トピックス 2022.01.07 オンラインゲームプレイヤーのセキュリティとの向き合い方とは?
セキュリティソフトをインストールしていて、スキャンなどが行われていると、ゲームを行う際に速度が落ちて、ゲームでのパフォーマンスが発揮できないといわれています。
当然、コンピューターのセキュリティは重要です。しかしながら、コンマ何秒の動きが勝敗を左右するゲームの世界では、少しのスピード低下が命取りになります。
オンラインゲームの人気がどんどん上がる中で、ゲーマーはセキュリティという概念とどう向き合っていけば良いのでしょうか?
今回は、オンラインゲームプレイヤーのセキュリティとの向き合い方についてお伝えしていきます。
スキャンなどの際にセキュリティソフトがパフォーマンスに影響
近年はパソコンの性能が格段に向上したこともあり、セキュリティソフトが起動しているだけでは、パソコンの性能が大きく落ちることはなく、パフォーマンスへの影響はほぼありません。
セキュリティソフトの有無で比較すれば、ベンチマークスコアは誤差程度という調査結果もあります。ベンチマークスコアとは、ベンチマークテストと呼ばれる性能比較テストの結果から算出された得点のことです。
ただし、セキュリティソフトがパソコンをスキャン中であるなど、リソースを多く要する処理が実行されている時は、明らかにパフォーマンスに影響が出ます。
定常的なスキャン以外でも、何らかの原因によりパソコンに異常に大きな負荷がかかることもあり得ます。
また、セキュリティソフトがアプリケーションをマルウェアと誤検知してしまうと、起動を阻まれかねません。
実際に販売されているセキュリティソフトをいくつか用いてベンチマークテストをした事例もあります。
しかしながら、いずれのソフトもスキャンなどのリソースを要する処理をする際には、ある程度パフォーマンスへの影響があるという結果になりました。
当然の話ですが、セキュリティソフトがパソコンのデータを詳細にチェックする以上、性能の低下は免れず、パフォーマンスに影響があります。
ただ、ゲームのパフォーマンスに影響があるとしても、マルウェアやサイバー攻撃からパソコンを守るためにセキュリティソフトは動作させておかなくてはなりません。
定期的に実施されるスキャンに対しては、ゲームをプレイする時間以外でスキャンされるように計画するしかないでしょう。
もう一つの解決方法は、ゲームの必要スペックやセキュリティソフトの必要スペックを考慮して、十分な性能を持つゲーミングパソコンを用意することです。
スペックに余裕があれば、少しばかりセキュリティソフトが動作したとしても、当然のことながらゲームプレイに支障は出ません。
パソコンショップの従業員などと相談のうえ、ある程度のスペックを持ったゲーミングパソコンを準備することで問題が解決することもあるでしょう。
ゲーミングパソコンにGPUを搭載するのも一つの手です。GPUとはGraphics Processing Unitの頭文字を取った言葉で、コンピューターゲームに代表されるリアルタイム画像処理に特化した演算装置です。
特に3Dゲームをプレイする際には、画像処理に割かれるリソースが多くなりますので、画像処理をGPUに負担させることで、CPUのリソースに余裕を持たせられるでしょう。
近年では、GPUが初めから搭載されているゲーミングパソコンが販売されるようになっていますので、別々に購入するよりも安値で手に入れられます。
その他留意しなければならないオンラインゲームのセキュリティ対策とは
セキュリティソフトの導入以外にも、留意すべきオンラインゲームのセキュリティ対策が存在します。ここからは、そのセキュリティ対策の内容をみていきましょう。
1つ目は、「アカウントを厳重に管理する」ことです。
オンラインゲームのアカウントなどで単純なパスワードを使っていると、悪意のあるユーザーにアカウントを奪われかねません。
生年月日を利用したり、ユーザーアカウントを1文字も変えずにパスワードにしてしまうなど、推測されやすいパスワードを使うことは絶対にやめましょう。
辞書に載っている単語をつなげたパスワードも、簡単に破られてしまいます。英数字と記号も織り交ぜ、簡単に推測できないパスワードを使うことが大事です。
また、パスワードは定期的に変更することで、不正アクセスの可能性を低減できます。パスワードが流出した場合に、複数のパソコンやサービスにログインされてしまうため、パスワードの使い回しは絶対にやめましょう。
ゲーム事業者から提供されている二要素認証を活用して、アカウントのセキュリティ強度を上げることも有効です。
