トピックス 2020.08.07 メッセージアプリのセキュリティ、考えたことありますか?
2020年4月の公式発表によるとLINEの国内ユーザー数は8400万人に達したといい、単純計算すると日本の人口のおよそ3人に2人がLINEを利用している計算になります。
スマートフォンの普及に伴ってLINEをはじめとしたメッセージアプリが多くの人の日常生活の一部として浸透したことは間違いない事実です。
しかし、そんな毎日使うアプリのセキュリティを気にしたことはありますか?
今回の記事では、メッセージアプリの安全性と各メッセージアプリのセキュリティ性能についてご紹介します。
日本人のコミュニケーションツール利用動向
総務省の情報通信白書平成30年版「ソーシャルメディアの利用状況」を見ると、日本においては各ソーシャルメディアの中でもLINEの利用率が最も高く、少しでも利用している人を含めた利用者の割合はおよそ60%程度です。
他国のソーシャルメディアの利用状況を見てみるとフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどはアメリカ、ドイツ、イギリスに比べ日本での利用率が低い傾向が出ています。
日本人のシャイな部分が出ているのか、対象を限定しない情報発信側としてのSNSの利用比率が低く、その一方でLINEの利用率は他の国と比較してもずば抜けて高く、日本ではコミュニティー内でのコミュニケーションツールが強いのかもしれません。
メッセージアプリのセキュリティについて
メッセージアプリで利用者も知っておきたいセキュリティ対策としては、メッセージを第三者に盗み見されないための「エンドツーエンドの暗号化」があげられます。
ソーシャルメディアでは通信を行うユーザーの間に多くのサーバーや機器を介していますが、メッセージを送信する側で暗号化を行い、メッセージを受信する側で復号する仕組みを導入することで、中間地点でメッセージが傍受されても中身が解読されずにすむのです。
LINEではこの仕組みを利用した「Letter Sealing(レターシーリング)」というメッセージの暗号機能がデフォルトでONになっていますが、チャットを行うグループ内で1人でもOFFの人がいると全員のチャットについて暗号化がOFFとなってしまいます。
また、LINEに限らずSNS全般ではアプリ内部の作りは非公開となっている他、通信上のルートも明らかにされておらず、場合によっては通信を中継したり管理するためのサーバーにやりとりがすべて記録されているケースもあるため注意が必要です。
セキュリティ性能の高いメッセージアプリ「Signal」とは
メッセージアプリを利用する上でのセキュリティ的な懸念を簡単にご紹介しましたが、今回はここでセキュリティ性能の高さに定評があるメッセージアプリの「Signal(シグナル)」をご紹介します。
Signalは無料で使用できるメッセージアプリで、アメリカ上院議員間の連絡ツールとして公式に認可されたという話があるほどセキュリティ性能が高いことで有名です。
Signalの特徴としては第一に、プログラムのソースコードが公開されているオープンソースのメッセージアプリであることがあげられます。これにより、悪意を持った人物によるアプリケーションの改ざんが行われても誰か他のユーザーが検知できるようになっているのです。
また、暗号化についても通信の途中にサーバーを介在させずに全ての通信の暗号化が必ず行われているため、どこかにチャットの内容が残ってしまうことも無くメッセージの傍受なども心配することなく利用することができます。
SignalのインストールはiOSならAppStoreから、AndroidならGoogle Play Storeからダウンロードが可能で、Signalの公式サイト( https://signal.org/ )からパソコンでもダウンロードができるようになっています。
終わりに
普段の日常的な会話でセキュリティを細かく気にする必要はありませんが、ビジネスでの利用や官公庁での利用、個人間でもプライバシーを守りたいような内容の場合はセキュリティを考慮しなくてはなりません。
これからは、各アプリの特性を意識してメッセージアプリも用途によって使い分けることを考えてみてもよいかもしれません。
【関連リンク】
・2020年12月期第1四半期決算補足説明資料(LINE株式会社)
https://d.line-scdn.net/stf/linecorp/ja/ir/all/FY20Q1_earning_releases_JP.pdf
・平成30年版情報通信白書(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd142210.html
・LINE 暗号化状況レポート(LINE株式会社)
https://linecorp.com/ja/security/encryption/2019h1
・Signal公式サイト(Signal)
https://signal.org/ja/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock