ニュース 2020.05.31 高速滑空ミサイルの性能情報流出か、三菱電機へのサイバー攻撃で
三菱電機が大規模なサイバー攻撃を受けた問題で、流出したことが疑われる情報の中に防衛省が研究開発中の最新鋭兵器の「高速滑空ミサイル」の性能に関する情報が含まれていたことが5月20日、複数の防衛省幹部によって明らかとなった。
関係者によると漏えいした可能性があるのは、試作品発注のために防衛省が企業側に求めた評価基準や性能などの情報とのこと。
それらは試作段階の「性能要求事項」などで今後内容が変わる可能性があるため「特定秘密」には当てはまらないが、厳重な管理が求められる「注意情報」に当たるとして防衛装備庁は三菱電機に対して情報の保全を求めていた。
特定の装備の情報流出は異例
高速滑空ミサイルとは複雑な軌道を描いて超音速で長距離滑走し、敵の防衛網を突破して目標を精密攻撃することができるという。中国・ロシア・米国などが開発を進め、防衛省も2018年度より離島防衛用として研究に着手していた。
防衛省や防衛産業へのサイバー攻撃で特定の装備に関する情報流出の可能性が明らかになることは今までに例のないこと。そのため防衛省で安全保障上の影響などを調査している。
三菱電機は今年1月、大規模なサイバー攻撃を受け、自衛隊関連の情報を含め最大計8,122人分の個人情報が流出した可能性があることを公表した。
三菱電機によると昨年3月から攻撃の準備が行われており、まず中国拠点内にあるネットワーク内のサーバーへの攻撃があり、その中国の端末を介し日本国内の複数の拠点にもマルウェアの感染が拡大したという。
【関連リンク】
・新型ミサイル性能漏えいか 三菱電機、サイバー攻撃 防衛省が全容調査 (日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59341910Q0A520C2CR8000/
・最新鋭ミサイルの性能情報漏洩か 三菱電機サイバー攻撃(朝日DIGITAL)
https://www.asahi.com/articles/ASN5M5TZJN5KULZU004.html
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock