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ブロックチェーンのイメージ

トピックス 2020.12.24 今さら聞けないブロックチェーンとは?国や社会のあり方を再定義するテクノロジー

2017年後半から2018年初頭にかけて起こったビットコインバブルによって数多くの「億り人」が誕生し、一時期メディアの話題がビットコインで持ちきりだった様子を覚えている人は多いのではないでしょうか。

こうしたビットコインの躍進に合わせて世間から注目を集めたのが、ビットコインの仕組みを支える「ブロックチェーン」という技術。

今となってはIT関連のニュースで頻出ワードとなったブロックチェーンですが、そもそもブロックチェーンが何なのかはあまり理解されていません。また、ビットコインとブロックチェーンが混同される例も少なくありません。

しかし、ブロックチェーンはこれからの社会や国のあり方を一変させるポテンシャルを持った技術であり、一時的に流行している技術と捉えるとその本質を見失ってしまいます。

そこで今回はブロックチェーンの解説を行いたいと思います。

そもそもブロックチェーンとは?

チェーン状に繋がれた情報

ブロックチェーンは「分散型台帳技術」のことを指し、取引記録を“ブロック”状にまとめ、それを一本の“チェーン”のように繋げて保存することからそのように呼ばれています。

要するにブロックチェーンとは一言で説明すると「取引を記録する」技術のことなのです。

取引の記録技術であるブロックチェーンがここまで注目される理由を紐解くには、その仕組みを理解する必要があります。

ブロックチェーンの仕組み

分散型台帳技術

ブロックチェーンは主に4つの技術を組み合わせで構成されています。

①暗号化技術
②コンセンサスアルゴリズム
③ピア・トゥ・ピア(P2P)
④DLT(分散型台帳技術)

①暗号技術

1回の取引ごとに取引記録が暗号化されます。例えば、ブロックチェーンが使われているビットコインでは、1取引ごとにハッシュ値という規則性のない64桁の数字に変換されます。

ここで重要なポイントが、元データ→ハッシュ値を生成することは容易ですが、ハッシュ値→元データを割り出すことはできないということ。つまり、後から情報を書き換えることが出来ないのです。

暗号化されたデータは一定数集まると、一つのブロック状にまとめられます。一つの段ボール箱にデータをまとめることを想像するとイメージしやすいかもしれません。

②コンセンサスアルゴリズム

一つの箱にまとめる際、「このブロックには正しい情報が入っているのか?」をその場の全員で確認する作業があり、これをコンセンサスアルゴリズムと呼びます。全員が箱の中身を確認して、中身に問題がなければ封をします。

③ピア・トゥ・ピア(P2P)

中身に問題がないかを確認する作業を可能にするのが、個々のユーザー同士をネットワークで結んで直接やり取りするピア・トゥ・ピア(P2P)という技術です。

④DLT(分散型台帳技術)

行われている取引の状況を参加者がリアルタイムに確認することができ、なおかつ、どこか1箇所のPCやサーバーが故障しても他の全員が同じ情報を共有しているのでデータを書き換えることはできません。

つまりブロックチェーンは、どこか1箇所のサーバーでデータが一元管理されているのではなく、世界中のPCに全く同じ情報が保存され、なおかつ、暗号化技術と相互監視の中で圧倒的に高いセキュリティ環境を実現しているのです。

なぜブロックチェーンはビットコインに使われたのか?

ビットコインのイメージ

こうした「後から情報を書き換えることが困難」という特徴と相性が良かったのが金融分野で、ビットコインがブロックチェーンによって作られた理由もここにあります。

ビットコインはデジタル通貨で、国が発行する紙幣と異なり単なる電子データにすぎないため、簡単にコピーできてしまうのではないかと考えられがちです。

しかし、誰でも簡単にお金をコピーできたり、金額を自由に書き換えられる状態では貨幣としての信用を担保することはできませんし、そもそも貨幣として成り立ちません。

だからこそ、暗号化技術と相互監視によるブロックチェーン技術がビットコイン開発には必要不可欠だったのです。

ブロックチェーンはなぜすごいのか?中央集権型の時代から、分散型の時代へのシフト

ビットコインは現在1ビットコイン200万円の水準に手をかけようとしていますし、米決済大手ペイパルが仮想通貨売買サービスに参入するなど、今となっては法定通貨と肩を並べる立派な「金融資産」として認知されています。

しかし、よく考えてみると、ビットコインには中央銀行がありません。

法定通貨である円には日本銀行、米ドルにはFRB(連邦準備理事会)といった中央銀行があり、中央に貨幣の流通量等を管理し価値を保証する責任者が存在することで、通貨としての価値を担保しています。

ビットコインはそうした中央銀行のような役目を果たす機関が無いにも関わらず人々が価値を見出している。つまり、これまでの中央集権的な時代から、分散的な時代へのシフトを予見させる存在がブロックチェーンであり、これこそがブロックチェーンが世界を変えると言われている所以なのです。

現在、ブロックチェーン技術は金融分野を飛び越えて、不動産から食品業界にまで導入が進んでいます。

例えば、食品業界にブロックチェーン技術を導入することで、サプライチェーンが透明化され、これによって食中毒の発生源の特定や未然の予防を行政の力を借りずに業界内で完結させることができるようになるのです。

そうなると、これまで国や行政が担っていた役割は次第に必要なくなるかもしれませんし、そうなったとき、既存のシステムやルールは大きく変更が求められるようになるでしょう。

これまで中央の管理者が全てを管理していた社会(中央集権)から、皆で管理する社会(分散)へと大きく時代の流れを変えようとしているブロックチェーン。

すでに不動産業界から小売業界まで様々なシーンで導入が進むブロックチェーンを追えば、次の時代の姿がイメージしやすくなるかもしれません。

TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock

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