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私は1日平均2600回スマホを見ている。長期的にテクノロジーが人間に与えるリスクとは?

トピックス 2021.04.23 私たちは1日平均2600回スマホを見ている。長期的にテクノロジーが人間に与えるリスクとは?

スマホを手放せなくなってしまっている人が多くなっています。駅や信号待ちでもうつむいてスマホをいじっている人ばかり。レストランでも食べてる時くらいは、手放せないのでしょうか。

新聞や雑誌は読まず、世の中の動きはほとんどネットから入手しているという人も多いでしょう。テレビや映画、買い物もスマホ。調べ事もすべてスマホ。道がわからない時もスマホ。音楽もスマホです。 

こんなに電子機器の画面を一日中見ている人類が現れたのは、ほんの10年位前のことにすぎません。

私たちは1日に平均2,600回スマホを触っているという研究結果がある

私たちは1日に平均2,600回スマホを触っているという研究結果もあります。スマホが、人間の脳に悪影響を与えてはいないだろうか。こんな疑問に対していろいろな研究報告がなされています。 

この記事では、スマホが我々の脳に与えている影響についていろいろな研究報告を紐解きながら、考えていこうと思います。

我々はどれくらいスマホを触っているのか

我々はどれくらいスマホを触っているのか

教育大国と言われているスウェーデン。義務教育9年、高校3年、大学3年からなる学校教育はすべて無償となっています。そんなスウェーデンでも子供たちのスマホ依存は問題になっています。 

昨年、このようなタイトルの本が出てベストセラーとなりました。そのタイトルは、『スマホ脳』。

著者は、精神科医のアンデシュ・ハンセン氏。ノーベル賞生理学・医学賞の選定委員会が置かれているカロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得した人です。

『スマホ脳』には、どのようなことが書かれているのか

『スマホ脳』には、どのようなことが書かれているのか、要点を箇条書きにしてみました。 

● 現代人がスマホに触れる頻度と回数は、10分に1回、タッチ回数は1日平均2,600回。
● 先進諸国の睡眠障害で来院する人の数が9人に1人の割合になっている。スマホの影響があるのは否定できない。
● 1日に2時間を超えてスクリーンを眺める行為は、うつのリスクを高めるが、現代人は平均4時間眺めている。
● 大企業が開発するアプリは脳に報酬系の快楽物質が放出されるように作られている。
● 10代の若者の2割ほどは1日に7時間もスマホに費やしている。この計算で行くと、80年の人生で5年間はスマホに使うこととなる。
● 学習現場では、スマホが近くにあるだけで学習効果、記憶力、集中力が低下するという報告がある。

スマホが近くにあるだけで学習効果、記憶力、集中力が低下する

何ともショッキングな内容であり、ネット上でも話題になりました。この記事を書いている理由も、同書の影響によるものと言えるかもしれません。 

いずれにしても、我々現代に生きる人間たちのスマホ依存によっておこる各種の問題は予防すると同時に解決しなければなりません。

スマホ依存度テストを受けてみよう

スマホ依存度テストを受けてみよう

スマホ依存の危険性は心配です。自分のスマホ依存度が、どれくらいのものか診断してみたいと誰しもが思うでしょう。 

スマホ依存について、専門に研究している機関がアメリカにあります。テクノロジー・インターネット依存症センター(The Center for Internet and Technology Addiction) という機関になりますが、同機関の心理学者、デビッド・グリーンフィールド教授が開発した『スマホ依存度テスト(Smartphone Compulsion Test)』が有名です。

 簡単なテストですので、気になる方は受けてみるとよいでしょう。自分がどれくらいスマホに依存しているかがわかります。

スマホの使い過ぎが脳に及ぼす影響とは

スマホの使い過ぎが脳に及ぼす影響とは

ニンテンドースイッチのソフト「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」で有名な東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授による著書、『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)には、次のようなことが書いてあります。 

仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名にアンケートを実施し、家庭学習の時間とスマホ利用時間の関係をデータを解析したところ、次のような結果が出ました。

● スマホを長時間使っている生徒の学力は総じて低い。
● 学力低下の原因は、スマホ使用時間のせいで家庭学習時間が減ったからではない可能性がある。
● 家庭学習を行わない生徒のうち、スマホ使用時間の長い生徒の成績が低い。

スマホを長時間使っている生徒の学力は総じて低い。

スマホを長時間見ている生徒の学力が低いのは想像に難くありません。問題は「なぜスマホの使用時間と学力が反比例しているのか?」ということです。

つまり何が言いたいかというと、学校の授業をよく聞いて勉強してもスマホを長時間見ることで『学習効果が消えている可能性がある』というのです。

科学的な裏付けはありませんが、アンケート調査から見えてくることは、『スマホの使用が脳の学習能力に悪影響を及ぼしているのではないか?』という恐ろしい仮説が浮かび上がってくるのです。

『スマホの使用が脳の学習能力に悪影響を及ぼしているのではないか?』という恐ろしい仮説

「スマホばっかり見ているとバカになる」ということが大方当たっているということなのでしょうか。 

これは睡眠時間の長短との関係もあり、直接スマホが脳の学習効果を消し去っているという証拠にはなりませんが、学習効果とスマホ利用時間の長短との関係性があることははっきりしています。

終わりに

大人の場合は実生活に影響を及ぼす


前段に中学生の学習効果の例を挙げましたが、大人の場合は実生活に影響を及ぼします。スマホの使い過ぎによる症状には次のような症例が挙げられています。

● 物忘れが多くなる うっかりミスが増える
● 思考力・判断力の低下 感情コントロール力の低下
● 自律神経の乱れ

これらの障害を発症する前に、以下のようなことに心がけましょう。

● ボーっとする時間を作る。
● 調べ事は目的をもって。得た情報は自分の中で整理。
● たまには手書きでメールを書いてみる。
● 本は本屋へ買いに行く。
● 睡眠を大切にする。

たまには手書きでメールを書いてみる

「1」のボーっとする時間ですが、スマホを全く使わずに過ごす時間は、一日5分でも良いそうです。

また、「5.」の睡眠時間は人それぞれですが「6時間以上8時間未満」が標準的であることが厚生労働省の健康づくりのための睡眠指針2014」にも書かれています。

きちんと睡眠をとるためには寝床にスマホを持ち込まないことも重要です。

能率アップのために使っている人も多いと思いますが、使い過ぎはかえって能率を悪化させているのではないでしょうか。

健康を維持するためにも、休むときにはスマホを持たないことが大事なのかもしれません。

【関連リンク】 

平成30年版情報通信白書(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252510.html

教育大国スウェーデンで社会現象となった『スマホ脳』が日本でも大反響!全国書店で続々1位獲得、発売即重版決定!(PRTIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000047877.html

 テクノロジー・インターネット依存症センター
(The Center for Internet and Technology Addiction)
https://virtual-addiction.com/smartphone-compulsion-test/

 スマホ依存度チェック!心理学者の開発した自己診断テストを公開
https://exploring4ever.com/smartphone-compulsion-test/

 スマホが学力を破壊する"これだけの根拠 (PRESIDENT Online)川島隆太教授
https://president.jp/articles/-/24764?page=3

脳疲労に要注意!集中力や記憶力にも影響する 「スマホ脳疲労」(大正製薬)
https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/detail_185.html

「健康づくりのための睡眠指針2014」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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