トピックス 2020.05.01 「Macはウイルスに感染しない」のはもう昔の話
みなさんは「Mac(マック)はウイルスに感染しない」という話を聞いたことがあるでしょうか。
ここでいうMacとはアップル社のパソコンのことで、ネット上やMacユーザの間では時々「Macはウイルスに感染しない」ということが語られていましたが、時代の経過につれて状況が変わってきています。
どのような背景でMacは安全といわれていたのか、そしてなぜ安全ではなくなってきているのか。本記事ではMacのセキュリティ事情について記載します。
なぜMacはウイルスに感染しないといわれていたのか
これまでMacはWindowsと比較してシェアが低いため、サイバー犯罪でMacを狙うのは非効率的でした。
Windows95の発売以降、波はあるもののパソコンのOSとしてWinodwsが90%前後のシェアを保っていたためです。
アメリカの調査会社であるネットアプリケーションズのデータによれば、2020年の2月時点でもパソコンのOSにおけるシェアは88%とWindowsが大きなシェアを持っています。
また、かつてはアップルが公式サイト等で「Macはセキュリティソフト不要」と宣伝していたとう話もあるようです。現在の公式サイトを見ると「高い安全性」といった表現がされているだけですが、2000年代の中ごろまではそういった表現があったとネット上では語られています。
これらの情報をベースに、長い期間「Macは安全である」という印象が浸透していましたが、そろそろその認識も変わろうとしているようです。
昨今のウイルスがMacを狙いだした理由
Macをターゲットにしたウイルスなど、近年サイバー犯罪者がMacを狙う傾向が強まっていますがそれにはいくつかの要因があります。
Macのシェアが増加した
パソコンについてはWindowsが今も高いシェアを占めていますが、少し見方を変えるとiPhoneやiPadがヒットした2007~2008年頃から、パソコン以外のデバイスのOSのシェアをMac(iOS)は大きく伸ばしました。
その相乗効果としてアップルのパソコンに対する心理的なハードルの高さも減ったのか、同時期からアップル製のパソコンのシェアも増えはじめています。
世界中のアップル社製のアクティブなデバイスは201年の4月時点で14億台という情報もあり、サイバー犯罪者からも大きなターゲットとして認識されてきたということでしょう。
Macはウイルスに感染しないという情報でセキュリティ対策が不十分だった
サイバーセキュリティを専門とするカスペルスキー社のレポートによると、Macユーザの10人に1人は時代遅れのマルウェア(トロイの木馬など)の攻撃を受けているといいます。
その感染の手口もFlashPlayer(フラッシュプレイヤー)に偽装するなど昔からあるものであり、これらに引っかかるMacユーザがいる以上、サイバー犯罪者はMacユーザを良いターゲットと考えると報告されています。
MacとWinodwsで共通して使えるデバイスの普及で感染経路が増えた
技術の進歩によりUSBなどWinodws、Macで共通利用可能なデバイスが増え、ネットワーク越しのファイル共有なども可能になってきました。
この技術の進歩により、Windowsとの接点が増えてウイルス感染の経路も増えたといわれています。
Macユーザは過信を辞めて、セキュリティ対策を
現在のMacへの攻撃で多くを占めるのは原始的なマルウェアを使った物など、これまでMacユーザがあまりセキュリティ面を考えなくてすんでいた状況を狙ったものとなっています。
Macユーザに限らず、フィッシングや偽のアプリケーションインストールなどは多くの被害が出ていますから、今一度セキュリティに関する基本的な対策をしっかりと取るようにしましょう。
Mac用のセキュリティソフトは以前は少なかったこともありますが、現在では大手のセキュリティソフトベンターによってMac用のセキュリティソフトも販売されています。Macユーザでセキュリティソフトを使っていない方がいたら、今こそ導入を検討する機会にしてみてはいかがでしょうか。
また、セキュリティソフトの導入以外の基本的なセキュリティ対策には次のようなものがあります。
・macOSを常に最新の状態に保つ
・ブラウザや利用するソフトウェアも最新の状態を保つ
・ログイン時のパスワードロックやスクリーンロックを設定する
・公式のApp Store以外からソフトやアプリをインストールしない
・macOSに搭載されているセキュリティ機能(Gatekeeper、ファイアウォール、FileVaultなど)の利用を検討する
終わりに
MacのパソコンやiPhone、iPadなどアップル社の製品はどれも優れたユーザインタフェースを持ち、デザイン面でも非常に洗練されています。
しかし、アップル社製のデバイスもコンピュータの一種であり、インターネットに接続して利用する場合にはリスクがあることを頭に入れて、セキュリティ対策を行いましょう。
【関連リンク】
・Operating System Market Share(NetApplications.com)https://netmarketshare.com/operating-system-market-share.aspx
・Apple、第2四半期の業績を発表(Apple)https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/04/apple-reports-second-quarter-results/
・高度なセキュリティを内蔵しています。(Apple)https://www.apple.com/jp/macos/security/
・Shlayer Trojan attacks one in ten macOS users(kaspersky)https://securelist.com/shlayer-for-macos/95724/
・アンチウイルスとセキュリティ対策技術(シマンテック)https://jp.norton.com/antivirus
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock