トピックス 2021.05.26 リレーアタックとは？自動車盗難の新しい手口と防止対策

最新のテクノロジーを利用した「リレーアタック」という自動車盗難の手口があります。

自動車の盗難件数は一時期に比べると減少傾向にありますが、依然として自動車の盗難自体が無くなったわけではありません。自動車の盗難には様々な手口が使われており、リレーアタックはその中の手口の一つです。

近年の自動車盗難の傾向として、「キーなし盗難」の割合が高いことが分かっています。

キーなし盗難とは、車両にキーを付けていなかった状態にも関わらず、自動車が盗難されること。盗難時に車にキーが付いた状態であったキーあり盗難より、キーなし盗難の方が被害件数が多くなっています。

2020年では、自動車盗難認知件数の合計が5,210件であったのに対し、キーなし盗難はそのうちの3,903件ー自動車盗難全体のうち約75%を占めていることが分かりました。リレーアタックは、このキーなし盗難の主要な手口として利用されています。

この記事では、キーなし盗難の手口と防止対策について解説します。

キーなし自動車盗難の手口

自動車盗難の約75%をも占める「キーなし盗難」。このキーなし盗難にはどのような盗難手口があるのでしょうか？

● 窓ガラスを破壊して侵入する
● 針金でドアを開錠する
● 車内のスペアキーをマグネットで捜索する
● 自宅からスペアキーを盗難する

これらの手法は昔からある自動車盗難の手口です。物理的に鍵を破壊したり、スペアキーを利用したりすることで自動車を盗みます。

リレーアタックとスマートキーについて

スマートキーは、従来のような鍵を錠前に差し込んで開錠するキーとは根本から仕組みが異なっています。スマートキーは、キー本体から微弱な電波が発信されており、自動車がこの電波を検知できるところまで近づくとドアのロックが解除される仕組みです。

リレーアタックは、この技術を利用した盗難手法のこと。まず、スマートキーから発せられる電波を受信し、電波の識別情報をコピー。その後、コピーした識別情報を車の受信機に発信することで不正開錠を行います。

スマートキーから電波をコピーする人物とコピーした情報を車の受信機に発信する人物は別人であることがほとんどであり、そのためリレーアタックは複数人で行われることの多い犯罪です。

リレーアタックを防ぐ対策として利用される節電機能

リレーアタック対策として、自動車メーカーからは「節電機能」が提案されています。節電機能とは、スマートキーを節電状態にすることで電波の受信待機を停止する機能のこと。本来は、スマートキーの電池の消耗を抑えるために搭載されている機能です。

リレーアタックは、スマートキーから発せられる電波情報をコピーすることから始まる盗難。そのため、電波を発しない「節電機能」をオンにし、識別情報がコピーされることを防ぎます。

今すぐにリレーアタック対策を試したいという方は、まずはこちらの方法を試してみてください。

節電機能の設定方法は、自動車のメーカーや車種によって異なりますので、保有しているスマートキーの使い方を確認しましょう。

リレーアタックの防止アイテム

リレーアタックを防ぐ方法は節電機能だけではありません。スマートキーから発せられる電波がコピーされるのを防止するアイテムが発売されています。

● 電波遮断キーケース
● 電波遮断ポーチ

電波遮断キーケースやポーチを使ってスマートキーを持ち歩くようにすれば、電波をコピーされる心配が無くなります。

手早く簡単にリレーアタックの防止ができるアイテムです。見た目は通常のキーケースやポーチと変わりがなく、デザイン性の高い商品も発売されています。

また、物理的に自動車を動かせないようにする防犯グッズもリレーアタック対策として有効です。

● カーロック
● ステアリングロック（ハンドルロック）

カーロックやステアリングロックを利用して、自動車を簡単には動かせないようにします。

これらを設置しておけば、もし識別情報をコピーされドアを開錠されてしまっても、犯人がカーロックやステアリングロックを解除する方法を準備していなければ盗難を防ぐことができるでしょう。

また、万が一、カーロックやステアリングロックの解除方法を準備済みの犯人であったとしても、リレーアタックのみの場合に比べて自動車の盗難に、より長い時間が必要となるため、盗難される前に犯罪を発見できる可能性も出てきます。

リレーアタックを防止するアイテムには、これらのアイテムがあります。

どれか一つのみに頼るのではなく、複数のアイテムで自動車のセキュリティを強化することが大切です。複数のアイテムを組み合わせて、強固な防御態勢を築きましょう。

リレーアタックに続く手口としてコードグラバーを利用した盗難も

リレーアタックに続く盗難手口に「コードグラバー」を利用したものがあります。

コードグラバーとは、スマートキーの複製を作成する機器のこと。本来は、スマートキーを紛失したときやスペアキーを作成したいときに利用される機器です。

しかし、近年はこのコードグラバーを窃盗に用いる犯罪者が出てきています。コードグラバーを利用して、スマートキーの電波を受信し、識別情報をコピー。

コピーした情報を用いて、ドアの開錠やエンジンの始動を行います。リレーアタックと違って識別情報を中継する必要がないため、一人でも自動車を盗むことができる手口です。

コードグラバーを利用した盗難を防ぐには、カーロックやステアリングロックなどの物理的な手法が効果的です。

電波遮断キーケースや電波遮断ポーチと併用して盗難対策を行い、リレーアタックとコードグラバーの2つの盗難手口から自動車を守っていきましょう。

終わりに

自動車のセキュリティは年々進化しています。

それと同時に、自動車犯罪の手口も窓ガラスを割ったりピッキングを行ったりする物理的な手法から、最新のテクノロジーを利用したものへと変化。イモビライザーIDやスマートキーを利用した犯罪が台頭してきました。

● イモビカッターを利用してイモビライザーIDを解除する
● リレーアタックでスマートキーの識別情報をコピーする
● コードグラバーを利用してスマートキーの識別情報をコピーする

これらの犯罪は「このような犯罪がある」と認識の上、事前に対策を打っていなければ防ぐことが難しい盗難の手口です。

リレーアタックは、その最たる手口です。スマートキーの電波をコピーされる危険性があることを認識の上で対策を取っていなければ、自動車盗難の被害者となってしまう危険性は対象車種の保有者であれば誰にでも存在しています。

セキュリティ情報に対する感度を日々高く持ち、少しでもリスクを低減できるよう情報をキャッチアップしていきましょう。

【関連リンク】

・自動車盗難の現状（自動車盗難防止に関する官民合同プロジェクトチーム）
https://www.car-tounan-boushi.jp/condition.html#kyuzou

・イモビライザーとは？（駆けつけカギの救急隊）
https://www.kagi-kinkyutai119.com/column/column22.html

・お問い合わせ・よくあるご質問　リレーアタックによる車両盗難に対する応急対策はあるか（トヨタ自動車）
https://faq.toyota.jp/faq/show/188?site_domain=default

・お問い合わせ/よくあるご質問　リレーアタックによる車両盗難の対策方法を教えてください。（SUBARU）https://www.subaru.jp/faq/trouble/trouble00.html

・コードグラバーとは。スマートキーの電波遮断などの対策は有効？（チューリッヒ保険会社）
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-car-code-grabber/?utm_medium=pas&utm_source=i6g&utm_campaign=tx&utm_content=100075&argument=hT7qcPFB&dmai=pas_i6g_tx_100075&gclid=Cj0KCQjwppSEBhCGARIsANIs4p79l6OtBy2WgNL17KWWqr1ElrZRubeTeFIe-mNLhtEnn43F1tOdmtIaAoQaEALw_wcB

・車を狙うリレーアタック。手口と対策、知っていますか？
https://securitynews.so-net.ne.jp/topics/sec_20069.html