ニュース 2021.05.18 楽天モバイルに1000億円と元社員に10億円の損害賠償請求権
ソフトバンクは、5月6日、楽天モバイルと、ソフトバンクを退社して同社に転職した元社員に対し、約1000億円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提起したことを発表した。
楽天モバイルに転職した元社員には、1000億円の一部にあたる10億円の支払いを求めている。
ソフトバンクからの訴状は、2019年末に同社を退職した元社員が、不正に営業秘密を持ちだし、楽天モバイルに転職していたとされる事案についてのもの。この社員は、警視庁により、2021年1月12日に不正競争防止法違反の疑いで逮捕、2月2日付で、起訴されている。
あらゆる情報は財産であるという意識づけを
ソフトバンクは、2020年11月、楽天モバイルに対して証拠保全申し立てを行っている。不正に持ち出されたとされるのは、5G(第5世代移動通信システム)、4G用の基地局情報など技術情報だ。この情報をもとに建設された基地局なども存在するとし、今後の裁判で明らかにしていくと述べている。
一方、楽天モバイル側も、社内調査で問題は発見されなかったとしており、「訴状の送達を受け次第、内容を精査して裁判で当社の正当性を主張していく」とコメントを発表した。
現在のところ、元社員がなぜ情報を持ちだしたのかなど動機は明らかにされていない。
雇用の流動化として、ポジティブに受け入れられるようになってきた転職だが、注意したいのは、このような同業他社への職場替えだ。
これまで培ってきた知識や技術を活かしたいという思いは当然誰にでもあり、会社側もそれを期待する。しかし、組織のなかで作られたデータや資料は、組織の重要な資産であり、簡単に持ち出すことができてしまうとしても、持ち出してはいけないものなのだ。
従業員には、ウィルス対策のようなセキュリティ意識だけでなく、あらゆる情報が資産であるという意識づけも、しっかり行っていく必要がありそうだ。
【関連リンク】
・プレスリリース:楽天モバイルと楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起
1,000億円規模の損害賠償請求権を主張(ソフトバンク)
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20210506_01/
・当社に対する訴訟の提起について(楽天モバイル)
https://corp.rakuten.co.jp/news/update/2021/0506_01.html
TEXT:セキュリティ通信 編集部
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