ニュース 2021.07.20 インド政府、新IT規制遵守のための人材にインド居住従業員の雇用を規定
インド政府は、新IT規制を2月25日に発表し、5月26日に施行した。
新しい規制では、インド当局が、SNSユーザーの投稿に対し、投稿元の情報開示や投稿の削除を命じた場合、SNS運営会社はこれに従わなければならず、裁判をすることなく投稿削除が可能になるというもの。
対象となるSNS運営会社は、インド国内に500万人以上のユーザーをもつ企業。
該当企業は、この規制を遵守するための人材として、チーフコンプライアントオフィサーや、現場の苦情を聞いて処理担当にまわすノーダルコンタクトパーソンなどを任命すること、さらに、苦情処理にあたる人材は、インドに居住する従業員とすることを求めている。
インド政府によれば、5月28日には、Twitter以外のすべての大手SNS運営会社(Facebook、Google、LinkedIn、WhatsAppなど)が、新規則の一部を遵守することを表明し、必要な情報を提出したという。
インド政府、求めに応じないTwitterに免責措置解除を表明
Twitterは、規制の遵守に努めているとしながら、7月5日時点では対応をしていなかった。そのため、インド政府IT省は、デリー高等裁判所に、Twitterが条項違反をしている旨の文書を提出。
Twitterは、これを受け、7月8日、8週間以内に、規定とされている担当者を雇用する旨を明らかにしている。
インド政府は、このままTwitterが違反を続ければ、SNS運営企業に施している免責措置を解除するとしており、もし解除されれば、ユーザーが投稿した不適切な内容に対し、ユーザーのみならずTwitterも全面的に責任を負うことになるという。
Twitterが声明を発表、規制遵守に努めながら発言の自由を守る考え
Twitterは、公式Twitter上で、「グローバルな利用規約の施行に対する警察の脅迫的な行為や、新IT規則の内容に懸念を抱いている」さらに「自由で開かれた公共の場での会話を阻害するこれらの規則を変更するよう主張していくつもりである。我々はインド政府との建設的な対話を継続し、協力的なアプローチを採用することが重要だと考えている」という声明を発表している。
中国やインドのように、政府がSNS運営会社に要求する利用規制について、政府側は、明らかな違法行為をいち早く取り締まり、被害者を救済することが目的であり、一般ユーザーのためだとしている。
問題は、明らかな違法行為の解釈が曖昧なことだろう。政府が違法行為と認めれば違法行為になるのだとすれば、ユーザーが自由に発言できなくなる世の中になる危険は否めない。
【関連リンク】
・Twitter、インドで苦情処理責任者採用 IT規制に対応(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM08D7V0Y1A700C2000000/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
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