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新型コロナワクチン接種に関する詐欺を見分けるポイントと対策

トピックス 2021.07.16 新型コロナワクチン接種に関する詐欺を見分けるポイントと対策

開幕が迫る東京オリンピックに備え、変異株を含めた感染の再拡大を防ぐため、日本では2021年4月から高齢者を対象にワクチン接種を開始。

1日でも早くワクチンを受けようと焦る人々の心理に付け込み、ワクチン予約と称して個人情報を抜き取るなどの詐欺が全国で横行しています。

新型コロナウイルスという誰もが経験したことのない非常事態に直面し、冷静さを失いがちな状況下は、普段以上にセキュリティへの意識を高める必要があります。

この記事では、ワクチン接種に関する最新の情報をまとめていきます。

世界中で頻発しているワクチン詐欺の手口とは

世界中で頻発しているワクチン詐欺の手口とは

新型コロナワクチンを利用した詐欺による被害は世界中で報告されています。

2020年末には、国際刑事警察機構(INTERPOL)による「新型コロナワクチンに便乗する組織犯罪ネットワーク」に対する世界規模の注意喚起が発令。

2020年10月、カナダでは、大学の学生や教員を対象に「新型コロナワクチンに関するアンケート」にランサムウェアを添付し拡散。ランサムウェアは、ポルトガル、米国、イスラエルを中心に1,000件以上確認されました。

また、2021年3月には、英国の「国民保健サービス(NHS)」の名称を騙った大規模な「フィッシングメール」が、英国、ドイツ、米国、オランダで検出。メールの内容は、ワクチン接種を承諾するかどうかを問うもので、受信者が「希望する」「希望しない」どちらをクリックしても、個人情報を入力するフォームに移動。誤って入力した場合には、情報が漏洩される危険にさらされました。

メキシコで拡散されたフィッシングメール

さらに、メキシコで拡散されたフィッシングメールでは、医療研究所「El Chopo」のHPそっくりの偽装サイトを作成。国民予防接種カードの発行とワクチンの予約ができると騙して個人情報の入力を要求。

このような新型コロナワクチンを利用したサイバー犯罪は、世界中で報告され、その手口は、ワクチン接種カードの配布、ワクチンの販売、ワクチン接種の予約など多岐に渡り被害が拡大しています。

日本における新型コロナワクチン詐欺被害について

日本における新型コロナワクチン詐欺被害について

日本でも新型コロナワクチン詐欺による被害が後を絶たず、政府や地方自治体による注意喚起が促されています。

2021年の東京都内の新型コロナウイルスを含む特殊詐欺の認知件数は、累計5,519件、被害額は106億円。

ここでは、オンラインだけでなくオフラインによる詐欺の手口についてもご紹介します。

訪問による予約代行詐欺

訪問による予約代行詐欺

自宅に「新型コロナワクチン接種の予約が取れない方の代行をします」「ワクチン予約の説明に来ました」と自治体や医療関係者を名乗る人が訪ねてきて、金銭を要求したり、個人情報を聞きだす詐欺が報告されています。

新型コロナワクチン接種は、自治体から「接種券」と「接種のお知らせ」が届き、電話やインターネットで予約する流れになります。

自治体や特定の団体等が「ワクチン接種の説明に行きます」などと来訪したり「ワクチン接種に必要」と言って個人情報や金融機関情報などを電話やメールで聞くことはありません。

電話による優先接種などの勧誘

電話による優先接種などの勧誘

政府や病院を装い「優先的にワクチンを予約するには頭金が必要なので、今すぐ振り込んでください」「PCR検査とワクチン接種をセットで行うことができます。予約金を振り込んでください。お金は後で戻りますのでご安心ください」など「優先接種」や「予約金」「頭金」などの言葉で、電話口から高額な代金を振り込ませようとします。

そもそも、政府が提供しているワクチンは無料なので、予約金や頭金は必要はありません。1日でも早くワクチンを打ちたいと焦る相手の心理に付け込んだ悪質な詐欺といえるでしょう。

SMS(ショートメッセージ)によるウイルス感染

SMS(ショートメッセージ)によるウイルス感染

SMSは、電話番号を宛先にして、iPhoneやAndroidの表示アプリ「メッセージ」から短文を送受信できるサービス。

SMSは、自動受信し「ポップアップ画面」に表示されるため、他のアプリと比較して、より確実に見てもらえるため、安否確認や企業のキャンペーンなどに利用されています。

このSMSを介して「新型コロナウイルスワクチンの予約のため、アプリをインストール」するように要求。間違ってアプリをインストールすると、端末が不正なSMSの配信基盤となってしまい、連絡先に登録している友人などにフィッシングのメッセージを自動的に送信してしまう被害が報告されています。

また、ウイルス感染の恐れがあるリンクが埋め込まれており、受信者が誤ってリンクをクリックすると、スマートフォンがウイルスに感染したり、偽のウェブサイトに転送されるケースもあり注意が必要です。

