ニュース 2022.02.10 北京冬季五輪アスリート、使い捨てスマートフォンで中国を警戒
米連邦調査局(FBI: Federal Bureau of Investigation)は、1月31日(米国時間)、2月の北京冬季五輪の関連団体に向け、同イベントが大規模なサイバー攻撃の標的になる可能性があることを警告する通知を公開した。
FBIは、サイバー攻撃への防御策として、すべてのアスリートと旅行者に対し、オリンピック期間中は、臨時の「使い捨てスマートフォン」を利用するよう呼びかけた。
さらに今回は、他国からのサイバー攻撃のみならず、中国国内からの不正アクセスも心配だ。
欧米7カ国(米国、英国、カナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、オランダ)の関係者は、自国のアスリートに対し、個人所有のスマートフォンを北京に持ち込まないよう指示している。
アスリートは、中国入国前に「MY2022」という健康状態や渡航履歴を確認するためのアプリをスマホにインストールすることが義務付けられているが、このアプリが個人情報窃取、行動監視などに悪用されることを不安視しているためだという。
注目される大イベントは、サイバー攻撃の標的になりやすい
大規模イベントは、犯罪者集団にとっては悪用のチャンスになっている。オリンピック・パラリンピックは、常にサイバー攻撃の標的だ。
2018年に韓国で開催された平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでは、大会の何カ月も前からサイバー攻撃が仕掛けられていた。当時、開会式の直前には、プレスセンターのテレビが視聴できなくなったり、メディア向けのWi-Fiがつながらないなどの被害も発生。また、大会公式Webサイトがダウンして、観客がチケットを印刷できないというトラブルもあった。
2021年の東京オリンピック・パラリンピックでも、規模は大きくなかったが、サイバー攻撃が多発していたことがNTTにより明らかになっている。
平昌や東京五輪のサイバー攻撃は、ロシアの攻撃だという説が強い。しかし、北京冬季五輪については、ロシアからの攻撃のみならず、中国国内からの情報窃取などにも不安がある。
【関連リンク】
・Potential for Malicious Cyber Activities to Disrupt the 2022 Beijing Winter Olympics andParalympics(FBI)
https://www.ic3.gov/Media/News/2022/220131.pdf
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock