ニュース 2021.02.01 WhatsApp利用者の大量引越しで、個人情報保護方針の改定延期へ
世界最多ユーザー数を誇る対話アプリ「WhatsApp」を運営する米WhatsAppは、1月15日、2月8日に予定していた個人情報保護方針の改定を5月15日に延期することを公式ブログ上で明らかにした。
新ポリシーに改定されると、ユーザーはWatsAppの親会社であるfacebookに対し、今までより多くの個人情報を共有することに同意しなければならないとあり、多くのユーザーがこれに反発を示していた。
利用者は競合アプリへの引越しを始め、暗号化メッセージアプリ「Signal」や「Telegram」のダウンロード数は、急増しているという。
同社は、説明が不十分だったとし、「プライバシーや安全に関する誤解を解消し、利用者が時間をかけて評価できるようにする」としている。
厳格化するプライバシー保護法、難解な文書がユーザーを遠ざける
WhatsAppは、2014年に米facebookが買収。欧州、南米、インド、アフリカで特に人気があり、世界で20億人以上、インドだけでも4億3000万人以上の利用者がいるという。
個人情報保護方針の基準は、国や地域によって異なるが、中でも欧州のプライバシー保護法は世界で最も厳しく、利用者のプライバシーへの問題意識も高い。
また、近年では、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などの適用で、消費者は、収集されたデータがどう利用されるかを把握する権利があることが明確になっており、削除要求も可能だ。
米facebookは、「高度な暗号化の技術の利用は継続して行い、個人間のやり取りには影響しない」としているが、WhatsAppの改定内容は、こうした流れに逆行するものと受け取られた。
アプリなどに表示される「ソフトウェア利用に関する個人情報保護方針」など合意を求める文書は、言葉が難解なだけでなく、技術的知識がなければ正しく理解するのも難しい。
利用者は、信頼できないと判断すれば、手元の操作であっという間に他のサービスに切替えてしまう。
しかし、本当に安心できるサービスは、表面上の分かりやすさだけではないはずだ。企業がサービスに対して行っているセキュリティ対策や技術力の高さなど、様々な面で信頼できる情報を自ら集め、判断することも必要になるだろう。
【関連リンク】
・米WhatsApp、情報保護方針の変更延期 利用者流出で(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1608M0W1A110C2000000
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock