ニュース 2019.12.02 東京五輪に備え「サイバーコロッセオ」でセキュリティ人材を育成
2020年の東京五輪・パラリンピックがいよいよ迫り、大会をサイバー攻撃から守る人材の育成が最終段階を迎えている。
国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)が実施する実践的なサイバー演習プロジェクト「サイバーコロッセオ」では、五輪組織委員会の職員や五輪システムの受託企業の担当者ら約220人が訓練を受講。
数億件のサイバー攻撃が予測されている東京五輪において攻撃に備え、大会の安定運営を目指す。
サイバー攻撃はロンドン五輪や平昌冬季五輪でも
五輪・パラリンピックには国の威信がかかり、世界中から注目が集まることからテロだけでなく、サイバー攻撃の対象にもなってきた過去がある。
社会的・政治的な主張を目的としたハッキング活動を行う「ハクティビスト」による攻撃例も多い。
12年のロンドン五輪では2億件のサイバー攻撃があったとされ、18年の平昌冬季五輪では一部のサービスに支障も出た。
実践訓練プロジェクトを受けた人たちの大会後の貢献も期待
2017年に開始した「サイバーコロッセオ」は、システムの脆弱性を診断したり、不正アクセス発生時の対処方法を学ぶほか、実際の大会を想定した模擬環境を使い、攻撃と防御に分かれた攻防戦などの学習を最大3年間かけて学ぶ本格的なカリキュラムだ。
NICTナショナルサイバートレーニングセンターの園田道夫センター長は「サイバー空間の攻防戦もあり、ここまで充実した講座は類を見ない。セキュリティ人材の不足が指摘される中、サイバーコロッセオでレベルアップした人たちは、五輪後もレガシーとして社会に貢献してくれるはずだ。」と期待している。
【関連リンク】
・東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた実践的サイバー演習「サイバーコロッセオ」の実施について(情報通信研究機構)
https://www.nict.go.jp/press/2017/12/07-1.html
・サイバー攻撃から五輪死守 実践訓練プロジェクト、220人養成 大会後の貢献も期待(毎日新聞)
https://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20191116/dde/001/040/042000c
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock