ニュース 2020.11.12 総務省 医療IT化支援 サイバー攻撃対策は課題
米国の医療機関大手ユニバーサル・ヘルス・サービス(UHS)のコンピューターシステムが、9月下旬、史上最大規模のサイバー攻撃を受け、一部の医療機関ではコンピューターがダウンし、患者のカルテを手書きせざるを得ない事態が続いた。
ドイツのデュッセルドルフ病院でも、ITシステムがランサムウェア攻撃を受けたあと、患者が亡くなる事件があった。システムが停止し、電子カルテにアクセスできなくなったことから救命処置が遅れた可能性がある。
世界中の多くの病院もランサムウェア攻撃の被害を受けており、日本でも、医療のIT化が加速される中で、こうしたセキュリティに関する問題には最大限の注意が必要だ。
米国では、臨床医療の効率化も加速
総務省は、「医療・介護・健康分野のネットワーク化の推進」「医療・介護・健康分野における先導的なICT利活用の推進」という2つの指針を掲げた。
クラウドサービスやスマートフォンの普及により、パーソナル・ヘルス・レコードの活用が可能になり、妊娠・出産・子育て支援、生活習慣病重症化予防支援など、新たなサービスモデル開発も進んでいる。総務省は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構を通じて支援も行っているという。
医療のIT化では、高齢化に伴う患者の通院負担増大、医師不足の解決策として、患者の遠隔モニタリングやオンライン診療など、遠隔医療への期待される。さらには、医療提供者のワークフロー改善といった臨床業務全般を改善する目的もある。
米国では、医療の効率化も注目されており、診療時に医師の音声を文字起こしし、自動でカルテを作成するツールなど、医療提供者が謀殺される書類作成への負担軽減なども視野に技術変革が進んでいる。
【関連リンク】
・ 医療・介護・健康分野の情報化推進(総務省)
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/iryou_kaigo_kenkou.html
・医療現場にデジタル化の波 開発最前線の90社を分析(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64698520W0A001C2000000/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
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