トピックス 2021.01.22 5G時代の四種の神器「IoT、クラウド、ブロックチェーン、 AIは全てつながっている」
三種の神器は歴代の天皇が代々皇位の証として受け継いできた三つの宝物で、昭和時代には人々の生活を一変させたという文脈で、電気洗濯機、真空掃除機、電気冷蔵庫を「昭和の三種の神器」と呼びました。
三種の神器と呼ばれるものは、人々の暮らしを一変させるテクノロジーが生まれるごとに更新されますが、ここにきて5Gの登場が我々の暮らしを一変させようとしています。
そんな5G時代では「IoT」「クラウド」「ブロックチェーン」「AI」が我々の暮らしを一変させると考えられており、これらを総称して5G時代の「四種の神器」と呼びます。
IoT、クラウド、ブロックチェーン、そしてAIはITニュースで頻出ワードであるものの、その実態を理解している人はあまり多くないのではないでしょうか。
実はこの4つは全て繋がっており、単体で理解するよりも「四種の神器」として一括りにしてしまうことでその全容を理解しやすくなります。
今回は5G時代の四種の神器について解説します。
そもそも5Gで何が変わるのか
通信環境の歴史を簡単に振り返ると、1980年代に登場した1Gを皮切りに、通信環境は10年スパンでイノベーションが起きてきました。
1980年代
1Gが登場したことで外出先での通話が可能になり待ち合わせの概念が変化。
1990年代
2Gの登場でメールが普及。NTTドコモがiモードを開始したことによってインターネットメールを携帯電話で使えるようになり、コミュニケーションのあり方が多様に。
2000年代
3Gの登場で10M?20Mbpsクラスの高速通信が可能になり、PC以外で何かを「検索」したり、ブログが普及した。
2010年代
4Gの登場でYouTubeを始めとした動画視聴やスマホゲームが普及。ユーザーがクリエイター(YouTuberなど)として活躍できる時代になり、新しい仕事のあり方が注目されるようになった。
このように新しい通信環境は10年スパンで登場し、人々の暮らしや文化に大きな影響を与えてきたわけですが、2020年に登場した5Gで注目されているのはこれまでと全く異なる通信規格です。
具体的に挙げられるのは「大容量高速通信」「低遅延」「多数同時接続」の3つで、ニュースなどでも「2時間の映画を3秒でダウンロードできる」「4Gの1000倍の大容量高速通信」という謳い文句で報道されたことで注目を集めました。
人々がスマートフォンを肌身離さず持ち歩く常時接続の時代において、ユーザーがもたらす情報は企業にとって「石油」であり、データの送受信量が爆発的に増加することが予想される5G時代において、データの取り扱いは企業の先行きを左右するものとなりました。
そんな時代に注目されているのが、IoT、クラウド、ブロックチェーン、AIということなのです。
四種の神器①IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で、ありとあらゆるものがインターネットに接続されることを意味します。
身近な例を挙げれば、Apple Watchを始めとしたウェアラブル製品は物理的なプロダクトとインターネットが融合し合うインターフェースとして理解しやすいのではないでしょうか。
今後、自宅ドアやトイレなどあらゆるものがインターネットに繋がっていき、センシングにとってユーザーの様々な行動データを取得することで、これまでは価値があると思われていなかったデータを集めて、データのビジネス活用の手段として注目を集めています。
既存の4Gでは通信速度や容量で制限があったIoTは、5Gの普及によって爆発的に普及することが見込まれています。
四種の神器②クラウドとは
先述のIoTによるデータ収集によって、かつてない膨大な量のデータを保存する必要が生まれました。これは企業が自ら用意したサーバーに保存していてはコスト面に見合わないほどのデータ量と言われ、データの保存先としてクラウドが注目されました。
クラウドとは、ユーザー自身がデータを保存するのではなく、どこか別の場所でデータを保存して、必要な時に取り出せることを指します。
私たちが普段利用しているAppleの「iCloud」やGoogleの「Google Drive」もクラウドサービスの一つです。
ちなみに、このクラウドを世界的に制圧したサービスの名前はAWSと呼ばれており、このサービスを提供しているのが、あのAmazonです。
誰もが知る世界的企業Amazonは「ネット小売企業」という認識が世間では一般的ですが、Amazonは小売企業ではなくクラウドを提供する企業として急拡大したことを踏まえると、クラウドの需要の大きさが伺えます。
四種の神器③ブロックチェーンとは
IoTでデータを集めて、クラウドにそれを保存する際、安全にデータを管理する手段としてブロックチェーンが注目されています。
以前、セキュリティ通信でもご紹介しましたが、ブロックチェーンは「分散型台帳技術」のことを指し、取引記録をブロック状にまとめ、それを一本のチェーンのように繋げて保存することからそう呼ばれています。
(参考:今さら聞けないブロックチェーンとは?国や社会のあり方を再定義するテクノロジー)
ブロックチェーン最大の特徴はそのセキュリティ性の高さにあります。
個々のユーザー同士をネットワークで結んで直接やり取りするピア・トュ・ピア(P2P)で成り立っているブロックチェーンは、一つのサーバーにデータが管理されているのではなく、世界中のPCに全く同じ情報が保存されているため、後からデータを書き換えても、他のデータと照らし合わせると不正が明らかになるというものです。
こうした圧倒的なセキュリティ性の高さゆえに、「通貨」であるビットコインに最初に導入されたという経緯がありました。
今後は仮想通貨に限らず、データ管理のツールとして活用が見込まれています。
四種の神器④AIとは
IoTで収集したデータを、ブロックチェーン技術で安全にクラウドに保管した後に必要となるのが、膨大なデータを分析するAIです。
IoTによって膨大なデータを集めることができても、それを分析して活用するための正解を導くAIがなければ、保管されているデータは単なるログデータとしての価値しか生み出すことができないのです。
AIの分野では数年前からディープラーニングという人間の脳の仕組みを真似て作られた手法が注目されていますが、人間が到底処理しきれない膨大なデータを分析することで、これまで価値がないと思われてきた行動データなどに新たな「解釈」を加えることで、ビジネスのデータ活用を模索しています。
まとめ「四種の神器は4つで1つ」
データ収集のためのIoT、保管場所としてクラウド、保管方法としてのブロックチェーン、データ分析のためのAIと、四種の神器は4つ揃って初めて価値を生み出すことができるのです。
とは言え、ブロックチェーンやAIなど、それぞれの分野ではまだまだ課題が山積でいずれも実用化に向けた研究が現在も行われています。
しかし5Gが普及することによって、これら四種の神器は確実に我々の生活を一変させるものになるものと見込まれています。
次の時代を彩る5G時代の四種の神器。ITニュースなどでこれら4つのワードを見聞きしたら、次の時代を象徴するワードとしてしっかりとチェックしてみてください。
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock