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緊急事態宣言解除、人々の行動が活性化する中で、Withコロナの新しい危機管理とは?

トピックス 2021.11.12 緊急事態宣言解除、人々の行動が活性化する中で、Withコロナの新しい危機管理とは?

コロナの感染者が減少し、緊急事態宣言も解除されて、人々の動きが一気に活発になり始めています。

東京都など1都3県では、10月25日から感染対策が徹底されていると認証した飲食店で、時短営業や酒の提供時間の制限要請を解除。

2020年3月から休業や営業時間の短縮が続き、店舗によっては600日振りの通常営業に期待と不安が高まっています。

今後、外食、旅行、イベントなどが徐々に再開されていくことは間違いありませんが、コロナ前とwithコロナやAfterコロナの時代とでは危機管理に対する意識が大きく変わってくることでしょう。

この記事では、Withコロナ時代の新しい危機管理について詳しく説明していきます。

日常生活規制緩和の切り札となるか?「ワクチン・検査パッケージ技術実証」と「第三者認証」

ワクチン・検査パッケージ技術実証とは

感染対策と社会、経済活動を両立させて日常生活の回復を進める切り札として「ワクチン・検査パッケージ技術実証」と「第三者認証」の導入が進められています。

ワクチン・検査パッケージ技術実証とは

「ワクチン接種歴」又は「検査」のいずれかを確認することで、感染対  策のための制限の緩和措置の対象とされます。

1. ワクチン接種歴
ワクチン接種完了者であるか、2回接種した際の予防接種済証を用いて確認。海外で接種した場合は、現地で発行された予防接種済証を用います。

2. 検査
● 検査は、PCRが推奨されますが、抗原定量検査やLAMP法も利用可能
● 抗原定性検査は、国の医療機器の承認を受けた製品の結果のみが対象
● PCRは72時間以内、抗原定性検査は24時間以内の検査結果が有効
● 検査費用には原則、公費による支援はしない
     (内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室参照)

第三者認証とは

第三者認証とは

第三者認証制度とは、都道府県が飲食店の感染対策に関する基準を定めた上で、個々の飲食店に対して基準適合性を確認し認証する制度。

都道府県は、以下の4項目を中心にした認証基準を設定し、個別の飲食店を訪問して基準適合性を確認し認証を行います。

● 座席の間隔の確保(又はアクリル板の設置)
● 食事中以外のマスク着用の推奨
● 手指消毒の徹底
● 換気の徹底(1,000ppm以下で)

これらを活用した規制緩和に向けた飲食、旅行、イベントにおける取り組みについてご紹介します。

年末年始の繁忙期に向け全国で実証実験開始

年末年始の繁忙期に向け全国で実証実験開始

政府の方針によれば、「飲食店は多くの人が日常的に利用する」ことを考慮し、ワクチン接種者、未接種者が分け隔てなく利用できるよう「ワクチン・検査パッケージ」に加えて「第三者認証」を利用した実証実験が行われています。

東京都は、感染対策を徹底していると認証した飲食店への時短営業や酒の提供時間を制限する要請を10月24日夜で全面解除。「第三者認証」のない飲食店には酒の提供を午後9時までとするよう協力を求めますが要請は行いません。

さらに、感染リスク軽減のため、同じグループの同じテーブルへの案内は4人以下とし、5人以上の大人数の場合はワクチン接種の確認を呼びかけています。

感染予防と社会経済活動再開の両立を目指す

今後、年末にかけて忘年会の開催により飲食の機会が増えることや、帰省などで人の動きが活発になることから、感染リスクが高まることを懸念。

11月末までを「基本的対策徹底期間」として対策の定着を呼びかけ、感染予防と社会経済活動再開の両立を目指します。

実証実験を経てGo To トラベル再開の兆し

実証実験を経てGo To トラベル再開の兆し

2020年12月28日から全国で一時停止している「Go To トラベル」。観光庁は、10月から11月にかけて「ワクチン・検査パッケージ」の技術実証を実施。

岸田首相は、通常の社会経済活動を取り戻すためには「ワクチン接種だけでなく経口治療薬が必須」とし、年内のGo To トラベル再開には慎重な姿勢ではありますが、「ワクチン・検査パッケージ」の実証実験を経て、Go To トラベル(GoTo2.0)にも活用する方針を示しています。

大規模イベント開催に向けた「リモート抗原検査」

大規模イベント開催に向けた「リモート抗原検査」

政府は、イベントに関しては「特定の場所に同時に多数の人が密集するため、クラスターが発生した場合のリスクを考慮した上で、会場内及び会場外の両方における感染防止に取り組む方針を明らかにしています。

また、日常的に利用する飲食店などと比較して、イベントに参加する頻度は比較的少なく、「ワクチン・検査パッケージ」がそれほど負担にはならないことを考慮し、Jリーグやプロ野球では、ワクチン接種証明かPCR検査の陰性証明に加え、前日までにリモートで抗原検査の陰性を確認するという取り組みがされてきました。

スポーツ以外では、10月23日に千葉市の幕張メッセ国際展示場でのロックバンド「L’Arc~en~Ciel(ラルク アン シエル)」のライブで初めて「ワクチン・検査パッケージ」が導入され、注目を集めました。

ライブで初めて「ワクチン・検査パッケージ」を導入

抗原検査は、主催者から無料で送られた検査キットで、事前に検査の様子を撮影した動画を送付するか、前日にスマートフォンなどでオペレーターとテレビ電話をしながら、陰性かどうか確認。

来場者は、検査の有無などの情報が含まれたQRコードをスマートフォンを機器にかざし、入場。コンサート後は、感染への不安がなかったか、体調不良の有無などをアンケートを利用して調査が行われます。

政府は、感染状況が落ち着いていることから上限1万人を撤廃し、11月から「5,000人」または「定員の50%以内」の多い方とする方針。定員5万人の会場の場合、2万5,000人の入場が可能になります。今後、実証実験が進む中でさらなる規制緩和が進むでしょう。

感染再拡大!?世界に先駆けて経済を再開させた国々の状況と課題

規制緩和で経済回復するも、感染再拡大するイギリス

規制緩和で経済回復するも、感染再拡大するイギリス

イギリスではワクチン接種が先行したこともあり、2021年7月中旬以降、ほぼ全ての規制を解除。深夜のナイトクラブも許可され、人数無制限で集まれるようになりました。2021年の第2四半期には国内総生産(GDP)が5.5%増加し、経済活動は順調に回復しています。

しかし、10月末には感染者が4万9,139人と8日間連続で4万人を超え、感染が再拡大。ワクチンの防御力は接種の5~6か月以降大幅に低下するため、ワクチンの免疫効果が薄れていることも要因の一つと専門家は指摘しています。

イギリス政府は、ロックダウンで社会生活や経済を犠牲にすることなく、ワクチンによって「封じ込めではなく共生」する方針を明らかにしており、未接種者への呼びかけや追加接種を進めています。

「コロナとの共存戦略」を目指すアメリカ

「コロナとの共存戦略」を目指すアメリカ

アメリカでは、ワクチン拡充による「コロナからの独立」を宣言するはずでしたが、デルタ株による感染が急拡大。累計の死者数は70万人を超えました。

その後、アメリカのコロナ感染者は、10月中旬時点で1日約8万人に減少。成人の約7割がワクチン接種を完了し、11歳以下の子供たちへの接種も間もなく認可される見込みで、経口薬の認可も近いことから収束への希望が高まっています。

しかし、ワクチン接種率が州によって大きな差があり、接種率が低く感染率が高い州ほど学校でのマスクの義務付けがされていないこと、接種完了するまでの期間に11歳以下の子供達をどう守るかが大きな課題となっています。

現在も課題が山積しているアメリカの新型コロナ対策ですが、今後どれほど感染が拡大しても、国民全てに共通するのが「ロックダウン」に戻るべきではないという認識。

「コロナとの共存戦略」は、行政機関、ビジネス部門、医療機関などあらゆる分野で共有されています。

ワクチン先進国イスラエルで追加接種の効果実証

ワクチン先進国イスラエルで追加接種の効果実証

世界に先駆けてワクチン接種を開始したイスラエルは、5~6月には1日あたりの感染者が2桁に減少していましたが、デルタ株により感染者が再び増加し、7月から追加接種を開始。

イスラエルの新規感染者数は9月には1万1,000人を超えていましたが、10月に入ると4,000人未満に減少し、ピーク時のおよそ3分の1。新規の入院者数も7月から増加していましたが、10月には8月末と比較し約21%減少しました。

イスラエルの追加接種による新規感染者と入院数の減少は、日本を含め追加接種を計画している国々にとって明るい兆しといえるでしょう。

日本におけるWithコロナの新しい危機管理とは

日本におけるWithコロナの新しい危機管理とは

政府が推進する「ワクチン・検査パッケージ技術実証」と「第三者認証」が順調に進められた場合、飲食、旅行、イベントなど経済活動がより活発になることが予測されます。

今後、日本でWithコロナによる新しい生活を行う場合に想定されるリスクと対策についてまとめました。

ワクチンの効果は限定的である

ワクチンの効果は限定的である

現在進められている「ワクチン・検査パッケージ」は、ワクチン接種歴及びPCR等の検査結果を基に、個人が他者に二次感染させるリスクが低いことを示す仕組み。

しかし、ワクチンは重症化を予防する効果は高いものの、感染自体を完全に予防するものではなく、ブレークスルー感染が一定数生じます。ブレークスルー感染は比較的軽症であることが多いといわれていますが、周囲の人に二次感染させる恐れもあることから「ワクチンを2回接種すれば安心」と考えるのは非常に危険。

さらに、獲得された免疫は個人差はあるもので、徐々に減少することから、適切な時期に追加接種が必要となることを認識する必要があります。

特に、高齢者と慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、 心血管疾患等基礎疾患のある人、妊娠後期の一部の方、肥満、喫煙の習慣がある方は重症化リスクが高い傾向があるので、忘れずに追加接種を受けましょう。

未接種者のリスクや差別に配慮する

未接種者のリスクや差別に配慮する

ワクチン接種は重症化を防ぎ、「withコロナ」の切り札として期待されていますが、重度のアレルギーなど身体的な理由によりワクチンを接種したくても出来ない人々がいることを忘れてはいけません。

身体的な理由によりワクチン接種ができない人を守るためには、周囲の人々がワクチンを接種することで防波堤になるのはもちろんですが、ワクチン接種後も職場や公共の交通機関でのマスク着用を徹底し、未接種者への二次感染を防ぐ必要があります。

現在、日本では社会生活の分断を生む懸念から、海外に比較して「ワクチンパスポート」導入は慎重ですが「ワクチン・検査パッケージ技術実証」が完了し、ワクチン接種証明の提示が日常的になった場合、職場や飲食店、旅先などで未接種者を差別するような発言や行動がないよう気をつけましょう。

基本的な感染対策を継続する

基本的な感染対策を継続する

日本では12月にはワクチン追加接種が開始され、年内には経口抗ウイルス薬の実用化が期待されることで収束への兆しが見えています。しかし、新たな変異株による感染再拡大の可能性が無いとは言い切れません。

個人の基本的な感染予防対策は、変異株であっても、3密(密集・密接・密閉)回避、マスクの適切な着用、こまめな換気、手洗いなどが有効。感染者数が落ち着いていたとしても、感染対策を継続することが大切です。

渡航する際には最新の情報の収集を

渡航する際には最新の情報の収集を

2021年、10月25日現在、日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置や条件を課している国は255カ国。

今後、世界的にワクチン接種が進み、感染者が減少した場合、徐々に各国で行動制限が緩和され、渡航する人が増えることが予想されます。

旅行や仕事などで自由に渡航できる一方で、感染が収束していない国、医療体制が脆弱な国、公式情報の信用性が低く感染実態が不明な国への移動にはリスクが伴います。

渡航先で突如感染が拡大し、長期間帰国出来ないなどの事態に陥らないように、最新の情報を収集するなど慎重な行動が求められます。

終わりに

コロナと共生し、快適に生活を送ることにつながる行動を

新型コロナウイルスの感染者の減少が続き、緊急事態宣言が解除され、人々の動きが一気に活発になりました。

今後、感染対策と社会、経済活動を両立させて日常生活の回復を進める切り札として期待される「ワクチン・検査パッケージ技術実証」と「第三者認証」により、忘年会や旅行、イベントなどが徐々に再開することでしょう。

現在、ワクチン接種や経口薬の開発により、収束の兆しがあるものの、変異株による再拡大への懸念や追加接種など、各国のコロナ対応には課題が多く残されています。

しかし、一部の国を除いて、今後どれほど感染が拡大しても、「ロックダウン」ではなく「コロナとの共存」を目指す姿勢は共通しています。

日本でも、岸田首相が所信表明演説で発案した「新型コロナウイルスと共生する社会」実現に向けて、国民の行動も変容が求められています。

「Withコロナ」の切り札となるワクチン接種を適切な時期に接種するのはもちろんですが、接種後も感染対策を怠らず、常に最新の情報を取得し、感染再拡大へのリスクを考慮した行動を継続することが、コロナと共生し、快適に生活を送ることにつながるでしょう。

※本記事は2021年10月末頃の情報を元に掲載しています。

【参考サイト】

内閣官房 緊急事態宣言解除後の対応
https://corona.go.jp/emergency/

新型コロナウイルス感染症対策本部 ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方
https://corona.go.jp/emergency/pdf/vaccine_thinking20210909.pdf

新型コロナウイルス感染症対策分科会 ワクチン接種が進む中で 日常生活はどのように変わり得るのか?
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai7/vaccine_nichijou.pdf

日本経済新聞 幕張メッセで観客数緩和実験 ラルク・アン・シエル公演
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC221XG0S1A021C2000000/

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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