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Amazonなどの「サクラレビュー(やらせ)」を見破る方法とは?やらせレビューを見破るサクラチェッカー

トピックス 2021.07.02 Amazonなどの「サクラレビュー(やらせ)」を見破る方法とは?やらせレビューを見破るサクラチェッカー

商品を手に取ってみることができないネット通販は、レビューだけが頼り。特にAmazonのレビュー欄は、誰もがチェックする重要な判断ポイントです。

しかし、このレビュー欄のコメントには不正なコメントが多く、信頼性を低くするという問題になっています。

実際に購入していないのに書き込んであるものや、報酬をもらってわざと良い評価をするもの、ライバルを貶めるために悪評化のコメントを書き込むもの。いわゆる「サクラ」の存在が背景となっています。

ある調査では、Amazonに投稿されているレビューの約3割がこのような「サクラ」ではないかとされており、Amazon側も対応に追われているようですが、未だ信頼性が回復する兆しがありません。

そんな中、Amazonのレビューの信頼性を評価するツールが現れ始めました。

この記事では、どのようにして「サクラ」を見破ればよいのかを研究するとともに、「サクラ」のレビューをチェックして評価するツールも紹介します。

Amazonにはびこる「サクラ」レビュー

Amazonにはびこる「サクラ」レビュー

Amazonに出店する経営者にとって、商品のクリック数は最大の関心事。自分の店の商品レビュー数が多くなることは、検索結果のクリック率が高くなる、すなわち売り上げが上がることと同じです。

そこで、なんとか自分の商品をヒットしやすくしようとして、お金を支払ってでも多くの人にレビューを書いてもらうということが行われています。

副業を探すツールとして有名なCrowdWorksやLancersなどの仕事募集にも、そういった発注がちらほらと見つかります。1件数百円から数千円で発注され、結構な数の人が小遣い稼ぎをしているようです。

ネット通販のレビューは偽コメントだらけ

少し前のことですが、頼んでもいないのに中国から植物の種と思われるものが送りつけられるという事件が多数発生し、騒ぎになりました。アメリカでは、数万人がこの種を受け取ったといいます。

目的は不明とされていますが、とあるAmazonの出店者が勝手に不特定多数の人に送り付けて、偽の販売実績を上げ、送付後は受取人に成り済ましてサイトで高評価を付けるというものではないかと言われています。

このように、ネット通販のレビューは偽コメントだらけであり、信用性に欠けるものとなってしまいました。

ただ、すべての商品が同じように信用性に欠けるのかというと、そうではないわけで、これをどうやって見分ければよいかが問題となります。

やらせレビューの多い怪しい商品はどれか

Amazon

最近は、安くてブランド名があまり知られていない電化製品などがAmazonを賑わせています。こうした商品の中には次のような特徴を持つものがあります。

● 発売直後なのにレビュー数がすでに数百以上。
● わずか数日間の間にレビュー投稿が集中している。
● 話題にもなっていないのに発売直後の高評価。
● 文章が日本語としておかしい。
● 不必要と感じるほど妙に詳しく書いてあるレビューが多数。


冷静によく見るとわかるのですが、真剣に商品を探している人にとっては、「おお、新商品だ、レビューも多くて高評価だ」となり、「あまり知らないブランドだけど、自分は掘り出し物を発見した」などとなって喜んで買ってしまうことになるのです。

こうしたことにならないよう、「今すぐ購入」をクリックする前にレビューをチェックするサイトを使用して調べてみましょう。

サクラチェッカーで怪しい商品をチェックしてみた

サクラチェッカーで怪しい商品をチェックしてみた

サクラチェッカーは、Amazonのレビュー欄にサクラのコメントが含まれていないかどうかを調査するサービスです。2019年7月の開始以来、マスコミにも多く取り上げられ、話題となっています。

前段で怪しいレビューの特徴を述べましたが、最近は巧妙になってきており、投稿された日付や日本語の正しさのようなすぐにばれてしまうようなやり方は避けられているようです。

そこで、あまり知られていないブランドの安価なオフィスチェアに「妙に詳しく書いてあるレビューが多数ある」ものを見つけたので、これをサクラチェッカーにかけてみました。

この商品、元のレビューの評価が55個で「4」と、なかなかよい内容です。

ところが、サクラチェッカーにかけた結果の評価は「1.67」。「サクラ度」というサクラや注意評価などから算出した注意度数は「90%」という結果になりました。この商品のレビューは信用できないというわけです。

サクラチェッカーによる注意度合い

傍目には、購入したユーザーが多数の詳しいレビューを寄せているように見えますが、サクラチェッカーによると次の点から注意度合いが高くなっているようです。

● 手数料の見返りにレビューが書かれている可能性が大。
● ライバル社が悪評価を書いている。
● Amazonからサクラ評価を削除された跡がある。

サクラチェッカーでは、チェックをかけた日から過去三カ月のレビュー総数の変化をグラフで表示してくれます。それによりますと、2021年1月~2021年4月までの評価件数の推移は、55件のままずっと変わらなかったのに3月頃評価件数が少し減っていました。

これは、サクラと思われるレビューがAmazonから削除を受けた証拠になります。

やらせレビューの見分け方

やらせレビューの見分け方

商品を検索して、レビュー数が多いものを選んだ時、それがサクラの疑いがあるかどうかを目視で簡単にチェックするポイントを整理しました。

1.商品写真に過度な演出がある

メインの商品画像は、背景白で純粋に商品だけが写っている状態が標準です。これに文字を入れたり、派手な演出を施してあるのは、そもそもAmazonのガイドライン違反のため、NGです。