メールによる優先接種の勧誘

メールによる優先接種の勧誘

政府や病院を装った「ワクチン接種の優先順位を上げます」「中国製ワクチンを有料で接種しませんか」という勧誘メールが確認されています。

このような勧誘メールの被害が頻繁に確認された時期には、大手企業の経営者が優先的に接種したというニュースが流れました。

「もしかして、自分にもあり得るのかも」という心理に付け込んだ詐欺。今後も、新型コロナワクチンに関する最新のニュースに便乗した詐欺が続くことが考えられます。

SMS同様に、偽アプリのインストールやウイルス感染を促すファイルが添付されている恐れもあります。

新型コロナワクチン詐欺に遭わないために

新型コロナワクチン詐欺に遭わないために

新型コロナウイルスによる感染拡大が長引くなか、新型コロナワクチン詐欺の被害がオンライン、オフラインの両方で頻発しています。

新型コロナワクチン詐欺による被害を避けるためのポイントをご紹介します。

ワクチンに関する正しい最新情報をチェックする

新型コロナワクチン詐欺に遭わないためには、信頼できる組織が発信する最新の正確な情報を得ることが重要です。

例えば、現在日本で接種できる新型コロナワクチンは、6月末時点で、薬事承認された「ファイザー社」「武田/モデルナ」「アストラゼネカ」の3社に限定。ワクチンは無料で、地方自治体及び厚生労働省が認めた企業や団体による職域接種のみとなっています。

ワクチンに関する正しい最新情報をチェックする

そのため「特別なルートで仕入れたワクチンをすぐに摂取できる」「お金を払えば特別に優先摂取する」ことはあり得ません。

新型コロナワクチンに関する情報は、厚生労働省のホームページで確認できます。最新の正確な情報を常にチェックして、ワクチン詐欺から身を守りましょう。

厚生労働省公式ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_yuukousei_anzensei.html

不審な訪問及び電話は無視する

不審な訪問及び電話は無視する

政府や自治体がワクチン接種を理由に直接個人宅を訪問したり、電話をすることはありません。

自分が住む地方自治体を名乗っていても、すぐに信用せずに、速やかに電話を切り、各自治体の新型コロナワクチンに関する受付センターなどに報告しましょう。

不審な電話や訪問があった場合はその場で応じず、自治体へ確認するか、警察相談専用電話(#9110)または消費者ホットラインに連絡しましょう。

新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン
0120-797-188

不正メールを見破る

不正メールを見破る

メールに添付されたファイルや埋め込まれたリンクをクリックする前に必ず立ち止まって、不正メールかどうかをチェックしましょう。

見分けるためには「誤字や文法的な間違いが多い」「組織名やロゴが間違っている」この2つをチェック。

ただし、本物そっくりのロゴやメール、アプリなどを流用する巧妙な詐欺もあるので、注意が必要。不安な場合には、正規組織のサイトや連絡先など、他の情報源にも照会して確認することをお勧めします。

万が一、不正なアプリをインストールした場合には、端末を機内モードに設定し、すぐにアプリをアンインストールすること。

また、偽サイトにアカウント情報を入力してしまった場合は、パスワードをすぐに変更し、キャリア決済などで身に覚えのない請求が発生していないかを確認しましょう。

周囲も含めたデジタルリテラシーの向上に努める

周囲も含めたデジタルリテラシーの向上に努める

新型コロナワクチンにおける詐欺は、国民が力を合わせて防がなければいけません。

特に、メールやインターネットを介したサイバー詐欺に関しては、国民一人一人のデジタルリテラシーを向上させ、抑制する必要があります。

そのためには「自分だけ詐欺に遭わなければ良い」という利己的な考え方ではなく、両親や友人など、周囲で「ワクチン予約ができない」「不正メールか判断できない」など困っている人がいれば、積極的に手を差し伸べましょう。

終わりに

今後の新型コロナワクチン接種

2021年4月から高齢者を対象に開始された新型コロナワクチン接種。

企業や大学等において、ワクチンの接種を行う「職域摂取」の影響もあり、6月の段階で菅総理は「予想したよりはるかに早いペース」「10月から11月ごろには希望する人全員に接種を終えたい」と意気込みを語っています。

6月末時点での接種回数は、4020万回。2回接種を終えた人の割合は、医療従事者97%、65歳以上の高齢者22.5%、全体では10.3%。

65歳以下の国民は、まさにこれからが新型コロナワクチン接種の正念場。

ワクチン接種奨励のため、家電量販店やホテル、百貨店など様々な業界が「接種優待」サービスを打ち出すなかで、少しでも早く接種したいと焦る人の心理に付け込んだ詐欺は今後もさらに増加すると考えられます。

悪質な「ワクチン詐欺」を防ぐために

ワクチン詐欺の被害に遭わないためには、訪問、電話、SMS、メールによる詐欺の手口を理解し、少しでも怪しいと思ったら絶対に応じないという強い態度でのぞむ必要があります。

また、厚生労働省はじめ信頼できる情報を常にチェックし、周囲の困っている人に積極的に手を差し伸べ、世界的な緊急事態を少しでも早く収束させるという一人一人の高い意識が、悪質な「ワクチン詐欺」を防ぐことにつながるでしょう。

【参考サイト】

厚生労働省 新型コロナワクチンについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html

消費者庁 新型コロナワクチン詐欺等の便乗悪質商法に注意!
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/notice/efforts_002.html

国民生活センター「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」
http://www.kokusen.go.jp/info/data/coronavirus_vshotline.html

「ワクチン接種予約代行」は詐欺 横浜で不審電話相次ぐ
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-518148.html

新型コロナウイルスのワクチンに便乗した最新の脅威事例
https://blog.trendmicro.co.jp/archives/27751

NHKニュース
ワクチン接種 高齢者 56%余が1回目終了【都道府県別データ】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210628/k10013107921000.html

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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