキュリティ対策、テレワーク時の自宅とオフィスの接続で利用されることが多いです。
VPNを利用するメリットとデメリット
便利で実際の業務上でもよく利用されているVPNですが、そのメリットとデメリットについて確認しておきましょう。
VPNを利用するメリット
・通信を暗号化することにより、情報の傍受、漏洩に対するセキュリティを高めることが可能(ただし、VPNを利用することで全てのセキュリティトラブルを避けられる訳ではありません)
・物理的な距離に関係なく相互通信可能なネットワークを接続することができる(会社のサーバーに自宅からでもアクセスできるようになる)
・IPアドレスを匿名化することで利用者のプライバシー等を守ることができる
・専用線を敷設するのに比べてコストが低く収まる
VPNを利用するデメリット
・回線の集中や暗号化によってパケットが増大して通信速度が遅くなりがち
・VPNの利用により消費電力が上がり、モバイル端末の場合はバッテリーの消費が上がる
・VPNを使うユーザによる利用上のミス(使い漏れ)が発生しうる
VPNを利用する場合、専用のソフトウェア使う必要がありますが、VPNを使わなくてもネットワークとの接続ができてしまう場合には、VPNの接続漏れが発生し、セキュリティ面などの効果が望めないことが起こり得ます。
VPN環境を構築するための方法
それではVPNを実際に利用したい場合には、どのような準備が必要となるのでしょうか。
方法としては、ネットワークの管理者と利用者が設定を行ってVPN環境を構築する方法と、VPNサービスの提供者と契約してVPNを利用する大きく2つの方法があります。
VPN環境を構築する場合
ルータなどの通信機器には、VPNサーバ機能が付いているものがあり、VPN機能をONにする設定を行うことでVPN接続が可能となります。
その後はVPNサーバの設定に従い、PCやスマホなどの利用端末にVPN接続の設定を行ったり、専用のソフトウェアをインストールすることでVPNを利用できます。
VPNサービスを利用する場合
自分でVPN環境を構築する以外には、セキュリティソフト会社などが提供を行なっているVPNアプリやVPNソフトを利用する他、筑波大学が提供する「VPN Gate」などのように大学などの研究機関が提供するVPNサービスを利用可能で、無償で使えるものと有償で使えるものとが存在します。
また、今ご紹介した2種類のVPNの利用方法に加えて、VPN接続を強制するソフトウェアを端末にインストールすることでセキュリティを高めることもでき、テレワークでVPNを利用する場合などうっかりミスを防ぐために有効な方法です。
終わりに
VPN接続を利用し、社内のネットワークに会社の外から接続することができるようになれば、テレワークの観点からも大きなメリットが存在します。
しかし、VPN接続の設定が漏れてしまった場合には、大きなセキュリティホールになり得る他、VPNを新しく導入する場合には回線の圧迫によるインフラ(基盤)の強化が必要な場合もあります。
テレワークの機運が高まっている今は、VPNの利用を含めた社内の業務環境を改めて見直してみる良い機会かもしれませんね。
【関連リンク】
・VPN Gate 筑波大学による公開VPN中継サーバープロジェクト(VPN Gate)
https://www.vpngate.net/ja/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
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