トピックス 2021.02.22 地震、災害に備えて自宅周辺の「ハザードマップ」は必ずチェックしよう
ハザードマップとは、自分の住んでいる地域や会社周辺で台風、大雨、地震といった災害が起こったときに、どこにどのような危険があるか、また、災害が起こった場合にどこに避難したら良いのかという情報を地図上にまとめたもののことを言います。
ハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトや市区町村の役所や役場、公式ホームページから入手できます。
近年でも2018年には北海道胆振東部地震や、2020年には九州で台風や集中豪雨による土砂崩れなどが記憶に新しいと思いますが、予期せぬ被害が多数起こっています。
事前にハザードマップなどで災害の危険性や避難場所などをしっかり把握していれば、防げた被害もあったのかもしれません。
今回はハザードマップについて詳しく解説致します。
地方自治体と国土交通省が出しているハザードマップ
ハザードマップはパソコン、スマートフォンなどで地方自治体や国土交通省が公表しているので、自分の住んでいる地域や住所で検索すればすぐに調べることができます。
国土交通省のハザードマップポータルサイトを見ると、「わがまちハザードマップ」と「重ねるハザードマップ」が載っています。
「わがまちハザードマップ」は、自分の住所の所属の自治体を選択すると、ハザードマップが掲載されている地方自治体のホームページのURLや連絡先が表示される仕組みです。
「重ねるハザードマップ」は、自分の住所を検索し、自宅とその周辺を表示し、洪水、土砂災害などを選択すると、地盤が緩く危険な場所や浸水しやすい地域などが色付けされて表示されます。
また、NHKの「あなたの天気・防災」に自分の住所を登録すれば、その周辺のハザードマップを見れるサービスなどもあります。
事前に同居している家族や近くの親戚とも、ハザードマップの危険区域の情報共有を行い、万が一の時に備えておきましょう。
ハザードマップには種類がある
ハザードマップには大きく分けて、災害別に8つのカテゴリーがあります。「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」「宅地」「地震危険度」の8つです。
洪水ハザードマップ
台風による大雨や集中豪雨などで、川の堤防が決壊したときの浸水範囲や深さを表した地図に、避難所や避難経路などが記載されたものです。
洪水による浸水が予想される区域の市町村長が作成することが義務化されています。
内水ハザードマップ
下水道の雨水排水能力を上回る降雨があった際に、床下浸水が発生しそうな区域に関する情報、避難場所に関する情報を図式化して表示したものです。
緊急時に対する役割だけではなく、地下室への止水板、土のうなどの設置、住民の自助、適正な土地活用を促す目的も含まれています。
高潮ハザードマップ
高潮災害の際の住民の避難経路の確保や施設設備の充実のために、浸水が予想される区域と浸水の度合いを示した地図に、避難場所や避難経路など図式化して表したものです。
津波ハザードマップ
津波災害の際の住民の避難経路の確保や施設設備の充実のために、浸水が予想される区域と浸水の度合いを示した地図に、避難場所や避難経路など図式化して表したものです。
土砂災害ハザードマップ
土石流、がけ崩れ、地すべりの危険度が高い場所や避難場所、避難経路などを図式化して表したものです。土砂災害防止法という法律があり、土砂災害警戒区域の指定後には必ず土砂災害ハザードマップ作成が義務化されています。
火山ハザードマップ
火山噴火によって発生する溶岩流や火砕流、融雪型火山泥流などにより、被害が発生するおそれのある範囲を数値を用いて予測したものです。
宅地ハザードマップ
大規模盛土造成地を抽出した上で、個々の盛土造成地の形状や土地利用状況、地下水の有無などを踏まえ、大規模盛土造成地の変動予測を表示したものです。
地震危険度マップ
地震のときの市街地の火災延焼の危険性、道路閉塞に伴う避難や消防活動の困難性を表したものを指します。建築物の耐震不燃化、避難場所や避難経路、防災の拠点の設備の見直しと確立など、防災に対するまちづくりをさらに促進することが重要となります。
各災害のハザードマップを確認して、自分の住んでいる地域はどんな災害が起こりやすい場所なのか、万一災害が起こったときにはどこに避難すべきなのかを知っておくことが大切です。
都市部でも地方でも重要な2つのハザードマップ
海沿いの地域では津波が、山沿いの地域では地割れなどが想定されるので、災害ハザードマップを活用している地域が多く見られます。
ただ、都市部に住んでいる人々にはあまり関心がない人も多いのではないでしょうか。
実は都市部では地震で浸水が起こった時の方が、普段から災害に慣れていないため、大惨事になる可能性が高いのです。
都市部でも地方でも必ず押さえておきたいのが、「地震ハザードマップ」と「洪水ハザードマップ」の2つです。
地震ハザードマップでは揺れやすさ、液状化危険度、建物倒壊危険度の3項目に注目する必要があります。
揺れやすさとは、地盤の状況とそこで起こり得る地震の両面から、その場所の地域の揺れやすさを計測進度として表示したものを指します。
液状化危険度は建物、川の堤防、橋、さまざまなライフライン施設に影響を及ぼす可能性が高い低いを判定し、表示したものです。
建物倒壊危険度とは、建物の構造、建築年数など地域の社会的なデータを合わせて、地震被害を予測し、建物の被害度合いを表示したものです。
この3項目を見て、地盤が緩みやすい場所、倒壊しやすい建物の側に避難するのは大変危険ですので、それ以外の場所に逃げるための避難経路、避難場所をいくつか決めて、最短距離で逃げられるようにしておきましょう。
洪水ハザードマップはまず地域に流れる大きな河川がある位置に注目すべきです。
大雨による雨量の増加で浸水した場合に、自分の住んでいる地域は浸水する範囲に入るのかを確認し、浸水範囲以外での避難経路、避難場所を確保しておく必要があります。
これは河川の大きさや河川付近の堤防や設備などによっても大きく状況が変わってきます。
地域の小さい川から大きな河川まで全て確認しておきましょう。
地震ハザードマップ、洪水ハザードマップなどをよく確認したら、もし災害に見舞われた時のために、自分の自宅から最短で逃げることができるように、自宅から最短経路のハザードマップを作っておくのをおすすめします。
終わりに
地震大国日本と言われるほど、日本は地震が多い国です。
近い将来発生すると懸念されているのが、南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震です。今後30年以内に70%の確率で起こると言われています。
また、地球温暖化による環境の変化で集中豪雨などが今後もっと増える可能性も考えられます。
ハザードマップの確認による避難経路と避難場所の確保はもちろんのこと、自宅や建物安全点検を定期的に行う、家族間での避難時の約束ごとを決めておく、非常食や水などの確保などは常日頃から用意しておきましょう。
普段からの心がけと災害に対する意識を持つことで、火急の際にもきちんと対処できることにつながるのです。
国や地方が出しているハザードマップを活用し、自分なりのハザードマップを作成し、万が一の時にはそれを使って避難しましょう。
【関連リンク】
・日本で起きた災害一覧
https://www.7mate.jp/saigai/
・ハザードマップポータルサイト
https://www.cbr.mlit.go.jp/shonai/bousai/hazard_map/pdf/hazard-map.pdf
・ハザードマップの見方
https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/basic-knowledge/basic-knowledge_20190517_05.html
・内閣府防災のページ
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/jishin.html
・災害大国揺れやすい地盤
http://www.asahi.com/sp/special/saigai_jiban/
・ハザードマップ等の実例
https://www.mlit.go.jp/common/000026990.pdf
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock