ニュース 2021.03.31 トヨタなど車業界全体で、コネクテッドカーの発展にむけ手をつなぐ
日本のメーカーは、同業同士で情報共有をすることが苦手だ。
サイバーセキュリティ対策についても、ISAC(Information Sharing and Analysis Center)のような横串組織が活用されることは少なく、2020年に実施されたNRIセキュアテクノロジーズ(東京千代田)の調査によれば、企業がセキュリティー関連の課題解決のため、情報収集手段としてISACなど業界団体を活用した割合は6.2%であり、米国の25.6%を大幅に下回った。
こうした中において珍しく、日本車業界は、サプライチェーン全体で協力し、コネクテッドカーのサイバーセキュリティー対策に本格的に乗り出すという。
J-Auto-ISAC設立で21社が団結
トヨタ自動車など、車メーカー14社、車部品メーカー7社が共同で、この2月に一般社団法人「Japan Automotive ISAC(J-Auto-ISAC)」を設立した。
コネクテッドカーは、ICT端末としての機能を持つ自動車のこと。ネットワークを介し、周囲の道路状況など様々なデータを取得、分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。
しかし、ネットワークとつながるということは、サイバー攻撃に対するリスクもあるということだ。
サイバー攻撃の脅威に対する情報収集などは、費用負担も大きく、一社で負担するには荷が重い。J-Auto-ISACを設立し協力しあうことで、一社の費用負担が減るだけでなく、情報収集のスピードもあがり、より正確な情報を集めることも可能になるといえる。
今後は、業界一体となって協力しあい、コネクテッドカーの発展を目指していく。
米巨大テックFAMGAも、コネクテッドカー発展にむけ技術開発投資活発化
近年では、米巨大テック企業も自動車産業に参入しはじめ、注目を集めているが、先月2月11日(ドイツ時間)には、フォルクスワーゲン(VW)が、グループ会社Car.Software Organisationが自動運転機能の開発で米Microsoftとの協業を強化すると発表した。
VWとMicrosoftは、既に2018年から協業を始めており、同社のクラウドサービス「Azure」を用いたコネクテッドカー向けサービス基盤「VWオートモーティブクラウド」の構築を進めている。
今回の発表は、それとは別に、自動運転システムの開発効率化でAzureを活用することをアナウンスしたものだ。
米巨大テック5社それぞれが技術開発への投資を活発に行なっており、車業界は、急激に進化の道へと突き進んでいる。
【関連リンク】
・供給網ぐるみで車サイバー対策 トヨタなど新団体始動(日本経済新聞社)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ08AXQ0Y1A200C2000000/?unlock=1
TEXT:セキュリティ通信 編集部
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