トピックス 2022.05.06 レジ袋有料化で万引き増加?!あなたが犯罪を疑われないための対策を解説
2020年7月1日から実施されているレジ袋有料化により、「万引き」の被害が増えていることをご存じでしょうか。
たとえ万引きをしていない一般的な消費者でも、店員や万引きGメンから「この商品のお支払いはお済みですか?」と疑われるケースも少なくありません。
また、お店で買った商品を持ったまま別のお店をはしごすると、2軒目以降に訪れたお店で万引きを疑われてしまう場合もあります。
この問題は決して他人事ではありません。外のお店で買い物をする機会があるすべての人に関係する課題です。そこで、この記事では、あなたが万引きを疑われないためにできる対策についてご説明します。
レジ袋有料化で万引きを疑われる?!
レジ袋の有料化によって、普通の消費者でも万引きを疑われてしまうケースが多くなりました。
これは、実際に万引きが増えたことが大きく関係しています。スーパーマーケット協会が行った調査によると、約3割ものお店が「万引きが増えた」と回答しました。
万引きは、お店側にとって大きな損失を生み出す犯罪です。このような現状では、お店側が警戒感を強め、お客さまを疑ってしまう場面が出ても仕方ないといえるでしょう。
また、レジ袋の有料化以前は、店舗に常駐する万引きGメンがエコバッグの有無で怪しい人間の目星をつけていました。
しかし、レジ袋の有料化が実施されて以降、エコバッグを持って買い物をすることは当たり前となっています。これにより万引きGメンは、従来の方法で万引き犯の目星をつけることができなくなってしまったのです。
さらに、エコバッグ所持に加えて、コロナ禍でお客さま全員がマスクをしていることも万引き犯の見極めを難しくしている要因です。
皮肉にも、地球に配慮したエコ活動や感染症拡大防止策などが万引きをしやすい環境を作り出し、結果的に万引き被害が増えてしまいました。
損失を減らすためにお店側はさまざまな可能性を考慮しなければならず、少しでも怪しい点のある人を疑わざるを得なくなってしまったのです。
そのため、私たちが気兼ねなく買い物をするためには、各自で万引きを疑われないための対策をする必要があるといえるでしょう。
万引きを疑われないための対策
次に、私たち消費者が万引きを疑われないためにできる対策をご紹介します。ここでご紹介するのは「万引きできる状態を作らない」ことを意識した対策です。
まず、入店時はエコバッグを畳んでおくか、バッグやポケットにしまっておきましょう。
入店時から広げたままにしておくと、商品をいつでもエコバッグの中に入れられる状態になってしまいます。この状態では、たとえ万引きをする意思がなかったとしても疑われてしまうでしょう。
エコバッグの種類によっては、小さく畳めるタイプの商品もあります。場所も取らずにカバンやポケットに入れられて、持ち運びにも最適です。これからエコバッグの購入を検討している場合には、バッグやポケットに入るように工夫されたエコバッグを選びましょう。
また、エコバッグを出す理想的なタイミングは「お会計が終わってから」です。商品代金を支払い終わってしまえば、万引きを疑われる心配はありません。このタイミングを徹底するだけで、店員や万引きGメンに目をつけられてしまう可能性を大幅に減らせるでしょう。
加えて、スマホや財布を頻繁にバッグから出し入れする行為も万引きを疑われる原因となります。できるだけ買い物中は両手を出しておきましょう。
ただし、メモを見るためにスマホを取り出したくなる人もいるでしょう。そのような場合には、はじめからスマホを手に持ったままの状態で買い物をしてください。
財布についてはお会計時に出せば、十分に間に合うはずです。店員が商品バーコードを通している間や金額計算をしている間に出すように心がけましょう。
これらの対策を行えば、万引きを疑われる可能性は大幅に低くなります。楽しく買い物をするために必要な対策ですので、面倒かもしれませんが、できることから始めていきましょう。
そもそもレジ袋有料化の背景にある環境問題とは
そもそも、レジ袋有料化は環境問題を改善するために実施された施策であり、とくに海洋プラスチック問題に焦点を当てています。
海洋プラスチック問題とは、海にプラスチックごみが漂流し、海洋生物や環境への悪影響などが発生する問題のことです。
多くの海洋生物がプラスチック破片を誤飲・誤食して傷つけられたり、死んでしまったりしているといった報告が世界中で多数あります。この問題は確実に海の生態系に悪影響を与えてしまっているのです。
日本でも、ウミガメがクラゲと間違えてビニール袋を食べてしまう事例がありました。
今回は代表例として海洋生物への悪影響を挙げましたが、そのほかにもさまざまな課題があります。プラスチックによる海洋汚染は、現在も地球規模で広がっており、国際的な問題に発展しています。
環境問題を解決するためのレジ袋有料化に疑問の声も
海洋プラスチック問題の改善を図るために実施されたレジ袋有料化ですが、疑問の声もあがっています。
疑問の声があがる要因として、そもそも日本は世界の国々と比較してプラスチックごみの発生量が少ないことが挙げられるでしょう。
事実、日本から海に流出したプラスチックごみの発生量は年間で約6万トン。これは世界で30番目に多い数字です。
一方で、最も海にプラスチックごみを流出させてしまっている国は中国で、年間で約353万トンといわれています。つまり、中国は日本の50倍以上のプラスチックごみを海に流出させているのです。
このようなデータから「日本でレジ袋有料化をやる必要があるのか」と疑問を抱える人もいます。
また、もう一つの要因として、日本から流出しているプラスチックごみの中ではレジ袋の割合が低いことが挙げられます。
日本から流出しているプラスチックごみの重量割合は、次のとおりです。
・魚網やロープ 41.8%
・ライター、注射器などのその他プラスチック 26.7%
・ブイ 10.7%
・飲料用ボトル 7.3%
・その他プラボトル類 5.3%
・発砲スチロールブイ 4.1%
・その他漁具 2.7%
・カトラリー 0.5%
・容器類 0.5%
・レジ袋(ポリ袋) 0.4%
上記のように、レジ袋はそのほかのプラスチックごみと比べると非常に少ないといえます。ちなみに容積や個数で見ても、それぞれ0.3%と0.6%ですので決して高い割合ではありません。
このようなデータを見てしまうと、レジ袋有料化は効果の薄い施策ではないかと考えてしまうのも無理はないでしょう。
しかし、このままいけば2050年には海に住む魚よりも、ごみの方が多くなってしまうといわれています。海には約8億トンの生物がいるとされていますので、それ以上のごみが海に滞留するということです。
恐ろしい未来を実現させないために、そして海の環境を守るためにも、私たちの身近なところから環境改善を図る必要があります。
終わりに
地球環境をこれ以上悪化させないために始まったレジ袋の有料化。
レジ袋有料化は、影響は小さくとも環境改善には必要な施策です。しかし、エコバッグを使用する人が増えたことに加えて、コロナ禍のマスク生活によって、私たちは万引きしやすい環境を意図せずに作り出してしまいました。
そして事実、万引き被害は増加しています。
この状況では、私たち一般消費者も工夫して買い物をしなければ万引きを疑われかねません。そこで本記事では、お店側から万引きを疑われないためにできる対策をご紹介しました。
意識を変えるだけでできる工夫ですので、ぜひ実行してみてください。お店側から怪しまれずに、楽しく買い物をしていきましょう。
【関連リンク】
・エコバッグにマスク姿の「不審者」だらけ…万引きGメンを悩ますレジ袋有料化の"副作用"(PRESIDENT Online)
https://president.jp/articles/-/51576
・マイバッグ普及で「万引き増加」約3割…どんな対策が必要?スーパーの協会に聞いた(FNNプライムオンライン)
https://www.fnn.jp/articles/-/109838
・レジ袋有料化によるスーパーマーケットへの影響 実態調査 (一般社団法人 全国スーパーマーケット協会)
http://www.super.or.jp/wp-content/uploads/2020/11/nsaj-plasticbag20201120.pdf
・海洋プラスチック問題について(環境省)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/%E3%80%90%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%93%E3%80%91%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%83%E3%82%AF%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.pdf
・プラスチックを取り巻く国内外の状況<第3回資料集>(環境省)
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf
・レジ袋有料化で店舗へのデメリットが続出!最新情報と有効性(Manegy)
https://www.manegy.com/news/detail/3229
・日本でもレジ袋有料化開始して1年!気になる世界各国の有料化事情(MIRASUS)
https://mirasus.jp/sdgs/oceans/2458
・2050年-海のプラスチックが魚の量を超えるか計算してみる(プラなし生活)
https://lessplasticlife.com/marineplastic/driver/plastics_exceed_fish_biomass/
・プラスチックごみをクラゲと間違えて食べるウミガメ(プラなし生活)
https://lessplasticlife.com/marineplastic/impact/ingestion_seaturtles/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
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