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室内の乾燥がもたらす5つのリスクとは【あなたは適正湿度を維持できている?】

トピックス 2022.02.03 室内の乾燥がもたらす5つのリスクとは【あなたは適正湿度を維持できている?】

12月~2月は部屋が最も乾燥しやすい時期です。

口や鼻などの粘膜が乾燥することにより、身体の防御機能が低下します。そして、感染症の原因である病原菌やウイルスが体内に入りやすい状態になってしまうことから、冬は風邪を引きやすいといわれているのです。

しかし、室内の乾燥によるリスクは、風邪を引きやすくするだけではありません。

この記事では、乾燥から生まれる身体的なリスクと、その対策について詳しく解説いたします。

「冬は乾燥する」といわれる原因

「冬は乾燥する」といわれる原因

「冬は乾燥する」といわれる最大の原因は空気の性質です。

人間の目では視認できませんが、空気中には水分が含まれています。ただし、水分量は気温によって異なります。

暖かい空気は多くの水分を蓄えられますが、冷たい空気では蓄えられる水分量が減少してしまうのです。このため、冬のような気温が低い季節は空気が乾燥します。

また、世界的に見ても乾燥している日本の冬。その原因といわれているのが日本の地形です。

日本の冬では、西側は高気圧、東側は低気圧となる「西高東低」の気圧配置がよく見られます。冬型気圧配置とも呼ばれ、シベリア方面から冷たい空気を日本に運んでくる気圧です。

暖房器具は空気の乾燥を助長させる

この冷気は海を越えてくるため一度は湿った空気となりますが、日本海側に到着すると雪に変わり、私たちの日常を銀色の世界に変えます。

そして雪が降ったあとの冷たい空気は、さらに山を越えて太平洋側に移動しますが、その頃には雪で水分が抜けてしまい、乾燥した空気に変わってしまうのです。

また、空気の乾燥を助長させるのが暖房器具です。室温を上げれば、空気中に蓄えられる水分量の最大値は上昇します。

しかし最大値が上昇しても、どこからか水分を補充しない限り空気中の水分量は変わりません。この現象により、相対的に乾燥したと感じてしまいます。

室内の乾燥がもたらす5つのリスクとは?

「風邪を引きやすくする」リスク

室内の乾燥がもたらす5つのリスクをご紹介していきます。

まず、考えられるリスクといえば「風邪を引きやすくする」ことです。

先述したように、口や鼻などの粘膜が乾燥すると、身体の防御機能は低下します。

また、ウイルスの動きが活発化する原因の一つが乾燥です。具体的には、湿度が40%以下になると、ウイルスが空気中を浮遊しやすくなるといわれています。

このように、乾燥は身体の防御機能を低下させたうえで、多くのウイルスと接触してしまう状況を引き起こすのです。

「脱水症状を引き起こしやすくする」リスク

2つ目のリスクは「脱水症状を引き起こしやすくする」ことが挙げられます。

乾燥した室内で過ごしていると、皮膚や粘膜からの水分蒸発が進み、水分が奪われやすい状態になります。

加えて、寒い冬は夏に比べて喉の渇きを感じづらく、無自覚のまま脱水症状が進んでしまうのです。

また、空気が乾燥することで、肌や髪のトラブルも増加します。

肌の水分量が10%以下になると、荒れたり痒みが起こったりする可能性があります。身近な例では、あかぎれが乾燥による肌トラブルとして挙げられるでしょう。

空気の乾燥による肌や髪のトラブル

さらに、肌と同様に髪の毛も乾燥によってダメージを受けやすくなります。具体的には、見た目に艶がなくなりパサつくようになるでしょう。

4つ目のリスクは「静電気が発生しやすくなる」ことです。

空気が乾燥すると、ありとあらゆる物体の表面が乾き、電気を帯電しやすくなります。そのため、身体が物体に触れたときに静電気が発生してしまいます。

静電気は、肌や髪の毛へのダメージになるだけではなく、給油の際に火災の原因になるといった大きなリスクが隠れているため注意が必要です。

「静電気が発生しやすくなる」リスク

また「火災が発生しやすくなる」点も乾燥によるリスクとして挙げられます。

消防庁がまとめた「平成30年版消防白書」によると、平成29年度は12月から2月の出火件数が11,117件と全体の約3割を占めています。そして、出火による被害金額も全体のトップです。

こうした過去のデータから、冬に火災が発生しやすいといったリスクは軽視できません。

室内の適切な湿度は「40〜60%」

室内の適切な湿度は「40〜60%」

乾燥がもたらすリスクを回避するには、室内の湿度を高める必要があります。とはいえ、あまりにも湿度が高すぎると別のリスクが発生するため注意しましょう。

東京都福祉保健局では、部屋の適正な湿度を「40~60%」としています。

前述のとおり、湿度が40%を下回るとウイルスが空気中を浮遊しやすくなるため、それ以上の湿度になるように注意喚起されています。

一方で湿度が60%を超えている場合、カビやダニが発生しやすくなります。カビやダニは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患の原因となるため、極端に湿度を上げすぎないように注意してください。