2つ目は、「セキュリティ修正の迅速な適用」です。
OSや各種ソフトウェア、各ゲーム機のセキュリティ担当者は、サイバー攻撃の標的となり得る脆弱性をつぶすために、日夜対応を続けています。
脆弱性は発見され次第、担当者による修正がなされ、その修正パッチが配布されます。
こうした修正パッチは、配布され次第すぐに適用しましょう。
3つ目は、「見知らぬURLを開かないこと」です。
メールやチャットで提示されたURLは、フィッシングサイトやマルウェアへのリンクとなっていることが往々にしてあります。
落ち着いて確認すれば怪しさを感じるURLでも、オンラインゲームのチートツール(ゲームを有利にする不正プログラム)が入手できる、などの文面と共に提供された場合は、欲望を煽られてアクセスしてしまう方もいるはずです。
オンラインゲームの偽サイトに誘導され、クレジットカード情報やインターネットバンキングの情報を窃取されるといったことや、ランサムウェアをダウンロードさせられてデータの復旧と引き換えに多額の身代金を要求される、ということもあり得ます。
少しでも違和感があればアクセスを中止するよう留意しましょう。
4つ目は、「怪しいファイルはインストールしないこと」です。
オンラインゲームをライセンスなしでプレイできるファイルがインターネット上で配布された事例があります。このファイルはマルウェアも同時にインストールしてしまうファイルだったのです。
マルウェアは遠隔で仮想通貨を採掘するプログラムで、システムのリソースの大部分が占有されてしまい、オンラインゲームのパフォーマンスに大きな影響が出てしまうというものでした。
また、インターネット上の大手ゲーム配布サイトにて、有名ゲームに似せたマルウェア付きのゲームソフトが猛威を奮ったこともありました。
このマルウェア付きのゲームソフトは、Androidにバックドアを仕掛けたり、システムへのアクセスを不能にするなどの様々な悪影響を及ぼします。
バックドアとは、サイバー攻撃者からのデバイス遠隔操作を可能にする仕組みのことを指します。
これらの怪しいソフトウェアをインストールしないことはもちろん、これらの怪しいソフトウェアがセキュリティソフトのチェック対象から除外するように要求してきても、安易に除外しないことです。
終わりに
オンラインゲームのプレイヤーにとって、パソコンのパフォーマンスは最重要事項です。しかしながら、セキュリティに関しても対応しないわけにはいきません。
セキュリティソフトのスキャンなどが発生した場合は、どうしてもパフォーマンスに影響が出てしまいます。
そのため、ゲームのプレイ時間以外にスキャンを実施するよう設定するなど、パフォーマンスの低下を極力回避するような対応を取りましょう。
また、その他のセキュリティ対策も必要です。
アカウントの厳重な管理やセキュリティ修正の適用、怪しいURLはクリックしないなど、油断せずに対応しましょう。
【参考サイト】
チョコっとプラスパスワード(独立行政法人 情報処理推進機構)
https://www.ipa.go.jp/chocotto/pw.html
PCの性能を落とさないセキュリティソフトは?(アイティメディア株式会社)
https://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0808/28/news040.html
セキュリティソフトの比較 2021(株式会社さくらクリエイト)
https://thehikaku.net/security/hikaku.html
How Secure Is My Password?(security.org)
https://howsecureismypassword.net/
今までの常識は通用しない?安全なパスワードの桁数などの条件とは(LRM株式会社)
https://www.lrm.jp/security_magazine/secure_password/
オンラインゲームユーザを狙う脅威とその対策(トレンドマイクロ株式会社)
https://is702.jp/special/3654/partner/12_t/
オンラインゲームを襲う5つの脅威とその防御策(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
https://eset-info.canon-its.jp/malware_info/trend/detail/161220.html
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock