ニュース 2021.04.10 クリエイターを傷つける、YouTubeの「低評価」数を非表示にする実験開始
YouTubeは、3月30(米国時間)、ユーザーが動画を評価する「高く評価(Like)」「低く評価(Dislike)」のうち、「低く評価(Dislike)」の数を、非表示にする実験を開始すると発表した。
一般的に、SNSの「評価する」「評価しない」という機能は、他のユーザーの評価を知ることで、ユーザーが動画を見るまえに、ある程度動画の質などを判断できるメリットがある。また、低評価については、ヘイトスピーチやスパムコンテンツの可能性があるものをフィルタリングできるといった効果もあるだろう。
しかし、一方で、単に好みでつけられる低評価の数が公開されていることは、動画を投稿したクリエイターにとっては精神的苦痛であるのも確かだ。
同社は今回の発表において、「私たちは、低く評価の数の公開が精神的苦痛を招くことがあり、また評価の低い動画を狙ったキャンペーンを誘発しかねないというクリエイターの意見を聞きました」と述べている。
今回実験するのは、「低評価(Dislike)」の数を排除することではない。テストされるのは、一点、「動画の低評価数は公開されない」というデザインが、ユーザーの使用感にどのような影響を与えるか判断するためのものだ。
動画を投稿したクリエイターは、今までと変わらず投稿に対する評価を受け取ることができ、コンテンツのクオリティを判断する材料となるフィルタリング機能としても使われ続けることになるだろう。
記号評価の裏にある気持ちは、ポジティブかネガティブか
今回の実験は、クリエイターから受けた「well-being and targeted dislike campaigns」のフィードバックが元になっているという。
低評価は、ユーザーが意思表示できる有効な機能ではあるものの、ライバルの評価をさげる目的で、悪用されるケースもあり、必ずしも正確な評価とも限らない。
SNSのこうしたユーザー評価手法は、Facebook、Instagramをはじめ、メルカリなど、どのサービスでも試行錯誤が続けられている。
Facebookも「Facebookページ」上の「いいね!」ボタンを削除するが、これは「いいね!」をリクエストされると、一応「いいね!」をつけるものの更新情報は受け取らず、しばらくするとフォローも外してしまうなど、「いいね!」が義理でつけられていると予測できるケースが多いためだという。「いいね!」が「いいね!」として機能していなかったということだ。
メルカリでも、以前は、「良い」「普通」「悪い」の3段階だった評価を、「良かった」「残念だった」の2段階に評価に変更したが、これは、「普通」をポジティブに受け取るユーザーと、ネガティブに受け取るユーザーと、解釈が大きく異なることが分かったためだった。
記号や数字で意思表示をし、サービスのアルゴリズムに反映させる機能は、今後も、より良いコミュニケーションを求めて変化を続けるだろう。
わたしたちは、ユーザーとしてこのブラッシュアップに参加していくことが出来る。
【関連リンク】
・YouTubeが「低く評価」の数を隠す実験を開始(TechCrunch Japan)
https://jp.techcrunch.com/2021/03/31/2021-03-30-youtube-tests-hiding-dislike-counts-on-videos/
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock