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With/Afterコロナ時代に備えるべき「オンライン詐欺」の現状と対策

トピックス 2021.06.21 With/Afterコロナ時代に備えるべき「オンライン詐欺」の現状と対策

不況になればなるほど、どこからともなく甘い儲け話がやってくるのは世の常です。「うまい話には裏がある」「The bait hides the hook(餌の中には釣り針が隠れている)」といった古今東西の教訓にもあるように、思わず飛びつきたくなるような儲け話には警戒するに越したことはありません。

とはいえ、年々詐欺の手口は巧妙になってきており、うまい話に騙されてしまう人があとを絶ちません。

警視庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等(令和2年・暫定値)について」によると、令和2(2020)年における特殊詐欺(直接対面することなく不特定多数から金銭や個人情報等を騙し取る犯罪)の総認知件数は13,526件。被害総額は277.8億円にのぼっています。

また、感染症の蔓延により人の往来や接触が制限される中、社会全体においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)が加速しており、サイバー空間で繰り広げられる特殊詐欺の存在も軽視できないものとなっています。

そこで今回は、With/Afterコロナ時代に注意すべき「オンライン詐欺」の実態に迫ります。

ネットユーザーを標的とした「オンライン詐欺」の実態

ネットユーザーを標的とした「オンライン詐欺」の実態

最初に、インターネット上の詐欺(オンライン詐欺)の典型的な手口について簡単に触れておきましょう。既にセキュリティ対策をしている方も多いかと思いますが、以下のような手口が挙げられます。

インターネット詐欺一覧

こういった典型的な手口に加え、近年の特殊詐欺は現金だけでなく、インターネット上の暗号資産(仮想通貨など)をターゲットとするケースなど、従来型の特殊詐欺よりも複雑化・巧妙化する傾向にあります。

ここからは、近年増加傾向にあるオンライン詐欺の4つの事例を紹介しながら、巧妙化するオンライン詐欺の手口とその回避策について考えていきましょう。

事例1. 暗号資産を狙った国際ロマンス詐欺

暗号資産を狙った国際ロマンス詐欺

「毎月必ず20%の利息をもらえます」などと謳う投資詐欺は昔からありますが、近年は暗号資産(仮想通貨など)を狙った投資詐欺が急増しているようです。特に多いのが、以下に挙げるような「国際ロマンス詐欺」です。

マッチングアプリで知り合った外国人男性から結婚を申し込まれたAさん。男性は、結婚資金や新居の費用という名目で、投資サイトに暗号通貨を送金するようにAさんに促してきました。

しかし、蓋を開けてみると、なんとその投資サイト自体が偽物であったのです。投資がうまくいっているように見せかけて、Aさんに送金させていたのでした。

ビットコインなどの暗号資産

ビットコインなどの暗号資産は物理的実体がなく匿名性も高いため、今後も暗号資産を狙った投資詐欺は増加の一途を辿ることが予想されます。

こういった投資詐欺の被害を回避するためには、どんなに魅力的な話であったとしても、素性が分からない人からの投資の勧誘や海外への送金には応じないことです。

金融庁のウェブサイトでは、国内で暗号資産交換業者の登録を受けている事業者かどうかを確認することが可能です。登録されていない事業者宛に送金することを求められた場合は、投資詐欺の可能性を疑ってみてください。

事例2. オークション詐欺

 オークション詐欺

オークションサイトを利用中のBさん。ある日、探していたブランド品が定価よりも大幅に安い価格で出品されているのを発見し、代金を振り込んでしまいました。

しかし、何日経っても商品は送られて来ず、出品者とも連絡がつかなくなってしまいました。

しばらくすると、初期に購入した会員にしか商品が送付されていないことが発覚。オークションサイトに掲載されている電話番号や住所も実在しないものでした。

このように、あらかじめオークションサイト内での評価を上げておくことで他の会員を信じ込ませておき、時期をずらして代金を騙し取るという手口が増加しているようです。

オークション詐欺の回避策

こういった巧妙な手口は、見抜くのが難しいかもしれません。オークションサイトなどの個人間取引はトラブルになる可能性が高いので、原則、利用しないことが一番の回避策となります。

やむを得ない事情があり、ネットオークションを自己責任で利用する場合には、出品者の名前や住所、電話番号、口座番号などをネット検索し、ブラックリストなどに載っていないかを確認した上で利用し、スクリーンショットなどで取引の記録を残しておくことをおすすめします。

事例3. サクラサイト商法

サクラサイト商法

会社員のCさんのメールボックスに、見知らぬ宛先から「お金を受け取れる」という主旨のメールが届きました。たとえば、次のような内容です。

件名:○○様より新着メッセージ

▼タイトル▼

『○○です!いつも話を聞いてもらっているので、お礼を送りたいと思っているのですが、入金時期だけでも決めておきませんか?希望の時間に2000万円を確実に受け取れるように・・・』

▼本文はこちら▼

http//deaikeisaito...

やりとりをするためにはサイト内でのポイント購入が必要とのことで、Cさんは数千円を課金しました。

その後も、様々な理由でポイント購入を促され、総額100万円以上の金額を課金しました。しかし最終的に、その相手とは連絡が取れなくなってしまいました。

Cさんのような事例は、国民生活センターによって「サクラサイト商法」と呼ばれている手口です。

サクラサイトとは

サクラサイトとは、サイトの運営者に雇われた「サクラ」が異性や芸能人、占い師などになりすまし、ターゲットとなる人の弱みや欲望につけ込んで特定のウェブサイトに誘導し、有料サービスを利用させ続けることで、継続的に入金・課金をさせるサイトです。

サクラサイトには、出会い系サイトやマッチングアプリのほかにも、占いサイトや副業サイト、懸賞サイトなど、様々なものが横行しているようです。

サクラサイト商法から身を守るためには、見知らぬ人から受け取るメールやDMなどを安易に信用しないことです。特に、芸能人や著名人、大手企業の名前などを出してきたら詐欺の可能性を疑ってかかりましょう。

事例4. 特殊詐欺の受け子被害

特殊詐欺の受け子被害

最後の事例は、軽い気持ちでアルバイトを引き受けたつもりが、特殊詐欺の加害者になってしまったというケースです。

コロナ禍で収入が減ってしまったDさん。新しい仕事を探していたところ、SNSで高報酬の求人情報を見つけました。たとえば、下記のような例です。

関東にお住まいで日払いの仕事を探している方!連絡ください!完全歩 合制、最低5万から最大50万ほどの仕事です。DMいただければ100%返信します。まずはお問合せください! #UD #お金欲しい

「高報酬」「簡単に稼げる」といった内容につられ、軽い気持ちで応募したところ、この仕事の実態は、ニセ電話詐欺などの被害者から現金やカードなどを受け取る役(受け子)でした。Dさんは特殊詐欺の被疑者として摘発されてしまいました。

受け子被害を回避するための対策

受け子として摘発される被疑者の多くは、未成年も含む10~20代の若年層が多いようです。一時のお金の欲しさから軽い気持ちで特殊詐欺に加担してしまうと、その後の人生を棒に振ることになるでしょう。

受け子被害を回避するための対策としては、「簡単に稼げる」「高報酬」「儲かる」といった文言がある求人情報を安易に信用しないことです。

また、受け子などを表す隠語である「受け」「UD」などのキーワードやハッシュタグがついている場合には、特殊詐欺の可能性を疑ってください。

オンライン詐欺から身を守るために

オンライン詐欺から身を守るために

年々巧妙になっていくオンライン詐欺に備えるためには、パソコンやスマートフォンなどの端末上で行う「技術的対策」と、インターネットを利用するユーザー自身が危険を察知・回避するための「リテラシー対策」の両面からの対策が重要です。

技術的対策としては、ファイアウォールをオンに設定する、ウイルス対策ソフトウェアやスパイ対策ソフトウェア、OSを最新の状態に保つといった対策が挙げられます。

こういった端末上での対策を行うことは大前提として、先述の事例1~4で紹介したような近年の特殊詐欺に対しては、私たちユーザー側のネットリテラシー(インターネットの特性を理解し、適切に活用する能力)を高めることが最大の防御となります。

心理的弱点を巧妙についてくる特殊詐欺犯

具体的方策については各事例の中で解説してきた通りですが、原則としては、おおよそ3点に集約されます。

● うますぎる話は疑ってかかる。
● やりとり・取引をする相手の身元を確認する。
● やりとり・取引に関する記録や控えを残す。

冷静に考えてみれば、これら3点は誰でもごく当たり前にできることだと思います。しかし、不況などにより心の余裕がなくなると、普段は当たり前にできていることが疎かになってしまうのが、私たち人間の性です。

そのような心理的弱点を巧妙についてくるのが特殊詐欺犯であるということも、併せて心に留めておいてください。

終わりに

オンライン詐欺に立ち向かうために

本記事では、近年増加傾向にあるオンライン詐欺の現状と回避策について、4つの事例を挙げながら解説しました。

仮想通貨を狙う投資詐欺や、詐欺の共犯者にされてしまう受け子被害など、年々巧妙化・複雑化していくオンライン詐欺に立ち向かうためには、私たち自身が悪質な情報を冷静に見抜く目を鍛えていくことが必要不可欠です。

先行き不透明な社会情勢の中、様々な不安を抱えながらこの記事を読んでいる方もいらっしゃることと思います。本記事で取り上げた詐欺の手口や回避策を頭の片隅に留めておいていただければ幸いです。

魅力的な儲け話に出くわした際には、とりあえず一呼吸。そして、本記事の冒頭で触れた教訓をぜひ思い出してみてください。

【参考リンク】

特殊詐欺の認知・検挙状況等について(警視庁)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/sagi.html

インターネット利用詐欺(警視庁)
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/sodan/nettrouble/jirei_other/internet_scam.html

金融庁や消費者庁も注意喚起、暗号資産を狙った「投資詐欺」の手口
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/dlis/1322838.html

暗号資産関係(金融庁)
https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html

国民のための情報セキュリティサイト(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/enduser/case/09.html

詐欺的”サクラサイト商法”トラブルについて(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/sakurasite.html

ニセ電話詐欺被害 若者、「受け子」にならないで 県警がツイッターで直接警告(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/54141

これって詐欺?あなたを狙うネット詐欺手口と自衛手段を解説(Norton)
https://japan.norton.com/fraud-damage-7333

The Cyber Threat(FBI)
https://www.fbi.gov/investigate/cyber

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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