トピックス 2021.01.26 え、その割引率は本当?ネットでの不当な二重価格表示に気をつけましょう
私たちの生活にとって、家にいながら欲しいものを購入できるネットショッピングは無くてはならないサービスになってきています。
そんな、ネットでのショッピングにおいて「通常価格3,000円の品を34%オフで1,980円で販売中!」といった価格表示を目にしたことがあると思います。
販売価格とは別に参考となる別の価格を同時に表示することを「二重価格表示」と呼ばれていますが、そこには消費者が不利にならないためのルールが存在しています。
今回の記事では、このルールに反した不正な価格表示に騙されないよう、そのルールと事例を確認しましょう。
二重価格表示のルール
二重価格表示とは商品の販売価格とは別に、比較対象となる別の価格を同時に表示することです。
二重価格表示そのものは特に問題があるものではありませんが、消費者庁によって示されているガイドラインに沿って表示を行う必要があり、ネットでは通常販売価格と割引後の価格が並べて表示されることが多い傾向にあります。
「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/
比較対象とされる価格には以下の3つがあり、それぞれ不当な表示となるケースがあります。
通常価格
通常価格として表示するためには、実際に販売を行った実績が必要です。
ガイドラインでは「最近相当期間にわたって販売されていた価格」は二重表示を認めていて、これはセールの開始前8週間で4週間以上、セール前の販売期間が8週間以下の場合は2週間以上の販売実績が必要とされています。
この基準を満たしていない場合は、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあります。
また、他店の販売価格を比較対象とする場合は、消費者が代替的に購入可能な最近の表示価格であり、市価を比較対象とする場合は相当数の事業者の販売価格を調査しなければいけません。
メーカー希望小売価格
メーカーのカタログやサイト等に記載された価格でない場合、不当な表示となることがあります。メーカー希望価格を表示する場合には、それを裏付けるためのエビデンスを元にして表示を行わなければなりません。
オープン価格
オープン価格はメーカーが販売価格の決定を販売店に委ねるものです。オープン価格の場合は、メーカー希望小売価格はないため二重価格表示はできません。
事例で分かる不当な二重価格表示とは?
二重価格表示のルールについて、詳しくは消費者庁のガイドラインをご覧いただければと思いますが、ルール違反のポイントは優良誤認、有利誤認といった消費者を見誤らせる表示が該当します。
有利誤認に当たる行為とは、商品やサービスの価格を実際の価格よりも安く公表したり、他の会社の商品やサービスよりもメリットがあることも事実に反して表示したりするような行為であり、優良誤認は商品やサービスの質や規格が実際よりも優れていると見せかける行為です。このような表示は景品表示法に反するとして処罰の対象となることもあるため販売者は気をつけなければなりません。
それでは二重価格表示について、より具体的に理解するために過去に問題となった事例を確認してみましょう。
楽天のケース
楽天では2013年に、楽天の社員が楽天市場の出品を行なっている出品者に対して、通常価格を引き上げることで販売価格を割り引きしているように見せる価格表示を提案していたことが明らかになりました。実際に通常価格の引き上げが行われていたことまでは特定されていませんが、出品者だけでなくプラットフォームの運営企業側も二重価格表示の正しい理解が求められます。
アマゾンのケース
2017年には有利誤認に当たる不当な二重価格表示を行なったたとして、インターネット通販大手のアマゾンジャパンに対して、消費者庁から再発防止などを求める措置命令が出されました。問題となった商品の1つである甘酒では、参考価格をメーカー希望小売価格よりも高い3,780円として表示した上で、500~1,000円で販売していたとされています。
二重価格表示の正当性を確かめる方法
割引率が高く、不信感を感じたような場合には、不当な表示で購入を煽り、不要な購入をさせられる可能性もありますので表示価格の裏付けを確認するようにしましょう。
二重価格表示は過去の販売実績や他店の販売価格など情報を確認できるものもあります。
過去の販売価格についても、販売店に問い合わせをしたり、過去のチラシなどで確認を行うことが可能です。他店の販売価格は他店のチラシやネットサイトで、メーカー希望小売り価格はメーカーのパンフレット、公式サイトなどで確認することができます。
終わりに
二重価格表示は実店舗などの現実の生活の中でもあることですが、ネットショッピングでは店員に確認することもできないため不正な表示があっても気づきづらい傾向にあります。
その一方で他のサイトと比較しやすいのも、ネットショッピングの特徴であるため、あまりにも派手な割引が行われている場合には眉に唾を付けて確認をしてみることが大切です。
【関連リンク】
・二重価格表示|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/double_price/
・不当な二重価格表示の注意点(景品表示法)|群馬県
https://www.pref.gunma.jp/05/c0900170.html
・楽天、社員18人が価格つり上げ提案 不当表示問題|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ250DA_V20C14A4TI0000
・楽天、社員18人が価格つり上げ提案 不当表示問題アマゾンに二重価格表示で再発防止命令 消費者庁|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25168730X21C17A2CR8000
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
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