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美容デマに騙されないためはどうすればいい?美容情報を見分けるポイントと対策

トピックス 2021.09.27 美容デマに騙されないためにはどうすればいい?美容情報を見分けるポイントと対策

誰しも「キレイになりたい」「スタイルが良くなりたい」という願望を持っているもの。最近は女性だけでなく、若年層を中心に男性の美意識も高まり「メンズ脱毛サロン」や「男性向けアイブロウサロン」などが増加しています。

コロナ禍での不規則な生活や運動不足、マスクによる肌荒れから、ダイエット食品や美肌エステなどを始めようかと考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、美容へのコンプレックスを「飲むだけで痩せる」「必ず美肌になる」など言葉巧みに誘導し、100万円以上の高額ローンを強引に組ませるだけでなく、健康被害を訴えるケースも多発しています。

このような現状を鑑みて、2020年11月には総務大臣から、消費者庁及び厚生労働省に対して「医業類似行為による健康被害等に対する指導等を推進」を求めた勧告が出されました。

この記事は、最近の美容に関するデマや被害、その対策について解説します。

美容デマによる被害と手口

美容デマによる被害と手口

エステサロンによる被害

美肌や痩身エステでは「食事制限なしで10キロ減!」「どんな肌トラブルも解決!スベスベ肌を手にいれる」などの広告が見られます。しかし実際には、一度の施術では、あまり効果が感じられないということもあり、高額な長期契約を結ばせようとします。

広告に謳われている効果を期待して無料体験サービスを受けにきた客に対して、高額な長期契約を強行。複数のスタッフに囲まれて、契約をしない場合は、店から出れないような状況になることもあり、仕方なく承諾書にサインしてしまう被害者が多いようです。

美容商品による被害

美容商品の広告で「カリスマモデル御用達」「飲むだけで痩せる」と共に頻繁に見られるのが「今ならお試し無料」「初回特別価格」。お試し価格で破格の金額を提示して購入を促し、商品受け取り後に「初回のみお試し価格、その後は正規の料金」として、高額の支払いを請求。エステや整形手術と違い、購入代金が低いために、訴訟まで発展するケースは稀ですが、消費者センターには美容商品の通販での購入トラブルが年々増加しているという報告があります。

美容医療による被害

美容医療による被害

美容医療には脱毛や二重などの美容整形、シミ・そばかすなどのレーザー治療などがあります。美容医療に関する広告のデマに関しては、2018年施行の改正医療法で規制を始めたが、消費者トラブルが絶えず、2021年6月、厚生労働省は具体的な解説書をまとめました。

事例として掲載された広告では「全身脱毛3年し放題」は、体毛が生え替わるサイクルの関係で脱毛できる回数は限られるため、誤認を与える可能性があり「誇大広告」、「医療脱毛患者様満足度99%」はアンケートによるデータなど根拠に乏しいため「虚偽広告」とされています。

さらに、医療レーザー脱毛で襟足に火傷の跡が残り皮膚から膿が出る、二重手術で瞼が腫れて目が見えないなどの「健康被害」に関する苦情や相談も国民生活センターに寄せられています。

美容広告に関する法律とデマをチェックする方法

美容広告に関する法律とデマをチェックする方法

美容に関する広告で「景品表示法」「薬機法」「医師法」に違反していた場合には「広告表現違反」となります。もし、エステや美容商品に関する広告を見ていて「デマではないか」と感じた場合には、これらの法律と照らし合わせてチェックしましょう。

景品表示法

商品やサービスの内容、価格、品質などの情報を偽って表示する「不当な表示」や、商品やサービスを実際よりも良いように見せかける「過大な景品類の提供」を制限・禁止する法律です。「景品表示法」はエステサロン業界だけでなく、誤解を招く広告表現を記載している全ての業種が対象となります。

違反事例として「業界No.1」「リバウンド一切なし」など、根拠のない情報や誤解を与えるような表現や「初回のみ3,000円」「初回限定価格」など、原則2回目以降の施術料金を提示しないなどがあります。

さらに、ビフォーアフター写真を利用するのであれば「施術回数」「運動」「食事制限」等も公開し、事実である根拠が提示していなけば違法に当たります。

景品表示法

「景品表示法」に違反した場合、消費者庁から通知が届き、調査の対象となります。調査に協力しない場合、強制的な立ち入り調査が行われ、調査後に景品表示法違反と認められた場合には指導が入り、措置命令に従わなかった場合は景品表示法第36条により「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科されます。

薬機法

薬機法

「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器及び再生医療等製品」に対する品質を保証し、保健衛生上の危害の発生及び拡大を防止することを目的としています。

ここで重要なのは、エステサロンなどで使用する機器や化粧品は、医療器や医薬品ではないため「薬機法」に触れる広告表現はできないということです。

ですから、エステサロンで「20分で小顔になれる」「10分でほうれい線が消える」など立証が難しい広告表現は「薬機法」に触れるので使用できません。また、「アンチエイジング」や「副作用なし」という表現も禁止されています。

さらに、美容機器は医療ではないため「簡単リフトアップ」「細胞レベルから若返る」「肌トラブル改善」などの医療機器と誤解を受けるような表現も含まれます。「薬機法」に違反した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられます。

医師法

医師法

広告表現で、医療行為と誤解を招く表現をした場合「医師法違反」となります。そのため、エステサロンなどで「無料診断実施中」「医学的根拠に基づいた施術」など「診断」「医学的」といった用語も医療行為と誤認がある用語とみなされるため使用できません。

最近、医師法違反で摘発されることが多いのが、レーザー脱毛。レーザー脱毛は、火傷などの危害を及ぼす可能性があることから「医療行為」と定めされています。

そのため、もしエステサロンで脱毛効果が得られた場合は「違法行為」になります。「医師法」に違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられます。

なぜ美容広告のデマはなくならないの?その理由を徹底解説!

美容広告のデマがなくならない理由

違法な美容広告や医療行為を取り締まる法律があるにも関わらず、美容広告のデマや健康被害に対して訴訟を起こすケースは実態よりも少ないようです。その理由について解説します。

1.「打消し表示」を行なっている

商品やサービスの広告を行う場合に、断定的な表現や目立つ表現などを使って、品質等の内容や価格等の取引条件を強調して表示することを「強調表示」といいます。

「強調表示」を行うこと自体は、それが事実に反する者でない限り問題にはなりませんが、強調表示だけでは事業者にのみ有利な情報になってしまいます。そのため、強調表示から認識できない例外条件、制約条件がある場合に「打消し表示」を適切に行わなければ「強調表示」は不当とされます。

具体例としては「必ず1ヶ月で5キロ痩せる」といった強調表示をしたとしても「効果には個人差があります」と「打消し表示」してあれば、表記しても問題ありません。

「打消し表示」を行なっている

ネットの広告だけでなく、テレビのCMにおいても「結果には個人差があります」「個人の感想になります」という「打消し表示」が、画面の下に小さく表示されています。

しかし、実際には、文字が小さいため見過ごされることが多く「協調表示」だけを見て美容商品や高額なエステのチケットを購入してしまうケースが多いようです。全く結果が出なかったとしても、「打消し表示」がなされていれば訴えるのは難しいかもしれません。

2.行政処分が比較的軽い

誇大広告程度の法律違反であれば、メーカーが受けるのは消費者庁からの注意や勧告処分。さらに悪質な場合であっても、罰金や限定的な商品販売の停止程度です。

美容関連の商品や健康食品の売り上げは数億円にもなります。そのため、行政処分や数百万円の罰金であれば、あまりダメージはないと開き直っているケースもあります。

行政処分が比較的軽い

大企業であれば、企業イメージが悪くなるため行政処分は避けたいところですが、それほど大きな会社でなければ、販売停止の命令を受けても、会社を変えて別の似たような商品を次々に販売し続けることもあります。

3.美容商品は訴訟で勝利してもあまりメリットがない

美容関連商品には高額なものもありますが、商品の価格が数千円から数万円程度なので、訴訟を起こしても、返金されるまでにかかる時間、弁護士への相談費用を考慮すると、訴訟で勝利したとしてもそれほどメリットはありません。そのため、商品の効果に疑問を感じていても、声を上げることが少ないというのも、健康食品や美容関連の商品が詐欺として訴えられることが少ない理由です。

4.美容整形の失敗はコンプレックスを晒すことになり恥ずかしい

美容整形の失敗はコンプレックスを晒すことになり恥ずかしい

美容整形の失敗を争う場合、恥ずかしくて提訴しにくいので、泣き寝入りになるケースが多いです。

裁判で施術前後の写真を提出し、自分の容姿にコンプレックスを持っていることを他人から話題にされるのは辛いことですし、美容整形について批判的な風潮が残っていることも裁判を敬遠する理由といえるでしょう。

さらに、一般の医療ミスに比べて賠償額が少ないことが多く、費用対効果が合わないのも訴訟に発展しない理由です。賠償額が少ないと、裁判費用、弁護士費用、専門医による私的鑑定意見書作成費用などを払うと勝訴しても赤字になってしまう場合もあり、なんのための裁判か分からなくなってしまうからです。

このように、美容に関する訴訟は効果が全く無かったり、火傷など健康被害が出たとしても、訴訟を起こせないケースも多いようです。

美容デマによる被害に遭わないために押さえておくべきポイント

美容デマによる被害に遭わないために押さえておくべきポイント

契約書を最後まで読む

料金に関わらず、どのような契約であれ、必ず契約書には最後まで目を通しましょう。特に、小さく薄く書かれた文字には「ただし、2回目以降の料金は〇〇円」「6ヶ月以降有料、料金はまとめて請求」など不利な内容を見落としてはいけません。

悪質な場合、読む気を無くすような細かい文字で作成された書類などもありますが、読みにくいから読まない、書いてある意味がわからないから読まないで契約する行為は、自ら美容デマに騙されるようなものです。

店舗などで契約する場合、契約書を隅々まで読めないことが多いので、必ず契約書や申込書をいったん持ち帰り、隅々まで読んだ上で契約しましょう。疑問がある場合は必ず販売者に質問し、納得いくまで説明を求めるというスタンスが必要。

「今、契約しなければこの料金では契約できない」などと、契約を促してくる業者も多いですが、あまりにも契約を急かす場合、悪質な業者である可能性も高いので、誘いに簡単に乗ってはいけません。

口コミや評判を検索する

口コミや評判を検索する

通いたいと思えるようなエステサロンや商品を見つけた場合には、本当に信頼ができるエステサロンなのか、インターネットで口コミや評判を検索しましょう。口コミや評判には、良い情報も悪い情報も両方記載されているので、非常に参考になります。契約をする前に、ネットで検索する習慣をつけましょう。

友人から紹介してもらう

信頼できる友人が通っているエステサロンや美容商品などに関しては、その評価を信頼するのも良いでしょう。友達紹介キャンペーンを実施している場合には、施術代金や商品が値引きされることもあります。安心してお得にサービスを受けたい場合は、信頼できる人から紹介してもらいましょう。

断る勇気をもつ

相手から強引に勧誘されたら断り切れないというタイプの人は要注意。悪質なエステサロンなどでは、そのようなタイプをターゲットとして強引な勧誘を行います。高額なローンを強引に組まされて後悔しないためにも、安易に契約せず、少しでも不安を感じた場合は断る勇気を持つようにしましょう。

エステ詐欺の返金方法を知っておく

もし、エステサロンなどで悪質な契約を結んでしまった場合でも、法的な解決方法はあります。

契約書を交わした日から8日以内の場合

契約書を交わした日から8日以内の場合の契約解除

クーリングオフ制度を利用して契約を解除することができます。しかし、悪質なエステサロンの中には、さまざまな理由をつけて返金に応じてくれないケースもあるので、消費者生活センターで相談をしたり、弁護士に相談したりしましょう。専門家に相談すると、悪質業者はアッサリと認めることがほとんどなので、クーリングオフ制度を適用すれば支払義務は発生しません。契約後にエステサロンに疑問を感じたり、契約解除を希望する場合は、期間内に専門家に相談しましょう。

消費者ホットライン(全国統一)188

契約書を交わした日から8日を過ぎている場合

契約書を交わした日から8日を過ぎている場合の契約解除

クーリングオフ制度を活用することはできませんが、契約内容が5万円を超える金額で、契約期間が1か月を超える場合は、一定の金額を支払うことによって理由を問わず、中途解約することができます。

エステサロン側が、高額な解約金を請求してくる場合もありますが、解約金は法律で一定の金額に定められています。サービスを受ける前であれば2万円、サービス開始後は役務に相当する額+2万円か契約残額の10%の低い方の金額になります。エステ店から契約説明書や契約書等が交付されていない場合もクーリングオフがいつでも可能です。業者側がクーリングオフに応じない場合は、専門家に相談してみましょう。

終わりに

契約してしまったら専門家に相談する

美容広告では「食事制限なし!1ヶ月で10キロ減!」「有名モデル御用達」など「強調広告」を巧みに使用して、美容へのコンプレックスを刺激し「初回無料キャンペーン」に惹かれて来店や購入を希望する客に対して高額なエステや整形手術の契約、商品購入を強行させる被害が発生しています。

医療レーザー脱毛で襟足に火傷の跡が残り皮膚から膿が出る、二重手術で瞼が腫れて目が見えないなどの「健康被害」に関する被害も後を絶ちません。

美容広告は「景品表示法」「薬事法」「医師法」という法律が整備され違反した場合には「広告表現違反」となり、消費者庁による指導や罰金が課せられます。しかし、罰金や指導を重く受け止めない業者が多く、美容広告のデマは改善されていないのが現状で、訴訟を起こしてもメリットが少ないなどの理由から泣き寝入りするケースが多いようです。

美容デマによる被害に遭わないためには、契約書を最後まで読み、不明点は必ず質問する、来店や商品を購入する際には、必ずインターネットなどの口コミをチェックする、可能であれば信頼できる友人に紹介をお願いしましょう。万が一契約したとしても、クーリングオフ制度を利用すれば解約、全額支払いは避けられるので、諦めず専門家に相談することをおすすめします!

【参考サイト】

総務省 消費者事故対策に関する行政評価・監視-医業類似行為等による事故の対策を中心として-<結果に基づく勧告>
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_021117000145332.html#kekkahoukoku

独立行政法人国民生活センター 医療法改正! 美容医療クリニックのウェブサイトにも広告規制が!
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20180524_1.pdf

エステサロンでNGな広告表現とは【薬機法表現チェックツールも紹介】
https://www.webdeki.com/column/1402/

広告するには根拠が必要! ~不実証広告規制~
https://biyou-houmu.com/koukoku/fujisshokoukokukisei#2-1

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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