2.商品名がやたらと長くメーカー名が無い

SEO対策なのか、商品名に「最新型」とか商品の特徴や規格を載せて、 目一杯使っているのに、肝心のブランド名が入っていないものがよくあります。こうした商品は、品質でほかの商品に敵わないために無理をしている可能性大です。

3.レビュー分布に妙な偏りがある

例えば、評価5が極端に多く、評価1~3がほんの少しあった場合、これはサクラの可能性大です。なぜかというと、最初にサクラを使って一定期間で高評価をつけさせた後、売れてくると本当の評価を付ける人がぼちぼちと出てくるためです。

4.日本語がおかしい

明らかに日本人が書いたのではない変な文章のレビューは、サクラ度100%とみていいでしょう。これはすぐにばれますので、現在は少なくなった印象があります。

レビュー判定サービス3選

レビュー判定サービス3選

ここでは代表的なレビュー判定サービスを3つ紹介いたします。

1.サクラチェッカー

前段でもご紹介したサクラチェッカー。2019年7月のサービス開始以来、改良が重ねられています。

IT企業の管理職であるユウさんが、土日を使って1年かけて開発したというこのサイトですが、使い方は以下のとおりです。

1.サクラチェッカーのサイトを開いて、調べたいAmazonの商品ページのURLをコピペする。

2.解析が始まり、結果が表示される。

これだけです。このサイトを作成するために、ユウさん自身が不正レビュアーグループに潜入して内情を探ったのだとか。

解析方法としては、下記の6つの項目を基にします。

価格、製品
ショップ
ショップレビュー
レビュー分布
レビュー日付
レビュアー・本文

各項目に10段階の評価基準があり、レビュー自体の不自然さ度合いが分析される仕組みです。

2.ReviewMeta.com

日本語を含む世界7カ国語に翻訳されて、全世界で利用されているAmazonのレビューチェッカーです。

このサイトの使い方は、サクラチェッカーと同じくAmazonの商品ページのURLを入力欄にコピペすることだけで解析できますが、サクラチェッカーと違うのは、結果に対する詳細な説明がされていることです。

たとえば、先ほどのオフィスチェアをReviewMetaにかけると5段階評価の値はAmazonと変わらず、総合評価では「合格」と出ます。

ReviewMeta

ただし、「レビューだけ見ると不合格」であることが書かれ、その理由として「なぜか一度書かれたレビューが削除されている」ということを上げていました。

雰囲気だけではなく、良い点や悪い点をきちんと評価して、あとの判断はユーザーにゆだねるタイプとなっています。

アメリカでは、Amazonの偽レビューによって不正な競争が行われたとして同業者を訴える裁判が行われることがありますが、ReviewMeta.comは証人として裁判で証言をしたりしています。

それだけ公共的な意味合いを持ち、信頼性が高いと言えそうです。

3.Fakespot

Fakespotは、Webサイトではなくブラウザのアドインとしてインストールして使うタイプです。

Google Chromeなどにアドインとしてインストールすると、Amazonを開いたとき商品ページの右上に「フェイクスポットレビュー分析」のコーナーができて、「レビューを分析する」ボタンが表示されます。

過去に誰かがこのボタンを押したのであれば、すでにそこにはFakespotのレビュー評価が出ていますので、これがAmazonの評価と大差なければひとまずは安心できるというわけです。

この「レビューを分析する」ボタンを押せば、分析中の窓が現れ、棒グラフが動き始めます。終了すると「FAKESPOT REVIEW GRADE」として、「A」「B」「C」~で評価が表示されます。

Fakespot

先ほどのオフィスチェアをかけてみたところ、評価は「A」でした。多分1回だけサクラレビューが削除されたことがあるというだけで、あとは安全だから、「安全」ということなのでしょうか。ReviewMeta.comのような詳しい結果は表示されません。

試しに、安すぎる割に良さげに見える、多分だめだろうと思しき中国製のモバイルバッテリー商品があったので、Fakespotの「レビューを分析する」ボタンをクリックしてみたところ、赤い表示で「F」と出ました。

終わりに

レビューが信頼性に欠ける時代がやってきた

街に出て買い物をするときは、自然と信頼のおけるお店に入るのでなんの不安もありませんが、ネット通販の場合、何をもって信頼できる販売主とするかの手がかりがありません。

そこで、購入した人の書き込み「レビュー」が頼りとされるようになりましたが、そのレビューが全くと言っていいほど信頼性に欠ける時代がやってきました。

今回ご紹介したレビューチェッカーたちは、はたして不信感に包まれたネット通販界の救世主となりうるのでしょうか。

大きく変化していく時代に生きる我々も、ネット上に渦巻く嘘の情報を見抜くだけのリテラシーを身に着けたいものです。

Amazonのやらせレビューと戦う「サクラチェッカー」はなぜ生まれたか 開発者に聞く背景やサクラレビューの見分け方(ねとらぼアンサー)
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1911/22/news010.html#l_ah00_sakura4.jpg

Amazon不正商品レビューの3つの特徴と見分け方(axalpha)
https://www.axalpha.com/blog/%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E5%95%86%E5%93%81%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%81%AE3%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%A8%E8%A6%8B%E5%88%86%E3%81%91%E6%96%B9/

中国から送り付けられる「謎の種」の正体(JBPress)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62032

Amazonの不正レビューを判定するだけではなく「なぜ不正レビューと判定されたのか」も詳しく教えてくれるネットサービス「ReviewMeta」(Gigazine)
https://gigazine.net/news/20190716-reviewmeta-amazon-review-checker/

サクラチェッカー
https://sakura-checker.jp/

Reviewmeta.com
https://reviewmeta.com/

Fakespot.com
https://www.fakespot.com/

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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