ニュース 2021.08.30 大阪市立科学館のSNS投稿対策、複数の管理職によるチェック体制確立は正しいか
大阪市立科学館(大阪市北区)のTwitterにおいて、7月29日に投稿された写真に、個人情報が写り込んでいたとして大阪市が謝罪した。
写真に写りこんでいた個人情報は、同館主催のイベントに応募した応募者のハガキで、住所や氏名などの個人情報が記載されたものだったという。
指摘したのはTwitterのフォロワーで、写真はすぐに削除された。
今回の問題を受けて、同館では、チェック体制に問題があったとしており、今後は、「SNSへの情報公開時には、管理職による複数チェックを設ける」といった対策をとるとコメントしている。
SNS活用の良い点は「速報性」、管理職チェックにまわしている間に情報は古くなる
しかし、SNSは、現場の生の声をいち早く届けられる、速報性にこそ良さがあるともいえる。複数の管理職が情報をチェックしている間にタイミングを逃すこともあるだろう。
今回のケースは、気がついて指摘したのはフォロワーだ。つまり、見る人が見れば、「投稿された写真は個人情報」であり、公開してはいけないものだということが瞬時に分かるということだ。
同館の課題は、チェック体制ではなく、個人情報に対する危機意識ではないだろうか。
若者に根付きはじめた「個人を特定できる情報」への危機意識
流行に敏感な若者のあいだでは、SNSへの投稿写真は、アプリで自身の顔を加工するなどし、顔を隠すのが流行だ。
博報堂のシンクタンク「生活総合研究所」の調査「スマートフォン・SNS内の保存データ調査」(2020年12月)によれば、Z世代(1996年から2015年の間に生まれた世代)が、Instagramでプロフィールに使用する写真は、「後ろ姿など顔が特定されない自分」であり、「顔を出している自分」にしている人を上回っていた。
近年、情報リテラシー教育が進みはじめ、若者の間では、「個人情報が特定される投稿」への危険性など、危機意識が根付いてきている。
「顔写真」「固有名詞」「位置情報」などは、最も公開しないほうが良い個人情報として認識が広まっているのだ。
こうした危機意識が、企業や組織のSNS投稿担当者にも根付くようになれば、投稿前に、複数の管理職チェックを経る必要もなくなるのではないだろうか。
【関連リンク】
・Twitterにイベント応募者の個人情報含む写真を投稿 - 大阪市立科学館(Security NEXT)
https://www.security-next.com/128946
・「顔隠し写真」が若者に流行 個人情報特定にもつながるSNS投稿を避け高まる情報リテラシー(BLOGOS)
https://blogos.com/article/541705/?p=1
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