また湿度が高すぎると、空気以外のほかのモノも湿ってきます。建物を傷める原因にもなりかねませんので覚えておきましょう。

こうしたことから、暮らしの中で部屋の湿度を適正にコントロールすることが重要です。

季節によって加湿と除湿を適宜行わなければならないため容易ではありませんが、身体や建物を良好な状態に保つためにもしっかりと空気の乾燥に注意を向け、調節しながら過ごしていきましょう。

室内を乾燥から守る4つの対策

加湿器を使う

室内を乾燥から守るには、さまざまな手法があります。

1つ目の対策は「加湿器を使う」ことです。初期費用や継続的にかかる電気代・水道代といったコストがかかる点はデメリットですが、手軽に部屋全体を加湿できます。

メーカーや加湿方式、性能によって値段が大きく異なりますが、安いものであれば1万円以下で手に入れられるでしょう。

簡単に乾燥を解決したい場合は、加湿器の購入を検討してみてください。

また、コストをかけずに加湿したい人は「室内に湿ったタオルや衣類を干す」方法もおすすめです。冬場はあえて中干しすることで、室内の乾燥対策になります。

室内に湿ったタオルや衣類を干して加湿

そして、昔ながらの「ストーブの上でお湯を沸かす」乾燥対策も、コストがかからず手軽に取り入れられる方法です。

料理でお湯を沸かす際に、鍋の蓋を空けておくだけでも加湿効果が期待できますので実践してみるとよいでしょう。

4つ目の乾燥対策は「葉が大きめの観葉植物を置く」こと。

植物は根から吸い上げた水を葉から外に放出する「蒸散」と呼ばれる働きを行っているためです。蒸散は葉が大きければ大きいほど、外に放出する水分量が多くなります。

室内の加湿効果を狙うのであれば「葉が大きい」観葉植物を活用してみましょう。

室内の乾燥防止で「加湿器」を使う場合の注意点

加湿器の置く場所は「部屋の中心」

室内の乾燥を防ぐための手段として手軽な加湿器ですが、その使い方には注意点があります。まず、加湿器の置く場所は「部屋の中心」にしましょう。

部屋の加湿には、湿気により建物や家具が傷んでしまうリスクがあります。このため、壁際や家具の近くに加湿器を置くと、このリスクを助長してしまいますので控えましょう。

また、寝るときに暖房を止める場合には加湿器も止めましょう。眠っている間に必要以上に湿度が上がってしまう可能性があるためです。

暖房が止まって空気が冷たくなると、空気中に蓄えられる水分量の最大値も下がります。空気中の水分量が減っているのに加湿したままでいると、湿度が飽和状態となり多量の結露が発生してしまうのです。

加湿器の水は毎日交換する

過度な湿気は結露だけではなくカビやダニの発生にも繋がりますので、タイマー機能などをうまく使用して加湿器のつけっぱなしを防ぎましょう。

そして、部屋の乾燥を防ぐために加湿器を毎日使用する場合は、水の交換を毎日行ってください。

水を入れっぱなしにしていると、給水タンクがカビや細菌の温床と化してしまうためです。水の入れ替えは加湿器を有効活用するために必要なメンテナンスとして覚えておきましょう。

終わりに

リスクを回避するためには適正な加湿を行うことが重要

冬は非常に乾燥しやすい季節です。寒さに対しては十分な対策を行うものの、乾燥についてはあまり気にしていない人も多いでしょう。

しかし身体へのリスクなどを考えると、乾燥は決して軽視できない問題です。

乾燥にはインフルエンザなどの感染症にかかったり脱水症状になったりするリスクだけではなく、火事が発生しやすくなるなどの命に関わる危険性も存在します。

これらのリスクを回避するためにも適正な加湿を行うことが重要です。

本記事でご紹介した加湿方法や加湿器の使い方に留意して、適正な部屋の湿度を保ちましょう。

そして寒くて乾燥しやすい日本の冬を乗り越え、万全の状態で暖かな春を迎えてください。

【参考サイト】

・空気の乾燥が招くトラブルとは?上手な乾燥対策で健康的で快適な室内に(あだち耳鼻咽喉科)
https://adachi-ent.or.jp/column/1714#4060

・冬に乾燥する原因って? 乾燥がもたらすリスクと今から手軽にできる対策(ユニバーサルホーム小松店)
https://onl.tw/j9PJUUQ

・ウイルス、肌荒れ、火災リスクの「乾燥問題」部屋でどう防ぐか?(三井のすまいモール)
https://www.mitsui-mall.com/article/1769.html

・健康・快適居住環境の指針(東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kankyo/kankyo_eisei/jukankyo/indoor/kenko/index.files/web_zenbun1.pdf

・【湿度】冬に乾燥する理由を徹底解説
https://detail-infomation.com/dry-in-winter/

・冬に乾燥する理由と影響について
https://www.magokoro-bento.com/blog/202102/winter-measures-against-dryness.html

・冬こそ注意しよう! その不調、かくれ脱水かも!?
https://kenko.sawai.co.jp/prevention/201912.html

・冬に火事が多いのは乾燥のせい?原因と火事対策を解説!
https://www.housefreedom.co.jp/ie-more/fuyu-kazi/

・[最新] 加湿器おすすめ12機種を一覧表で比較!衛生的で使いやすい一台の選び方
https://onl.tw/bapMD2d

・平成30年版 消防白書(総務省消防庁)(322ページ)
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h30/items/h30_hakusyo_all.pdf

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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